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シマネスク59号

 

知事対談・島根と東海地域との交流を語る 

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対談する和田氏と澄田知事

 

石見銀山周辺整備による新観光ルートの誕生

 

知事■

石見銀山が、来年の夏に世界遺産に登録されるということを見越して、すでに観光客が増えています。銀山の坑道を間歩(まぶ)と言い、龍源寺(りゅうげんじ)間歩や大久保間歩という、大きな間歩があります。初代銀山奉行大久保長安が、馬に乗り槍を持って入れるという天井の高さです。昔の人が手作業で掘削した苦労が、うかがえますよ。

 

和田■

今、公開されていますか?

 

知事■

今はされていませんが、安全に歩けるように整備をした後に、一般公開を考えています。また大森町に代官屋敷などの昔の町並みが残っており、豪商だった熊谷家住宅を修復しました。そして、銀を積み出した仁万(にま)港や温泉津(ゆのつ)港の町並みの整備も考えています。そうすると出雲大社とも連携がとれ、松江、出雲大社、石見銀山、津和野に抜けていくルートができます。そして、それぞれじっくり足で歩いて観光していただきたい。そういう意味でも石見銀山に期待しています。

 

和田■

出雲から石見まで名所旧跡を縫う駅伝競走というのはどうでしょう。気候の良い「神在月(かみありづき)※」の10月に。

 

知事■

「神在月」は日本でただ1カ所、島根にしかないですからね。

 

和田■

それと、山陰海岸に、隠岐や美保関に立ち寄る、帆船を利用したクルーズを運行しては。観光客の誘致ができます。

 

知事■

それは面白い。かつては石見銀山の銀が北前船によって縦横に日本海を往来していました。今は山陰自動車道を作ろうと、全力をあげています。山陰本線もスピードをあげてきました。船では、境港から中海を通り、宍道湖から松江まで船を走らせる計画があります。

 

和田■

鉄道、高速道路、そして海路です。あれだけの海岸線を持ちながら、もったいない。簡単にはいかないでしょうけれど、そういうルートもあるとお考えください。

 

※陰暦の10月に縁を結ぶ会議をするために全国の神々が出雲に集まるため「神無月(かんなづき)」と呼ぶが、出雲では「神在月」と呼ぶ。

 

「宍道湖の夕日」を楽しめる美術館として人気の島根県立美術館(松江市)「宍道湖の夕日」を楽しめる美術館として人気の島根県立美術館(松江市)

 

4月中旬から5月初旬ごろに見ごろを迎える大根島(松江市八束町)のボタン4月中旬から5月初旬ごろに見ごろを迎える大根島(松江市八束町)のボタン

 

特産品開発の努力と「しまねブランド」の推進 

 

知事■

島根県は平成の合併により、59市町村から21市町村になりました。その中で、村と名乗っているのは隠岐の知夫(ちぶ)村だけです。

 

和田■

値打ちがありますね。

 

知事■

しかも、ここは人口約700人で、この間の国勢調査で人口が増えたことが分かりました。わずか7人ですが、増加したことに感激しました。県内で人口が増えたのは斐川町、東出雲町、知夫村だけです。

 

和田■

なぜ、知夫村が増加したのですか?

 

知事■

定住対策です。U・Iターンされる方の就業先としての漁業や農業への努力が実っているということです。海士(あま)町もそうです。人口減少、過疎化などの危機感をバネにして、積極的に地域振興に挑んでいます。電磁波を利用して、冷凍させたイカ、タイ、イワガキなどを解凍してもとれたての新鮮さを保つことができる出荷施設を作りました。西ノ島町は、イカを一匹ずつ生きたままパックに入れ、出荷しています。

 

和田■

生きた状態で届くのですか?

 

知事■

はい。いろいろと工夫をして頑張っています。ほかにも、島根県にはおいしい物がたくさんありますよ。

 

和田■

浜田のノドグロ(アカムツ)もそうですね。

 

知事■

ノドグロはとても評判が良いです。大阪でも東京でも島根の物産展をすると一夜干しのカレイ、ノドグロが飛ぶように売れます。

 

和田■

高いけど売れる。それだけうまいってことですね。

 

知事■

東京の「にほんばし島根館」の隣に島根県のレストランができまして、そこの昼食は結構、人気があります。島根のそうしたおいしいものをもっと知ってもらうため、ノドグロなどのほかに、「隠岐(おき)のいわがき」「十六島(うっぷるい)のり」「多伎(たき)のいちじく」「しまね和牛」の5つの品目についてブランド化を図っています。

 

和田■

多伎のいちじくは独特のいちじくですね。大根島の高麗人参やボタンの花などもいいですね。

 

知事■

最後に、和田さんから島根県へ、アドバイスをいただけないでしょうか。

 

蓬莱柿(ほうらいし)と呼ばれる珍しい品種の「多伎のいちじく」蓬莱柿(ほうらいし)と呼ばれる珍しい品種の「多伎のいちじく」

 

鮮魚のおいしさをそのまま味わえる浜田のノドグロ、アジ、カレイの一夜干し鮮魚のおいしさをそのまま味わえる浜田のノドグロ、アジ、カレイの一夜干し

 

県民が持つべき島根県の「自信と誇り」

 

和田■

私が東レに入ったころにはまだ繊維産業が優勢で、列車に乗って集団就職した時代です。特に島根県人は、素直さと真面目さが評判でした。ただ高度成長期になると、企業がそれにプラスして求めたものが、積極性です。島根県人は、その辺が弱いです。 

 

知事■

自己主張に欠けるということですね。特に出雲地方には、『謙譲の美徳』が根強いです。

 

和田■

今、必要なのは、もっと「自信」を持つことです。自信を持てば、良い意味で自己主張して、自分の良さをPRします。県外の人たちに島根を、自信を持ってPRし「百聞は一見にしかず」を体験してもらう。人が来れば門前が市を成し、それがPRになります。自信を持ったところに人が集まるんです。これから地方分権となったらむしろ、島根県が一番金持ちだと思います。京都、金沢、大阪に匹敵するようなものがいくらでもある。

 

知事■

豊かな自然、古代からの歴史的な財産を持っていますからね。

 

和田■

島根を出ますと、感覚の中に故郷の映像がインプットされるんです。それが、たまに帰って実際に見ると、やはりきれいなんです。例えば宍道湖の夕日。湖畔にある県立美術館の閉館時間が日没後30分というのも、素晴らしい。 

 

知事■

私も良かったと思っています。それも職員が協力してこそ、実現したことです。県立美術館が自然現象に合わせて閉館時間を設定するのは、破天荒だったかもしれません。

 

和田■

松江の人たちが夕日を見るためにわざわざ行って、「やっぱり俺の住んでいる街はきれいだ」と誇りを持つ。よそから、百の羨望を得ますよ。

 

知事■

「県人自らが自信と誇りを持つ」という精神構造ですね。

 

和田■

私共の経済倶楽部も、近畿島根県人会も、島根県で生を受けて育ててもらったという意識を持っています。だから島根県の発展のために、少しでも恩返しをしなければ意味がない。今後は、観光振興だけでなく、県産品の販路拡大など、多方面で近畿経済倶楽部と連携し、関西地区での取組みを強化したいと考えています。そして今年は、近畿島根県人会を全国の県人会のNO1にする出発点とも思っております。今後とも、よろしくご支援をお願いします。 

 

知事■

ぜひ、日本一の県人会になるよう応援します。今日は、ありがとうございました。

 

和田■

ありがとうございました。

 

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