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隠岐大峯山風力発電所風車ブレード(羽根)の修理

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1.風力発電所の概要
隠岐大峯山風力発電所は島根県隠岐郡隠岐の島町西村の大峯山山頂に出力600kWの風車を3基建設し、平成16年2月1日より運転を開始しました。


隠岐風力発電所の写真(空撮)     隠岐風力発電所の写真(地上から)
 

2.雷による被害状況
平成17年11月14日に発生した雷により2号機の風車ブレードは受雷部(レセプター)を貫通し裏側まで達し、その周辺は焼焦げていました。これを受けすみやかに2号機風車を停止し修理方法について検討を開始しました。1号機は風車を停止する程ではありませんが被害を受けましたので、1号機2号機合わせて3枚のブレードを修理する事としました。


2号機ブレード被害状況(1)2号機ブレード被害状況(2)1号機ブレード被害状況
 

3.修理方法の検討
すみやかにブレードの修理が必要であると判断した理由は以下の通りです。

・風力発電はクリーンエネルギーであり地球環境保護に貢献しているため
・再度落雷を受けた時の被害拡大を防止するため
・被害箇所の落下による周辺への被害を防止するため

冬季に修理を実施するにあたり問題点は以下の通りです。

(1)山頂は風速10m/s以上の強風となること
(2)積雪の対策が必要なこと
(3)修理を行うには10℃以上の気温維持が必要であること

問題点(1)について幾つかの方法を検討しましたが、風速12m/sまでの強風時にも安定した作業が可能な「風力発電タワーメンテナンス装置」を仮設に使用する事にしました。設置時にはクレーン等は使用せずステージ付昇降機に乗り、順次上へ上へとバンドとレール継ぎ増しします。レールを地上から30m付近まで取付け4台のうち1台の昇降機を下ろし、ブレード補修用台車に取替え補修作業を開始します。風車のタワーは放牧地内に設置してありますが補修用台車運転用のウインチを固定するためにアンカーを打つのみで、周辺の放牧地に極力影響を与えないように考慮してあります。
全体図

昇降機ブレード補修用台車


 

問題点(2)について、平成17年12月の大雪で大峯山山頂は1m以上の積雪となりました。修理に支障をきたすため山頂へ向かう農道から1.2号機周辺まで合計4回の除雪作業を実施しました。

除雪前の状況(放牧地入口)除雪後の2号機風車周辺

問題点(3)について、大型ヒーターを補修用台車に載せブレード周辺の温度を上昇させ補修材料を乾燥させることとしました。それに加えブレードに布状のヒーターを巻き付けたり、家庭用のドライヤーも使用し乾燥させました。更に乾燥中のブレードに当る風防止と降雪対策としてブルーシートで補修用台車を保護して作業を行いました。


ドライヤーによる乾燥ブレードに巻き付けられたヒーター補修用台車のブレード保護


4.修理の状況
平成18年1月8日より現地修理を開始しましたが、当日の強風により2号機風車ブレードの被害を受けた部分が落下しました。幸い落下による周辺への被害はありませんでしたが、被害拡大により更に高度な修理技術が必要となりました。


2号機風車ブレード修理前の状況2号機風車ブレード修理前の状況(2)落下したブレードの一部


修理はまず正常なブレードから型を取ることから開始しました。型を破損したブレードに取付けFRP補修材料を使い形成し乾燥させます。


正常なブレードからの型取り正常なブレードから取った型型を張付けてのブレード修理


補修部分が乾燥したら表面が滑らかになるようにグラインダーで削り塗装を2回行い完成となります。

形成後(塗装前)
グラインダーで成形

完成写真
当初は修理対象外であったその他の1,2号機風車ブレードを詳細に調査すると軽い被害を受けていたため最終的には合計6枚の修理を実施しました。3号機については軽い被害は確認されましたが修理するまでの被害ではありませんでした。その後2月初めにも雷が発生しましたがブレードに被害を受けることもなく順調に運転を行っております。

5.雷対策
平成16年2月の運転開始以来、雷による被害が最も大きな課題となっています。通常はブレードの受雷部へ雷が落ちブレード内の銅バーとタワーを通り大地へ逃げます。しかし今回は受雷部があるにもかかわらずブレード焼損という大きな被害を受けました。このことは大峯山山頂が想定以上の強い雷が発生する地域であると考えられます。
ブレードにはこの様な大きな被害を受けておりますが、タワー内の電気設備にはおいては全く被害がありませんでした。これは平成16年8月に実施した雷害対策工事(SSPシステムと呼ばれる防御システム)の効果があったと言えます。
今後のブレードに対する雷対策として、雷の特性を詳細に解析しながら更なる対策を検討しているところです。


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