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島根県農業試験場研究報告第16号(1980年5月)p42-55

ブドウの生育におよぼす温度の影響(第1報)

一時的な高温、低温がデラウエアの生育におよぼす影響

 


 


宮川煦、竹下修


摘要

 デラウエアブドウの主な生育時期におけるー時的な高温、低温の限界を明らかにするため、1975年から1979年まで鉢で育成した4−8年生デラウエア樹を用いて、高温(40−48度C)と低温(3−9度C)を処理し、そのおよぼす影響について検討した。

 

  • 休眠期の12−1月における48度C、5時間処理では、樹体には何ら障害がなく萌芽促進効果が認められた。しかし、2月処理では萌芽促進効果が認められず、3月処理ではすべての主芽が枯死した。一方、低温の−9度C、16時間処理では何ら異状が認められなかった。

 

  • 萌芽前後においては、48度C、5時間処理でほとんどの主芽が枯死し、45度C、5時間処理では生育がやや遅れ、新梢の伸びもやや劣った。一方、低温の−9度C、16時間処理では何ら異常がみられなかったが催芽後はすべての主芽が枯死した。催芽後の−5度C、16時間処理では主芽の枯死はみられなかったものの生育がやや遅れた。

 

  • 萌芽から展葉6−7枚期においては、40度C、5時間処理では何ら異状が認められなかったが、45度C、5時間処理ではすべての花穂、新梢の先端および若葉が枯死した。一方、低温の−1度C、1時間処理では何ら異状が認められなかったが、−1度C、3時間または−3度C、1時間処理では大部分の主芽や新梢の先端、若葉が枯死した。

 

  • ジベレリン前処理期では、40度C、5時間処理でも結実と果房の生育に悪影響がみられた。一方,低温では0度C、1時間処理ですべての花穂が枯死した。この時期が耐凍性の最も弱い時期と考えられる。

 

  • 開花期とジベレリン後処理期では40度C、5時間、45度C、1時間処理で異状が認められなかった。ー方、低温では−1度C、30分−1時間で凍害が発生した。

 

  • 果粒肥大期(満開30日後)においては、40度C、1時間処理でも日射病類似症状か発生した。この時期が耐高温性の最も弱い時期と考えられる。一方、低温の−1度C、1時間処理では何ら異状か認められなかったが、−3度C、1時間処理では果粒をはじめ各器官に障害が発生した。

 

  • 果粒が軟化、着色すると満開30日後に<らべて耐高温性はやや強くなり、ベレーゾン期では40度C、1時間、成熟期では40度C、5時間間処理で異状が認められなかった。一方、低温では、−1度C、1時間処理でも異状が認められなかった。

 

  • 収穫後の9−10月における48度C、5時間処理では10−30%の主芽が枯死した。落葉期の11月処理では何ら障害がなく萌芽促進効果が認められた。9−11月の−9度C、16時間処理では50−60%の主芽が枯死した。この時期の高低温抵抗性は催芽期と同程度と考えられる。
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