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島根県農業試験場研究報告第7号(1966年3月)p107-136

 


農業協業化の成立条件に関する研究


萬代然一、佐藤孝之、出川正幸、今岡陽吉、山崎保徳、多田克巳


摘要

 県下の農村集落の代表的性格をもつ、平田市馬伏部落における協業化への試みと県下の協業経営事例の実態調査結果から見て、今日の農村事情すなわら零細農家が圧倒的多数を占め、しかもそれぞれが所有権、経営権を有して、個別的な土地利用計画に基づく経営がなされつつある実態では、各個別の内部における所得獲得増加手段としての兼業化と専業農家においては集約化の2つの方途しかなく、農地の外延的規模拡火一経営の大規模化による生産効率向上という方途はほとんと閉ざされている。
したがって今後この農地流動化促進への基本となるものは、所有権の保護と帰農の自由をを明らかにする事を前提とした土地利用権の移動が、賃借権という形で導入される必要があることと、農業生産の地縁的性格から部落なり地区なりをもって組織される強力な農民組織(法人格を付する)が法的背景のもとに出現し、離作農外就労者と農業専業意向者との契約調整に当る機能を果す必要があろう。
又協業化は一般的には、農作業行程の中で協業化が有利とされる部分のみを実施するということが原則であろう。生産意欲向上の本源は個の「自由」の中に存在するものと考えられるので、個の最小組み合わせ単位である家族経営が農業生産性発揮の最適な場として考えられるが、前述の如く協業化により個別では実行不可能な有利性を展開し得て、個別への分配所得を高め、しかも協業それ自体が企業性を発揮し得るものは協業経営として存続発展する可能性を有しているから、大いに協業経営として成立せしめるべきであるが、企業性発揮が将米困難と思えるが、現段階の打解策として協業経営体を設立せざるを得ない場合には、将来の解体時期における問題点を予測して、それぞれ構成員の責任、分担を明らかにしつつ運営することにより、個別経営それ自身で今日打解の方途に苦しむ諸問題解決への端緒が発見されるであろう。


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