島根県公式ウェブサイト(トップに戻る)

ここから本文

トップ > 広聴広報課 > シマネスク > 2005年 > 56号 > 高橋一清

シマネスク56号

静寂と安らぎの中で深い文化を感受する。  

高橋一清(たかはし・かずきよ)
(社)松江観光協会・観光文化プロデューサー。昭和19年、島根県益田市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、(株)文藝春秋に入社。多くの作家のデビューに立ち会う。「別册文藝春秋」編集長、「文春文庫」部長、「文藝春秋臨時増刊」編集長を経て、今年4月より現職。芥川賞、直木賞作家を最も多く文壇に登場させた編集者といわれる。

益田市・地図


季節ごとに趣のある雪舟庭園(万福寺)にて。
学生のころ、帰省のたびにここで多くの時間を過ごしたという。

 


今春、編集者として38年間勤務した文藝春秋を退職して東京から島根県へUターンした高橋一清さんに、ふるさと益田市でお話を伺った。

日本海海戦でロシア兵が漂着した土田北浜海岸。「英語で話しかけた住民など先人たちの教養の高さを感じます」。 














益田にある祖父方の本家には、先祖たちが代々守ってきた平安中期の薬師如来があるんです。私はその仏像を見るたびに、この地で千何百年もの昔から息づいてきた先人たちに想いを馳(は)せます。脈々と受け継がれたその歴史を謙虚に学ぶことは、私自身、生きていく中で何が大事なのか、自分たちが忘れてしまったものは何か、生きるヒントとお手本を教えていただくように思います。
 学生時代、益田に帰省した際には欠かさず、雪舟庭園のある万福寺や医光寺を訪れました。ここは、私に何かを問いかけてくれる場所なんです。この静寂と安らぎの中で、あのころの私は自分の内なる想いに耳を傾けたり、思索をめぐらしたりしていました。また、縁側で横になって寝たりもしましたね。目が覚めると蝉しぐれの中、雪舟さんの庭があり絵画がある。こんなぜいたくな青春時代を送った人はなかなかいないでしょう。

蟠竜湖

蟠竜湖(ばんりゅうこ)の湖畔に立つと、鳥のさえずりと鯉のはねる音だけが聞こえ、心が解き放たれる気がします。以前、大島清(おおしまきよし)・芝木好子(しばきよしこ)ご夫妻をお連れしたことがありました。お二人もこの静けさの中に、感じるものがおありだったようです。特に大島さんは、ここを動きたくないとおっしゃって。その後の予定をキャンセルしてしまわれた覚えがあります。益田には、眠ったままの素晴らしい贈り物がまだまだあるように思いますね。歴史や自然、すべての価値を知ること、理解することこそが文化ではないでしょうか。
 ふるさと益田から、いただいたものがたくさんあります。ですから、これからは自分にできるお返しをしていきたいと思うんです。私もそういう年回りになったということでしょう。島根に戻ってきた今、松江を起点、終点にしながら県内全域を東から西へ、西から東へと旅の演出もしたいですね。(談)

(左)子供のころ自転車で遊びに来た蟠竜湖。
「ここに立つと、命がよみがえるような気がします。」


私と島根
Copyright (C) 2005 Shimane Pref. All Right Reserved
トップ > 広聴広報課 > シマネスク > 2005年 > 56号 > 高橋一清