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島根県農業試験場研究報告第6号(1963年11月)p25-40

 


果実吸蛾類に関する研究(2)
島根県における果実吸蛾類の生態


藤村俊彦


摘要

 

  • 島根県における果実吸蛾類として1次加害種22種を記録したがそのうち4種は1次加害が従来未記録であったものである。また2次加害種も18種記録した。またそれらのすべてについて加害を確認した果実の種類もあわせて記録した。

 

  • 1次加害種の中で缶桃について重要なものはアカエグリバ、ヒメエグリバ、オオエグリバ、アケビコノハ、ヒメアケビコノハの5種で、ビワではアカエグリハ、ヒーメエグリバ、マダフエグリバ、キンモンエグリバ、オオエグリバの5種である。いずれの場合もアカエグリバが全体の50%以上を占めている。

 

  • 重要な1次加害種8種について県下における分布を調査してほぼ本県の吸蛾相を明らかにし、西南日本の中でも特に複雑な様相であることを指摘した。

 

  • アカエグリバを用いて種々の果実に対する誘引性を試験した結果、缶桃、白桃、ブドウ、ビワ、リンゴの順に好み、缶桃であっても後熟させたものでは白桃の完熟のものより誘引力が劣り、未熟なものよりは缶詰加工したものの方により多く誘引されることを明らかにした。

 

  • 野外における吸蛾類の被害について検討し、実験結果と同様な傾向にあることを認めた。

 

  • 1次加害種単独の加害と2次加害種が加乗加害した場合とを実験によって比較し、後者の場合いちじるしく果実の腐敗が早まることを認め、2次加害種についても注目すべきであることを述べた。

 

  • 吸蛾類の季節的消長ほおおむね8月上−中旬に最盛期を迎えるが、これは主としてアカエグリバによるもので、水銀灯による誘殺数も同時期が最も多い。重要な1次加害種については果樹園における季節的飛来消長を明らかにした。

 

  • 果樹園への飛来は日没直後より日出近くまで続くが、最も多いのは午後11−12時でその前後にも2,3の小さいピークが認められる。これらのピークは主としてアカエグリバによるものである。

 

  • 1次加害種として重要なアカエグリバ、ヒメエグリバ、ウスエグリバ、オオエグリバ、アケビコノハ、ヒメアケビコノハの6種について飼育または採集調査した結果をとりまとめ本県内で判明している範囲内で生態の概要を示した。

 

  • 吸蛾類の天敵として寄生性のものでアオムシコマユバチとブランコヤドリバエを、野外における成虫を捕食するものとしてクモ類6種とオオゲジがあることを記録した。
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