• 背景色 
  • 文字サイズ 

島根県美術品収集・活用指針について(平成12年9月策定)

 この度、島根県では、平成11年3月に松江市に1館目の県立美術館が開館したのに続いて、平成16年度に益田市に2館目の県立美術館が開館するのを契機に、「島根県美術品収集・活用指針」を策定いたしました。
これは、2つの美術館を運営する島根県として、この2館が良好な運営と相互の連携により相乗的な機能が図れるよう、県として統一的な収集方針を定めて一元的に美術品の収集を行い、体系的なコレクション形成をすすめることとし、この県民共有の財産であるコレクションを広く県民の皆さまにご鑑賞いただくとともに、県全体の文化振興のため活用されるよう策定したものです。
県民の皆さまには、宍道湖畔に開館しております県立美術館を引き続きご利用いただきますとともに、現在、益田市に整備予定の県立美術館を含んだ複合施設である島根県芸術文化センター(仮称)の建設にあたりましても、皆さまの暖かいご支援を賜りますようお願いいたします。

 平成12年9月
島根県環境生活部文化振興課長


島根県美術品収集・活用指針

平成12年9月

島根県

第1.趣旨

1.背景

 島根県の美術品収集については、昭和34年全国に先駆け開館した県立博物館からはじまり、地元ゆかりの作家の作品を対象に収集してきた。平成3年には新美術館の建設を念頭にした美術品等収集基金の設置により本格的に作品の収集活動が行われ、現在まで40年の長きにわたり継続してきている。

 平成11年3月松江市に開館した県立美術館に続き、平成16年度に益田市に2館目の県立美術館が開館するのを契機に、両館の円滑な運営に資するためこの指針を定めるものである。

2.目的

 平成11年3月松江市に開館した県立美術館は、古美術から現代美術までの絵画等幅広い分野における優れた作品を対象とし、特に5つの重点領域を設け体系的なコレクションの形成を目指して収集を行ってきた。しかしながら開館までの収蔵品の大半が博物館から引き継いだものであり、これらを体系的なコレクションとして育て上げるためには、一層の継続的な収集が必要である。

 また、平成16年度に益田市に開館予定の2つ目の県立美術館は、幅広い分野、年代の優れた作品を対象とし、特に3つの重点領域を設けることとしているが、そのテーマに沿った作品は未だ数点の状況であり、今後、これらの作品を収集していく必要がある。

 こういう状況の中で、2つの美術館を運営する島根県として体系的なコレクション形成をすすめ、この県民共有の財産を広く県民の鑑賞に供するため、この2館がそれぞれ独立して収集し、別々のコレクションを形成するのではなく、県として統一的な収集方針のもと、一元的に美術品の収集を行うこととする。このことにより県全体の美術品コレクションの体系化と質的充実を図り、2つの美術館の良好な運営と相互の連携により相乗的な機能を高めることを目的とする。

 

第2.収集方針

1.総括方針

 島根県の美術品は、古美術から現代美術まで幅広い分野の中から優れた作品を、県として一元的に収集し、美術史の流れが概観できる体系的なコレクションの形成を目指す。

 特に、中・長期的な視点に立ったコレクションの質的充実を図るための美術史上価値の高い名品や、東西2館の美術館を特色付ける次の重点領域の作品について収集する。

2.館別の特色(重点領域)

