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島根県農業試験場研究報告第11号(1973年12月)p52-66

安来地方で発生するナシのクロロシスに関する研究

山根忠昭、松浦一人、山路健、小豆澤斉

 


 


 


摘要

 

  • 安来地方のナシ園では葉にクロロシスが発生し問題となっているので、その原因を究明するため、同じ園でクロロシス樹と健全樹からそれぞれ特徴ある葉とその近くの土壌を採取して分析した。

 

  • クロロシスは徒長枝の先端から1/2〜3/4ぐらいまでの葉にあらわれる。症状が軽い場合葉は主脈を残して淡黄緑色になる。クロロシスが激しい場合は葉全体が黄白化し、え(壊)死部ができて落葉することがある。

 

  • 葉分折の結果クロロシス葉は健全葉に比べてCa、N、Fe、Niなどの含有率が低く、逆にK、P、Mg、Mn、Cuなどは高くなった。特にCaとKの含有率はこの傾向が願著であった。

 

  • 土壊分析の結果クロロシスの発生園は酸性が強くて石灰が乏しい。特にクロロシスの発生樹付近でその傾向が強かった。

 

  • 現地土壌(pH4.8)をポットに詰めてナシ苗を植えたところ2年目で葉にクロロシスを生じた。しかし炭酸石灰を施用した区ではクロロシスは発生せず、樹の生育は著しく良好となった。しかし石コウ区は対照区と変らなかっだ。炭酸苦土区は生育は良好となったが、クロロシスは発生した。葉面散布(Fe、Mn、B)やFTE施用効果はみられなかった。

 

  • ポット試験のナシ葉と細根の分析をした結果、炭酸石灰を施用した区のCa含有率は対照区の3倍以上も高まり、Mn含有率は激減した。石コウ区は対照区とあまり差異がなかった。対照区のMn含有率はかなり高いが、過剰吸収によりクロロシスを生ずるほどではないと考えた。

 

  • 以上の結果安来地方のナシ葉のクロロシスはカルシウム欠乏で土壌の強酸性とカリ肥料の増施がそれを助長しているものと推定した。
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