島根県かにかご漁業組合 西野正人組合長に聞く

―県内のカニかご漁は、暫定水域の設定によって、どう変わったのか。
「暫定水域では、ベニズワイガニを獲っている。しかし、10隻あったカニかご漁船のうち、1999年の暫定水域の設定後、4隻が廃船に。1隻当たりの水揚げ量も落ちている」
―暫定水域設定前の98年漁期(9月―翌年6月)に6004トンあった、県内のカニかご漁によるベニズワイガニの漁獲量が、2004年漁期には36%減の3868トンとなった。なぜ、こんなにも落ち込んだのか。
「主漁場としてきた大和(やまと)堆(たい)の周辺海域が暫定水域に含まれ、その前後から韓国漁船がどんどん入ってくるようになった。このため、トラブルが多発し、日本漁船は操業を断念に追い込まれるなど、締め出されてしまった。かつて、全体の9割を占めた同水域でのベニズワイガニの水揚げ量は今、3割に満たない。韓国漁船には実質的に操業規制がなく、その影響で資源が減っていることも大きい」
―韓国でのカニかご漁の規制は。
「これまで、規制はほとんどなかった。規制を法制化するという動きを聞いているが、耳にしている内容で実施されても、漁具数や網の目の大きさ、休漁期の長さなどで、日本側と比べて相当の差がある。同じ漁場で操業する以上、同じルールでやるべきだ。今は資源を共同管理し、入り会いで共存するという状態には程遠い。日韓の漁業者で話し合う場もあるが、どうトラブルを避けるかが中心で、ルールづくりや資源管理など、根本的な点は政府間でしっかり協議してもらいたい」
―そういった漁業問題の解決を図る目的も込め、県が制定した「竹島の日」条例に対する評価は。
「条例によって、国民が竹島の存在と、その領有権問題があることを知ったという点で、大きな意義があった。だが、制定で終わってはならない。県や県議会、そして国には、条例を突破口に、漁業問題などの抜本的な解決を図ってもらいたい。子や孫などに、日本海の資源を永続的に伝えていく責任が、われわれにはある」
| ■島根県かにかご漁業組合 ベニズワイガニ漁とマツバガニ漁をする県内の11社で構成。ベニズワイガニ漁の6隻は境港を、マツバガニ漁の7隻は西郷港を、それぞれ基地にしている。事務所は境港市松ケ枝町。 |
| 漁業をめぐる出来事 | |
|---|---|
| 1904年 | |
| ・9月29日 | 隠岐島に住む中井養三郎が内務、外務、農商務省へ竹島の領土編入と貸し下げを願い出る |
| 1905年 | |
| ・1月28日 | 明治政府が閣議決定で、竹島を日本領土に編入し、島根県隠岐島司の所管とする |
| ・2月22日 | 島根県告示第40号により、竹島の島根県編入が公示される |
| ・4月14日 | 島根県が漁業調整規則を改正し、アシカ漁を許可漁業へ |
| ・5月20日 | 中井養三郎ほか3人から島根県知事に対し、アシカ漁業の許可願が提出される |
| ・6月 5日 | 島根県が同願い出を許可 |
| 1939年 | |
| ・4月24日 | 五箇村議会が竹島の編入を決議 |
| 1945年 | |
| ・8月15日 | 第2次世界大戦で、日本が敗戦 |
| ・9月27日 | 連合国最高司令官総司令部(GHQ)が日本漁船の操業区域(マッカーサーライン)を指定 |
| ・11月 1日 | 竹島が大蔵省所管の国有財産となる |
| 1946年 | |
| ・1月29日 | GHQ指令第677号で、竹島に対する日本の行政権行使を停止 |
| ・6月22日 | GHQ指令第1033号で、日本の船舶、乗組員に対し、竹島の12カイリ以内への接近を禁止 |
| ・7月26日 | 島根県漁業規則から、竹島とアシカの項が除かれる |
| 1952年 | |
| ・1月18日 | 韓国の李承晩大統領が海洋主権宣言(李承晩ラインの設定) |
| ・4月25日 | GHQがマッカーサーライン撤廃を通告 |
| ・5月16日 | 島根県海面漁業調整規則を改正し、アシカ漁業を知事の許可制とする |
| 1953年 | |
| ・1月12日 | 李大統領が李ライン内に出漁した日本漁船の拿捕を指示 |
| ・6月18日 | 島根県が隠岐島漁協連合会に対し、竹島の第1種(定着性の貝類、藻類)共同漁業権の免許を交付 |
| ・10月31日 | 島根県議会が李ライン撤廃を決議 |
| 1954年 | |
| ・5月 3日 | 五箇村久見漁協組合員が島根県の要請により、竹島でワカメ、アワビ、サザエを採取 |
| ・11月 9日 | 浜田の底引き船「第1、2大和丸」が韓国により拿捕。1963年までに、島根県内の漁船11隻が拿捕され、114人の乗組員が韓国に連行される |
| 1965年 | |
| ・6月22日 | 日韓基本条約とともに、日韓漁業協定が締結され、李ラインが消滅 |
| 1994年 | |
| ・11月16日 | 200カイリの排他的経済水域を認めた国連の海洋法条約が発効 |
| 1999年 | |
| ・1月22日 | 新日韓漁業協定が発効し、島根県内のベニズワイガニ漁船が主漁場としてきた大和堆などが、暫定水域に含まれる |
| 2004年 | |
| ・1月20日 | 隠岐島漁協連合会が既に免許を受けていた竹島周辺での漁業権を行使するため、島根県知事に対して認可申請を提出 |
| ・3月 2日 | 島根県知事が同申請を認可 |
| 2005年 | |
| ・3月25日 | 島根県が「竹島の日」条例を公布、施行 |
| ・5月18日 ~20日 |
第1回日韓水産資源協議が静岡県焼津市で開催 |
| ・9月28日 ~30日 |
第2回日韓水産資源協議が韓国・釜山市で開催 |
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