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地方分権・行財政改革調査特別委員長報告

 

 地方分権・行財政改革調査特別委員長報平成27年2月定例会

 

 地方分権・行財政改革調査特別委員会の調査結果についてご報告をいたします。

 本委員会では、(1)県の実情に即した望ましい地方分権のあり方について調査検討すること、(2)行財政改革の進捗状況、その効果及び課題等について調査検討を行うこと、(3)「道州制」について、国の動向を注視しながら、県の実情に即して議論を行い、調査検討を行うこと、以上3点のテーマを目的として平成25年5月臨時会において設置され、執行部からの報告を受けながら調査を行ってきました。

 以下、その調査結果及び本委員会からの意見や要望等についてご報告いたします。

 

 まず初めに「地方分権」についてです。

 地方分権改革については、義務付け・枠付けの見直し等について地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(第3次一括法)が平成25年6月に成立しました。その後、残された国から地方への事務・権限の移譲も、第4次一括法が平成26年5月に成立しました。

 今後は、地方の発意に根ざした新たな取組みを推進することとされ、具体的には「事務・権限の移譲及び規制緩和に関する提案を地方公共団体等から募集する」とする提案募集方式の導入が地方分権改革推進本部において決定されました。

 県においては、事務遂行に支障となる事例などを踏まえて提案していくこと及び中国5県で賛同できるものは共同提案を行っていくことを取組方針とし、県が提案したものを含め中国地方知事会として26件が内閣府に提出されました。

 地方から提出のあった提案事項について、地方分権改革有識者会議及び専門部会の調査審議などを経て、平成27年1月に地方分権改革推進本部及び閣議において対応方針が決定されました。

 具体的には866件の提案に対し、農地転用許可権限の移譲など495件が提案の趣旨を踏まえ対応する等とされる一方、371件が実現不可とされました。中国地方知事会からの提案26件は、17件が提案の趣旨を踏まえ対応する等とされました。

 今後、対応方針に沿って地方への事務・権限の移譲、義務付け・枠付けの見直し等が進められ、現在行われている通常国会において、所要の一括法案が提出される予定になっています。

 

 以上の調査を踏まえ、県の実情に即した望ましい地方分権のあり方について、次のとおり意見・要望を行うものです。

 

 まず、地方分権改革を真の改革とするためには、平成14年から行われた三位一体の改革において、地方の財源不足が課題として浮き彫りになったことも踏まえ、地方が行う事務・権限に見合う財源が制度的に確保されなければならない。

 地方分権を進めるにあたっては、地方交付税など必要な地方財源の総額を確保するとともに、社会資本整備や財政力の地域間格差に配慮した財源措置が図られるよう国へ要望していくこと。

 

 次に、事務・権限移譲及び規制緩和に関する提案を行うにあたっては、県民の生活を守っていくことを基本理念とし、県民にとって本当にプラスになるかどうかを十分吟味の上、しっかりと県の考えを主張しながら取り組んでいくこと。

 

 次に、全国一律に事務・権限移譲が難しく選択的な移譲となる場合については、県内自治体間で対応が異なることにより住民サービスに重大な格差が生じ、住民の生活に支障を来すことのないよう、県として必要な対応を行っていくこと。

 以上が、本委員会の「地方分権」に関する調査結果の報告です。

 

 次に、「行財政改革」についてです。

 本委員会では、平成19年10月策定の財政健全化基本方針及び今後の財政健全化の取組み方針に基づく財政健全化の取組などについて調査を行いました。

 以下、主な事項に関して個別にご報告します。

 

 まず、財政健全化基本方針等に基づく財政健全化の取組についてです。

 集中改革期間終了後、平成24年度から27年度を経済情勢や国の地方財政対策等を注視しながら適切な経済財政運営を図るための経過監視期間と位置づけ、集中改革期間の取組実績を土台として財政健全化の取組を推進してきた結果、これまでのところ健全化の目標に沿って収支改善が図られているとの報告を受けました。

 しかしながら、今後の財政見通しによると当面の間、収支不足額が毎年度90億円から105億円程度で推移すると見込まれることから、引き続き職員定員の削減、事務事業の見直し及び財源の確保等により収支改善を図っていく必要があることもあわせて報告されました。

 

 また、定員管理については、平成14年度以降一般行政部門を中心に1,500人の定員削減実施に向け取り組みが行われています。

 具体的には、防災体制の強化及び災害対応、観光事業をはじめとした産業振興への対応など新たな行政需要が次々生じていることを踏まえ、必要な人員体制に機動的かつ弾力的に対応できるよう、29年度までの削減目標を1,300人程度とする。

 1,500人削減については県財政の状況や今後見込まれる再任用職員の増加などを勘案しながら、平成29年度以降も継続的に取り組んでいく。

 平成26年4月1日現在1,087人の削減実績となった。

 以上の内容について執行部から報告されました。

 

