新たな「牛異常産3種混合不活化ワクチン」接種プログラム
[要約]
牛異常産3種混合不活化ワクチンの接種について、従来の毎春(吸血昆虫が発生する以前)接種に代わり、成牛においては2年以上連続接種、育成牛では年3回接種することで、以降季節に関係なく年1回または出産毎に1回接種するプログラムが適応できる。
背景・ねらい
アカバネ、チュウザンおよびアイノウイルス感染による牛異常産の発生防除には、市販牛異常産3種混合不活化ワクチンの毎春接種が励行されているが、
- 長期間、本ワクチン効果の持続期間を評価した報告は無く、生産現場の実状を考慮した接種プログラムの検討がされていないこと。
- 接種時期が春に限られ、接種に関わる労力が不足していること。
などの理由から、その接種率の維持・向上対策が課題となっている。そこで、6年間の追跡調査によりワクチン効果の持続期間を調査し、従来法に代わる効率的な接種プログラムを検討した。
成果の内容・特徴
1.ワクチン抗体価は、アイノ≦アカバネ<チュウザンウイルス、となる。
2.ワクチン接種年数と翌年春のアイノウイルス抗体保有率の関係は、初年度2回接種→63.5%、2年連続接種→86.7%、3年以上連続接種→100%、となる。
3.ワクチン接種年数と翌年春の抗体価幾何平均値の関係は、接種3年まで累積的に上昇し、4年以降一定値を維持する傾向がある(図1)。
2年連続春に接種し、3年目以降は接種していない4頭は、最終接種後2年間は有効な抗体価を維持(図2)。
4.これらの成績は、2年以上連続して本ワクチンを接種すれば、多くの牛が1年間以上、異常産発生防除に必要な抗体を保有し続けることを示している。
5. 育成段階で3回(6、7,13ヵ月齢時)ワクチンを接種した場合、成牛に毎年春接種した場合の抗体価と同様な推移を示す(図3)。
6.以上の成績より、2年連続春にワクチン接種された成牛および育成段階で年間3回ワクチン接種された育成牛には、季節に関係なく年1回接種するプログラムが適応可能である。

成果の活用面・留意点
1.今回提示したプログラムを用いることで、農場の状況に合わせ接種時期等を変更することが可能となり、これにより接種にかかわる労力を削減できることから、肉用牛、乳用牛を問わずワクチン接種率を維持・向上させるのに有効と思われる。
2.肉用牛(黒毛和種)の場合、生産検査(登録検査)等の地域生産システムとリンクさせた「育成期からのワクチン接種プログラム」として活用できる(図4)。
3.アカバネウイルスの生後感染防除のためのプログラムとしても有効と思われる。
4.本ワクチンプログラムは、ワクチンの用法用量に記載されていないことから、活用に当たってはワクチンを接種する獣医師の判断(責任)で行う必要がある。
5.異常産ワクチンの接種については、地域自衛防疫団体がその調整、取りまとめ等を行っていることが多いことから、事前の調整が必要となる。
詳しい内容についてのお問い合わせは
島根県家畜病性鑑定室 加地紀之、石倉洋司
電話 0853-43-2455
電子メール kachikubyokan@pref.shimane.lg.jp
研究課題名:牛異常産ワクチンの効果的かつ経済的ワクチンプログラムの検討
予算区分:県単
研究期間:2004-2006年度
研究担当者:加地紀之、足立 全、石倉洋司、安部茂樹、新井伸雄