 (1)東部の県立美術館

 1.「水」を画題とする絵画作品

 本県の地理的、歴史的な背景や湖面活用という立地の特色を考慮し、本県にふさわしく、また、県民に広く受け入れられるよう「水」を画題とした絵画作品を収集する。

 2.日本の版画

 新庄浮世絵コレクション、平塚運一の作品を中核に、日本の版画の流れが概観できるよう版画コレクションを体系化する。

 将来的には、浮世絵などの日本版画が影響を与えた美術品の収集にも努める。

 3.国内外の写真

 近年、各地で質の高い写真展が開催されるなど、写真に対する関心が高まっている状況を踏まえ、芸術の一分野を形成する写真を収集する。

 4.木を素材とした彫刻

 本県からは木彫出身の作家を多く輩出していることから、「木」を素材とした彫刻作品を収集する。

 5.島根の美術

 本県における美術の歴史と伝統を踏まえた美術館とするため、本県出身、本県ゆかりの作家の優れた作品を収集する。

 また、本県出身者等が影響を受けた作家、影響を与えた作家の作品も収集する。

 (2)西部の県立美術館

 1.森鴎外ゆかりの作品

 近代日本美術史が成立していく過程で大きな功績のあった森鴎外が関わった作家の作品を基軸として、近代日本美術史が概観できる作品を収集する。

 2.ファッション

 21世紀の美術館が取り組むべき新しい分野として、ファッションを想起させる服飾、絵画、版画、彫刻、工芸、写真、映像等の幅広い分野の作品を収集する。

 服飾に関しては、本県出身の作家を中心に、現在活躍中の作家など、優れた国内外の現代作家の作品を収集する。

 3.石見の美術

 石見出身あるいはゆかりの作家の作品、石見で制作された作品、石見を表現した作品、石見に伝わる作品を収集する。

 

第3.活用方針

 島根県が収集した作品は、文化振興に資する県民共有の財産として十分活用されなければならない。

 このため、収集作品をいずれかの美術館において専属的に展示するのではなく、広く県民への鑑賞機会を提供する観点から、相互の美術館の密接な連携のもと、お互いの館でテーマ性を持った質の高い常設展示を行うなど、有効な活用に努めるものとする。

 また、可能な範囲で国外も含めた美術館等への貸出を行い、これら他機関との交流・連携を通して、展覧会などの美術館活動の充実を図る。

 

第4.収集期

 以下の収集期を設定し、それぞれの期の収集目的を定める。

1.第1期(H3〜H10)

 美術品等取得基金設置から東部の美術館が開館するまでを第1期収集期とする。

 この期は、東部の県立美術館開館までに展示に必要な美術品数を確保するための収集期であり、1,503点、42億円の実績であった。

2.第2期(H11〜H16)

 東部の県立美術館が開館し、西部の県立美術館が開館するまでを第2期収集期とする。

 この期は、好調な滑り出しを見せた東部の展示のレベルも維持しつつ、西部でも質の高い展示を行うための作品を収集する必要がある。

 近年の経済情勢のなか、企業・個人所有の優れた美術品が市場に出まわりやすく、優れた美術品が収集しやすい状況に鑑み、県全体のコレクションの体系化と質的向上の早期実現のため、近世から近代・現代の日本美術や、これら日本美術と影響を及ぼしあった海外の美術に力点を置くとともに、2館の、特に西部の特色付けとしての重点領域の作品を積極的に収集する。

3.第3期(H17〜)

 東部、西部の2館が開館してからの永続期を第3期収集期とする。

 県全体の体系的なコレクション形成に向けて着実に収集していく必要があり、長期的展望に立った継続的な収集に努める。


お問い合わせ先

文化国際課

島根県環境生活部文化国際課
【住所】
〒690-8501島根県松江市殿町1番地
【電話】
○国際交流係/0852-22-6493
○多文化共生係/0852-22-6462
○多文化共生推進スタッフ/0852-22-6470
○文化振興室/0852-22-5878
○島根県パスポートセンター/0852-27-8686
【FAX】
○国際交流係・多文化共生係・文化振興室/0852-22-6412
○島根県パスポートセンター/0852-25-9506
【E-mail】
○国際交流係・多文化共生係 bunka-kokusai@pref.shimane.lg.jp
○多文化共生推進スタッフ tabunka-kyousei@pref.shimane.lg.jp
○文化振興室 bunkashinko@pref.shimane.lg.jp
○島根県パスポートセンター  passport@pref.shimane.lg.jp