 次に、指定管理者制度についてです。

 指定管理者制度は平成15年度の地方自治法改正により制度創設され、現在26施設に導入されています。

 平成23年度から、適正な業務履行の確保及び業務改善等を目的とした業務評価制度を実施しており、平成25年度は全ての施設が内容どおり適正な管理が行われているA評価以上であった旨執行部から報告されました。

 また、平成27年度の一斉更新にあたり、非公募基準の設定や、一部施設における指定管理期間の延長等、指定管理者制度共通ガイドラインの改定が行われました。

 

 次に、外郭団体についてです。

 県が出資する法人等の健全な運営に関する条例に基づき、対象17団体において財務状況及び事業の実施状況などをもとに経営評価が実施されました。

 この経営評価をもとに県が総合評価を実施した結果、評価が下がった団体はありませんでしたが、評価が低い(C、D評価)3団体については評価が変わらなかった旨執行部から報告を受けました。

 

 以上の調査を踏まえ、「行財政改革」について、次のとおり意見・要望を行うものです。

 

 まず、財政健全化について、おおむね基本方針に沿って進められているが、県の財政状況は依然厳しい状況にあり、県財政が大きく依存している国の財政も同様に厳しい状況が続いている。国及び経済情勢等の変化に適切に対応できるよう、引き続き注視を続けるとともに、地方交付税の配分状況などを見ながら、臨時財政対策債の発行抑制などについても検討し、より一層の財政健全化を進めていくこと。

 

 次に、定員管理について、引き続き事務の効率化や事務事業の見直しに努めるとともに、災害対応など新たな行政需要の発生及び地方分権による権限移譲など事業量が大きく変動することが予想される。県民の生活をどうやって守っていくべきかを基本理念として、事業量を分析の上、県民サービスの低下につながらないよう、人員体制を絶えず見直しながら取り組んでいくこと。

 また、市町村合併の結果、県の出先機関の所管エリアと同一となった市町村と事務が重ならないよう役割分担を行うといった取組や、民間からの助言を得るといった取組を行いながら、効率的な事務執行及び人員体制整備について検討していくこと。

 

 次に、指定管理者制度について、業務評価結果から、全ての施設において適正な管理が行われていたところであるが、引き続き運営状況の把握をしていきながら、業務改善に向け取り組んでいくこと。

 また、指定管理者選定にあたり施設の設置目的及び存在意義を担保できる経営体かどうかの基準を盛り込む、施設を最大限活用していくための休日設定を行うといった視点を踏まえ、県民サービスにつながる指定管理者制度のより一層の推進について検討していくこと。

 

 次に、外郭団体については、総合評価の結果、評価が下がった団体はなかったものの、課題を抱える団体もいくつか見受けられた。このことから、引き続き毎年度の経営評価を通じて財務や組織体制など団体の状況を点検するとともに、団体の持つ役割を踏まえ効率的・効果的な事業実施に向け、適切な指導を行っていくこと。

 以上が、本委員会の「行財政改革」に関する調査結果の報告です。

 

 次に、「道州制」についてです。

 道州制については、基本法案が与党内で議論されてきましたが、地方の反発などにより法案提出に至りませんでした。

 この状況の中、平成25年7月、全国知事会において道州制基本法案のあり方について意見書が取りまとめられました。具体的には、道州制の必要性、理念や姿、格差是正の仕組みなどを明確に示すことなどが指摘されました。

 県においても、国・地方合わせて多額の財源不足がある中、国と地方の仕事とその財源をどう配分し直していくのか、国の膨大な長期債務がある中、仕事と財源を地方に移譲した場合、この債務をどのように償還していくのかという問題点を指摘し、国として慎重にすべきであることを主張していく考えである旨執行部より報告がありました。

 

 以上の調査を踏まえ、「道州制」について、次のとおり意見・要望を行うものです。

 

 道州制に関しては、国・地方においてその是非をめぐって意見が分かれており、全国知事会及び町村会をはじめ、地方においては国として諸問題を整理した上で慎重にすべきとの考えであり、未だ道州制を地方が受け入れる体制にはなっていない。

 一方で、道州制は地方分権改革のみならず、わが国のあり方にかかわる非常に大きな改革であり、県にとって道州制がどのように影響するのかという観点からも将来的には課題整理を目的とした検討チーム設置などの対応が必要になると考えられる。

 引き続き国の動きに十分注視し、慎重かつ適切に対応していくこと。

 以上が、本委員会の「道州制」に関する調査結果の報告です。

 

 終わりになりますが、執行部におかれては、厳しい財政状況の中、今後とも県民生活を第一に考えながら、確実に地方分権・行財政改革を推進していただくことを切に要望し、本委員会の最終報告といたします。

 



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