
島へ行きたい、と思った。日本海に浮かぶまだ見ぬ島、隠岐へ。濃紺の日本海に阻(はば)まれた群島、後鳥羽(ごとば)上皇に代表される遠流(おんる)の島、”遥(はる)かなる島”隠岐。この海の向こうにどんな島があるのだろうか。日本海に生きる島人の暮らしに触れてみたい。そんな好奇心と本土を離れる開放感とで胸を躍らせ、七類(しちるい)港からフェリーへ飛び乗った。出港から2時間あまり。フェリーの前方、はるか水平線の彼方に横たわる数々の島影が見えてきた。潮風を頬(ほほ)に受けながらデッキから眺める日本海は波も風もなく、驚くほどに静かだ。まもなく、島に伝わる民謡とともに船内アナウンスが西郷(さいごう)港への到着を告げる。いよいよ旬の隠岐に出会う旅の始まりである。
透明度の高い海は息をのむほど美しい。
ゆったりと過ぎていく、島の休日に憧れて。
見つけたのは至福の空間。
島根半島の北方約50キロメートルの日本海に浮かぶ隠岐は大小180あまりの島から成る。このうち有人等は4つ。西ノ島、中ノ島、知夫里島(ちぶり)の一群を「島前(どうぜん)」、北東に位置する最大の島を「島後(どうご)」と呼ぶ。金平糖にも似た円形の島後は、降り立った西郷港の一帯こそ平野がひらけ市街地の体裁を整えているが、海沿いをレンタカーで走ると山々が海外近くまで迫っている。平地は少ない。海に突き出た岬や崎の名前が地図を埋めている。清々しい空気、隠岐を代表する八百(やお)杉や乳房(ちち)杉、南国の海と見紛(まご)うほどに美しいコバルトブルーの海、日本海の荒波が作り出した奇景の数々…。都会では味わえない至福の空間がここにある。![]()
(左)海辺のホテルの一室から、間もなく菱浦(ひしうら)港へ到着するフェリーを眺める。海風が心地よい。
(下左)隠岐の貴重な植物「オキシャクナゲ」
(下右)海辺のイタリアンレストランでは、隠岐の新鮮な魚介を使った料理が楽しめる。
(下右)海辺のイタリアンレストランでは、隠岐の新鮮な魚介を使った料理が楽しめる。

雄々しい国賀(くにが)海岸は隠岐の代名詞。
夕焼けに染まる摩天崖(まてんがい)を望む。
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