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決算特別委員長報告

 

 決算特別委員長報平成28年11月定例会

 

 決算特別委員長報告をいたします。

 本年9月定例会において本委員会に付託されました、知事提出第121号議案、第122号議案及び認定第1号議案から認定第4号議案の6件につきましては、決算審査の結果を平成29年度の予算に反映させるべく精力的に審査・調査を行ってきたところであります。

 以下、その経過及び結果について申し上げます。

 

 初めに、平成27年度の決算の概要についてであります。

 一般会計の歳入総額は5,433億円余、歳出総額は5,308億円余であり、前年度に比べて歳入は1.5%、歳出は1.8%増加しました。また、翌年度に繰り越すべき財源を差し引いた実質収支額は81億円余の歳入超過でありました。

 証紙特別会計など12の特別会計を合算した歳入総額は1,572億円余、歳出総額は1,520億円余であり、こちらは前年度に比べて、歳入は10.0%、歳出は10.7%減少し、実質収支額は51億円余の歳入超過でありました。

 

 平成27年度決算に係る健全化判断比率については、実質赤字比率及び連結実質赤字比率については該当がなく、実質公債費比率及び将来負担比率については、いずれも早期健全化基準を下回っております。

 また、平成27年度末の基金残高は163億円余と、財政健全化基本方針で目標とされている額が確保されておりました。

 地方債現在高については、9,847億円余で、前年度末から61億円余の増加となっております。これは、減債基金の満期一括勘定に積み立てていた繰上償還のための前倒し積立分を、減債基金の一般勘定に移したことにより、決算処理上増加して見えているものであり、この影響分を除いた実質の県債残高でみると、前年度に比べて141億円余の減少となっております。

 

 これは、財政健全化の取り組みの成果として評価できるものでありますが、厳しい経済情勢が続く中、県債残高は依然多額であり、また、国の地方財政対策の動向など不透明な要因も多いことから、今後も厳しい財政運営が避けられないものと考えます。

 引き続き、財政健全化に向けて、着実に取り組まれるよう求めます。

 次に、公営企業会計の決算についてであります。

 まず、病院事業会計についてであります。

 中央病院については、純損失が4億7,900万円余であり、累積欠損金は181億円余となりました。なお、減価償却費など現金支出を伴わない費用を除いた償却前損益は3億3,200万円余の黒字でありました。

 また、こころの医療センターについては、純利益が1億9,200万円余であり、累積欠損金は42億円余となりました。なお、償却前損益は1億8,800万円余の黒字でありました。

 次に、企業局所管の事業会計についてであります。

 電気事業は純利益1億9,000万円余、工業用水道事業は純利益4,300万円余、水道事業は純損失8億2,000万円余、宅地造成事業は純損失2,800万円余でありました。
 

 本委員会におきましては、全体会及び4つの分科会において、平成27年度に係る予算執行が、議会の議決の趣旨及び関係法令等の規定に従い、適正かつ効率的に行われたか、施策の効果が十分上がったか、また、今後改善を要する点は何か、などに視点を置いて、関係各部局から各種の資料の提出を求め、詳細な説明を聴取し、また、監査委員からは、決算審査等の意見及び定期監査の結果に関する意見等について説明を受けたところであります。

 以上のような審査の結果、本委員会に付託されました第121号議案、認定第2号議案及び認定第3号議案については、全会一致により、第122号議案、認定第1号議案及び認定第4号議案については、賛成多数により、可決及び認定すべきものと決定いたしました。
 

 次に、審査の過程で議論された主なものについて申し述べます。

 

 まず、災害時における要支援者の避難計画についてであります。

 県では、災害時に、高齢者、障がい者、乳幼児等要配慮者の方々に対し、必要な生活支援を提供する福祉避難所の指定や要支援者名簿の作成等について、市町村への情報提供や必要な働きかけを行うことにより、市町村の取り組みを促しています。

 熊本地震の際、福祉避難所が計画の4分の1しか機能しなかったことなどが報道されており、県として、熊本地震の教訓に学び、福祉避難所等が十分に機能するよう対策を強化して欲しいとの意見がありました。

 

 次に、中央病院の経営についてであります。

 中央病院の総収益は、外来収益の増加により前年度比5億1,600万円増加しましたが、総費用のうち医業費用の材料費等が増加したため、純損失4億7,900万円となりました。

 無駄をできるだけ取り除き、高度で専門的な医療を担う県の基幹的病院としての使命を果たして欲しいとの意見がありました。

 また、病院職員の意識を変え、無駄を徹底的にチェックし、経費節減に努めるべきとの意見もありました。

 

 次に、島根県立大学についてであります。

 県立大学では、地域社会に貢献する優れた人材を育成するため、地域に密着した研究・教育活動に取り組まれているところであります。

 設立時から国際情勢も大きく変わったので、島根県が抱える諸課題に対応できる研究や人づくりができているかどうかなど、県立大学の基本的方向性について議論する必要があるとの意見がありました。

 また、島根県や日本に貢献できる人材の育成を行う大学にするために、県として県立大学の将来の方向性を明確に打ち出して欲しいとの意見もありました。
 

 次に、国民健康保険事業についてであります。

 県では、国保財政の安定化を図るため、低所得世帯における保険料の負担軽減等に取り組まれているところであります。

 今後、国民健康保険制度の都道府県化により、保険料の値上げが考えられるため、国に対して国庫負担の増額を求めるとともに、県や市町村は、少しでも保険料を下げる努力をしてほしいとの意見がありました。

 

 次に、水産業の担い手確保についてであります。

 水産業の担い手確保のため、就業相談や漁業技術習得のための研修のほか、新規自営漁業者への資金の貸し付け等に取り組まれているところであります。

 沿岸漁業の振興が漁村の活性化にとって重要であることから、水産庁の給付事業を活用している先進県の取り組みなども参考として、担い手の確保・育成に積極的に努めてもらいたいとの意見がありました。

 

 最後に、県営住宅建設事業についてであります。

 県では、居住環境をより良くするため、古い県営住宅の建て替えの際には、利便性を考慮して建設地を選定しているところです。

 公共交通機関の廃止等により、高齢者等の外出が不便になること等を考慮し、今後は街中に建設するのが望ましいとの意見がありました。

 また、エレベーターが設置されていない住宅の高層階に入居している高齢者等への対策として、エレベーター設置費用の財源措置を国に対し強く要望するとともに、高齢者等の1階への住み替えを促進するための移転費用の補填について検討して欲しいとの意見もありました。

 

 以上、申し述べました委員会審査の過程において出された各委員の意見や要望等について十分に配慮し、本委員会設置の趣旨を踏まえ、審査の結果等を平成29年度の予算に反映されるよう要請いたします。

 

 日本経済の動向は緩やかな景気回復基調が続いておりますが、新興国の景気減速や英国のEU離脱問題、金融資本市場の変動、さらには米国の次期大統領の下での経済政策等の動向などに留意する必要があると言われております。

 本県経済につきましても同様であります。

 また、国の予算編成においては、2020年度までのプライマリーバランス黒字化が財政健全化目標として掲げられている中、国、地方を通じた最大限の歳出効率化努力が求められており、本県の来年度予算編成などへの影響が生じることも予想されます。

 

 このような状況のなか、執行部におかれては、今後の社会・経済情勢の変化や国の動向等を的確にとらえ、迅速かつ適切な県政運営を行うことにより、「県財政の健全化」と「まち・ひと・しごと創生島根県総合戦略」の実現の両立を図られることを期待いたしまして、決算特別委員長報告といたします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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