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交通網整備促進特別委員長報告

 

 交通網整備促進特別委員長報平成27年2月定例会

 

 交通網整備促進特別委員会の調査結果について、ご報告をいたします。

 

 本委員会は、平成25年5月の臨時会において「防災機能を含めた社会生活基盤及び観光振興に係る交通網の整備促進に関する審査及び調査」を付託されました。

 

 2年間にわたり、高速道路沿線地域の防災、産業・観光振興に寄与する方策を多方面から検討し、高速道をはじめとする高速交通網の整備と継続的な利用促進策を調査し、効果的な施策につなげることを目的とし現地調査や執行部からの報告を受け、調査を行ってまいりました。特に本委員会では、防災への取り組みなど新しい視点でのテーマについても調査を行ってまいりました。

 

<県外調査での報告事項>

 はじめに、昨年1月に九州地域を対象とした県外調査についてであります。

この県外調査では、既存道路施設の活用策や道路交通量の減少による沿線地域の活性化策などに視点を置き、道の駅などを重点的に調査を行ってまいりました。

 

(道の駅等のサービスエリアの活用について)

 まず、道の駅やサービスエリアの活用において、ウェルカムゲートやヘリポートの併設により、交通事故や周辺地区の救急患者の搬送を可能としている事例がありました。これらウェルカムゲートやヘリポートの用途としては、救急車に代って患者を搬送するものと医師が乗り込むものとがございます。九州自動車道のサービスエリアである古賀サービスエリアのヘリポートは過去3回、緑川サービスエリアのヘリポートでは過去2回の実績がございました。

 

 つぎに、災害発生時における道路通行車両の対処を含め、地区の避難所や防災備蓄倉庫などの機能を有する防災施設を整備するなど、多機能化された事例もございました。道の駅つのでは、地元特産品を販売する物産館や情報コーナーのほか、非常時には地域の防災拠点となり、防災用トイレ、非常用電源、防災備蓄倉庫等の防災機能が備えられておりました。

 

(一般道の沿線地域の活性化ついて)

 つぎに、道路沿線の地域活性化についてであります。

 高速道路の開通により、並行する一般道沿線の集客施設への影響を危惧し、観光関連業者など民間事業者と行政との一体感を生み、地域の魅力化を共通認識のもと地場産業の活性化や観光PRに成果を挙げた事例がございました。

 大分県南部振興局では、関係機関、団体、地域が、一体となって「食」を生かした戦略を行い、来訪者を地域につなぎ経済効果に結びつける戦略で成果を挙げておりました。

 

 また、体験型の観光施設(ハイウェイオアシス等)を併設し、一般道路からの出入りを可能とすることで、観光の目的地として効果が得られていた事例もございました。道の駅たるみずでは、地元の物産販売のほか、日帰り入浴施設、日本最大級の足湯が併設される体験型観光施設となっており、オープンの年が87万人、2年目が92万人、現在80万人弱で十分な効果と評価をされています。

 

(宮崎県の取り組みについて)

 つぎに、宮崎県の取り組みについてであります。

 宮崎県の高速道路計画延長は329kmであり、平成26年3月末時点での供用延長は229km、約70%の整備率であり、本県と同じようにミッシングリンクを有しております。一方、台風などの豪雨災害、また甚大な被害が想定されている南海トラフなどの大地震による大規模災害時に備え、東日本大震災を教訓とした道路整備が進められ、国に対しても命を守る意味で高速道路ネットワークの必要性が訴えられていました。

 また、道路環境美化については、限られた財源のなか道路管理者の維持管理にも限界があり、地域住民と協定を結び、道路の草刈りや清掃などが進められている事例がありました。

 

<交通網の整備について>

 これらの結果と本委員会での意見を踏まえ、今後検討を求める事項についてご報告をします。

 

 

(山陰道の整備について)

 まず、山陰道の整備についてであります。

 山陰道は、地域経済の発展に欠かすことのできないものであります。

 山陰道が繋がることにより物流の効率化や商圏の拡大などが期待できるため、産業振興や企業誘致を推進して雇用を創出していくうえで重要であります。

 

