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「島根らしい発展のあり方を追求する」

 溝口善兵衛知事は、昨年4月の知事就任以来、県内各地をできるだけ多く回り、県民の方々にお話を伺いながら、「活力ある島根」の実現のための道筋をつける作業を行ってきました。
  県民が総力を結集し、知恵を出し合い、「活力あるしまね」を築くことを目指して、新年度から大きな一歩を踏み出します。

島根県知事・溝口善兵衛

島根県知事

溝口 善兵衛
(みぞぐち・ぜんべえ)

1946年生まれ。県立益田高校、東京大学経済学部卒業後、68年旧大蔵省入省。在米国大使館公使、主計局次長などを経て、03年、財務省財務官に就任。04年から06年11月まで財団法人国際金融情報センター理事長を務め、07年4月から現職。

島根の現状、島根の豊富な資源

 郷里に帰って強く感じることは、いいものがこの島根にはたくさんあるなということですね。島根は、大都市のマーケットから遠く、交通事情も良くなかったことなどから、経済発展が遅れることとなりましたが、そのためかえって、きれいな自然、豊かな食材、古きよき文化伝統や史跡、暖かみのある人間関係と地域社会などがたくさん残っています。
  他方、産業においても、出雲・松江・安来から米子、境港にいたる中海・宍道湖沿岸地域の人口65万人の圏域には、金属加工や高度精密部品製造などの近代的な製造業が集積しています。65万人というこの圏域は、日本海側では新潟市や富山市に次いで人口の大きな集積地ですね。また、県西部の益田や浜田、江津地域にかけても高い技術力を持った誘致企業が進出しつつあり、新たな芽吹きが感じられます。
  さらに、県内各地でご高齢の方がいろいろな地域活動に参加し、中心になって活躍されていたり、農林漁業に従事されるなど、元気な高齢者の方が多いことも印象的です。これまでも帰省したり、島根の話は聞いたりしてある程度は知っていましたが、東京にいたころにメディアなどを通じて我々に伝わってきた人口減少で大変な島根県というイメージとは、ずいぶん異なっていました。
  こうした恵まれた資源や人材を活かしていけば、島根の活力はきっと向上すると思っています。こうした考えで、島根の人々が自信と誇りを持って、豊かな郷土を築いていくための目標と戦略を皆さんにお示しするため、今般、県の「総合発展計画」を取りまとめたのです。

バランスの良い島根の経済成長のために

 多くの強みがある一方で、島根県は少子高齢化が進んでいますから、産業を興して、若い人がいきいきと働ける場をつくっていくことは最も大きな課題です。
  そのためには、今、頑張っていらっしゃる商工業者の皆さんが元気になり、新たな雇用が生まれることが必要です。島根県には、高度な技術を有する中小企業や、安全・安心に配慮した優れた農林水産品や観光資源などの地域資源がたくさんありますが、こうしたものに工夫を加え、大都市の消費者や大手メーカーが買いたいと思うような、他と少し違う質の高い商品を作ることが大事です。そうして、県外や海外の拡大するマーケットに対する販売促進を積極的に行っていく、県もそれを支援するという体制を築いていきます。
  もうひとつは新規企業の誘致です。近年は、電子関連産業やIT産業など、大きな敷地を必要としない産業が拡大しています。産業振興などに必要とする施設が整備され、住環境もよい島根県は、道路事情があと少し良くなれば、非常に良い立地環境になると思います。最近では、既に立地している大企業の生産拡大のための設備投資が拡大するとともに、新たに島根に立地を求める企業も増加しているようにも見られます。国際競争激化の中で、日本の技術を守っていかなければいけないという観点から工場の国内立地に注目が戻ってきていますが、こうした動きをさらに加速させたいと考えています。
  また、新しいコンピュータープログラミング言語・Ruby(ルビー)の開発者が松江市に住んでおられることから、この優位性を活用して人材育成に力を入れ、ソフト関連会社の設立や誘致も進めたいと考えています。
  依然として、若者は県外へ出て行く傾向にありますが、一方で、県内の求人情況を見ますと、県内業者の間では人集めが困難であると聞きます。県内にも優良企業があるということを早くから高校生や保護者、学校関係者などにPRして、適正な雇用のマッチングを進めることも課題ですね。

プログラミング言語「Ruby」の開発者、まつもとゆきひろ氏(松江市在住)による説明会。昨年10月には「Ruby資格認定試験」が行われ、首都圏や東海地方などから46名が受験した。

プログラミング言語「Ruby」の開発者、まつもとゆきひろ氏(松江市在住)による説明会。昨年10月には「Ruby資格認定試験」が行われ、首都圏や東海地方などから46名が受験した。

石見銀山をけん引役とした新しい観光産業の形成

 石見銀山遺跡が世界遺産に登録されて、知名度が国内外に一気に広がり、石見銀山を基点に出雲大社や松江城を観光したり、玉造温泉に宿泊する、あるいは津和野に行くなど、ひろがりが出てきていますね。さらに、鳥取県との県境をまたいだ観光推進の動きも活発化しつつあります。
この動きをさらに拡大するためには、観光業者の方々へのPRや、インターネットなどを通じた情報提供をさらに充実させる必要があります。石見銀山の効果が、より広い範囲へ、面のように広がるような商品を考えないといけませんね。
しかし、東西240キロ余りに及ぶ島根県を結ぶ幹線道路は、その大半が片側1車線の国道9号線のみ。産業・観光振興を推進するためにも、あるいは医療環境の整備や災害時の対策などの観点からも、早急な道路網の整備が課題です。

世界遺産に登録された石見銀山遺跡の大久保間歩。唯一公開されている龍源寺間歩に続いて、一般公開に向けて準備が進む。

世界遺産に登録された石見銀山遺跡の大久保間歩。唯一公開されている龍源寺間歩に続いて、一般公開に向けて準備が進む。

企業誘致によって、若手の職場確保はもちろんのこと、県内産業の高度化や活性化にも効果が上がるよう、戦略的に誘致を展開している。 研究開発型企業やソフトウェア・情報処理サービス業などの集積を目指すソフトビジネスパークしまね。県の産業関連機関が集まるほか、3km圏内に日銀、島根大学、ジェトロ、県庁などが集積している。

(左)企業誘致によって、若手の職場確保はもちろんのこと、県内産業の高度化や活性化にも効果が上がるよう、戦略的に誘致を展開している。
   http://www.pref.shimane.lg.jp/krichi/

(右)研究開発型企業やソフトウェア・情報処理サービス業などの集積を目指すソフトビジネスパークしまね。県の産業関連機関が集まるほか、3km圏内に日銀、島根大学、ジェトロ、県庁などが集積している。

国と地方、都市と地方のあり方

 昨年末からの国の予算編成などを見ると、法人事業税の半分を都道府県の間で再配分する措置や、交付税の5年ぶりの増額など、都市と地方の格差是正の動きが出始めています。
  しかし、県民の生活を安定させ、前進するように導くためには十分とは言い難いですね。また09年度末に切れる過疎法に代わる新法成立に道筋をつけることも重要な課題です。
  島根県でも、事業の進め方を見直したり、徹底した歳出の削減に取り組むなどさまざまな工夫をしていきますが、引き続き国に対して、都市と地方のバランスのとれた発展を目指していくよう訴えていく必要があります。
 そして、島根県民がこれまでに蓄積してきた資源を大いに活用し、島根らしい発展を実現していきたいと考えています。

 


 

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