 また、島根を訪れる観光客の多くは、自家用車を利用しており、多くの観光客で賑わう出雲大社から、県西部への周遊や広域観光を進めるためにも、山陰道の早期整備が必要であります。

 

 さらに、事故・災害時における代替路としての機能や救急搬送時間の短縮など県民の安全安心を確保するためにも山陰道の果たす役割は重要です。

 県内の整備については、現在事業化されていない益田〜萩間、福光〜江津間の早期事業化を進めるとともに、事業中区間の整備を促進する必要があります。特に、益田〜萩間の事業化については、一括事業化を早期に進めるため、引き続き山口県と連携し、国に向けた要望を行っていくことが必要です。

 

 また、発生が懸念される南海トラフ地震においては太平洋側で甚大な被害が想定されます。このような大規模災害時に備え、太平洋側の代替機能として山陰道の位置づけを明確化にし、早期整備を国に訴えるべきです。

 

(一般道の防災対策について)

 つぎに一般道の防災対策についてであります。

 大規模災害に備え、昨年度、島根県地域防災計画の改訂、緊急輸送道路ネットワークの見直しが行われました。大規模災害時は、被災直後の救急救命活動やその後長期間続く復旧復興活動、広域的な支援を受ける必要があり、こうした活動を支援する路線の未改良区間の整備を優先的重点的に実施すべきであります。併せて、老朽化しつつある道路施設の長寿命化・耐震化についても優先度を見極めて、実施すべきであります。

 

(道の駅の活用について)

 つぎに、道の駅の活用についてであります。

 従来、道の駅は、道路交通の円滑な「ながれ」を支えるため、安心して自由に立ち寄れ、利用できる快適な休憩のための「たまり」空間としての役割が求められており、また、人々の価値観の多様化により、個性的で楽しい空間が望まれて、沿道地域の文化、歴史、名所、特産物などの情報を活用し多様で個性豊かなサービスを提供することでございました。しかし、これらの休憩施設が個性豊かなにぎわいのある空間となることにより、地域の核が形成され、活力ある地域づくりや道を介した地域連携が促進されるなどの効果も期待されるようになりました。道の駅は「通過する道路利用者へのサービス提供の場」から活力ある地域づくりを行うための「地域の課題を解決する場」に成長してまいりました。

 

 これからは「地域の拠点機能の強化」が重視されており、道の駅そのものが目的地となるよう、民間事業者や地域住民と行政が一体となり知恵を出し合うことが必要です。

 

<交通網の利用促進について>

(航空路線について)

 つぎに航空路線についてでございます。

 県内の観光動向については、出雲大社の大遷宮を契機に、東部を中心として好調な入りこみ客数であり、こうした需要動向に対応するとともに、地域の活性化につなげるため、県内航空路線の航空機材の大型化や便数増などの利便性向上に向けて、航空会社への要望や利用促進に引き続き取り組むことが必要です。

 

 一方、羽田発着枠政策コンテストにより2便化した萩・石見空港東京線は、石見地域の活性化に欠かせない交通網であり、2便運航の継続に向けて取り組むことを期待します。

 

<まとめ>

 少子高齢化社会をむかえ、これまでのような税収が見込めなくなり、交通基盤整備についても、真に必要なものを選択することが余儀なくされます。併せて、交通基盤整備が進み、供用区間が増えてくるなか、交通基盤を観光、医療、防災、ひいては定住化など、地域が抱える様々な問題に対して、いかに有効に利用し、効果実績を出していくかが問われる時期に差し掛かっており、このことを広く国民に知らしめることこそが、未事業化区間の早期事業化や事業中区間の早期整備の後押しに繋がるものであります。

 社会資本整備が進み、多くの社会資本ストックができています。これからは、既存の社会資本の利活用についても考えていく必要があり、民間事業者や地域住民と行政が一体となり知恵を出し合うなど、広く国民を巻き込む必要があり、最小限の費用で既存施設に付加価値を付け、大きな価値を見出すことが必要であります。また、既存施設に長寿命化対策を施すことにより、耐用年数を延伸し大事に使うことも必要だと考えています。

 執行部におかれましては、今後とも議会と連携し、県民本位の社会資本整備に取り組んでいただくことを切に要望し、本委員会の最終報告といたします。

 



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