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建設環境委員長報告

 

   建設環境委員長報告     平成25年2月定例会(3月21日)

 

 建設環境委員長報告をいたします。

 今定例会において建設環境委員会に付託されました議案のうち、既に3月12日に報告いたしましたものを除く議案の審査結果等について報告いたします。

 

 本委員会に付託されました議案は、「平成25年度島根県一般会計予算」など予算案16件、「島根県行政機関等設置条例及び島根県部設置条例の一部を改正する条例」など条例案5件及び「契約の締結について《一般国道375号湯抱バイパス社会資本整備総合交付金(改良)湯抱トンネル工事》」など一般事件案2件であります。

 これらの議案について、執行部に説明を求め、慎重に審査いたしました結果、予算案第4号議案、第18号議案から第21号議案については賛成多数により、その他は全会一致をもって、原案どおり可決すべきとの審査結果でありました。

 

 次に、議案の審査過程における執行部からの説明、委員からの質疑、意見等のうち主なものについて報告いたします。

 

  まず、平成25年度予算及び平成24年度補正予算についてであります。

 環境生活部の予算審査において、委員から、しまね社会貢献基金事業について、この基金への寄付やNPOへの寄付は、いずれも少ないと思う。県がもっとPRをするべきである。また、NPO自らが寄付を集められるように研修などを行うべきではないか、との意見がありました。

 執行部から、東日本大震災もあり、日本全体では寄付は増えているようだが、この基金への寄付は伸び悩んでいる。PRの必要性は認識しており、今年度はこの基金への寄付が多い年末に向け、イベントの場で活動や制度の紹介、テレビ、ラジオでのコマーシャルなどを行った。なお、県内のNPOへの寄付については、状況を把握していない。また、寄付を集めるためのNPOの研修については、活動の共感を得る方法などを内容とした寄附獲得のための講座を開催をしている。これらにより、寄付の促進を図っていきたい。との説明がありました。

 

 土木部の予算審査において、委員から、平成25年度当初予算について、安全・安心の確保や産業振興・地域活性化、緊急性などの視点で、国の交付金や補助金を活用し、できるだけ県費を抑え、よく考え工夫していると思う。今後、維持補修や老朽化対策等が一層必要となり、取り組んでいかねばならないが、新規事業についての考え方、また、市町村等からの要望との調整、整合性についてどう考えているか。との質問がありました。

 執行部から、維持補修を最優先に考えている。施設の管理をしっかりして、県民の安全を図ることが前提である。新規事業については、県土整備事務所の企画調整スタッフが中心となって、市町村や地域の要望を聞いて、県として優先順位をつけ事業を進めていきたい。との説明がありました。

 

  次に、企業局の予算審査において、委員から、企業債の繰り上げ償還を行っているのか。資金調達にも、コスト意識を持ち、収支のバランスを見て適時適切な対応をお願いしたい。との意見がありました。

 執行部から、企業債の繰り上げ償還については、今年度まで、国の繰上償還に係る補償金免除措置を利用し取り組んできた。また、資金調達については、借入だけでなく内部資金の融通等も検討するなど、コスト意識を持って行っていきたい。との説明がありました。

 

 次に、報告事項など所管事項に関連したものについて申し上げます。

 土木部の所管事項についてであります。

 執行部から、2月28日、中国電力から国土交通省中国地方整備局長に潮発電所水利使用(更新)許可申請が、提出されたことについて報告がありました。

 委員から、県は、今後、国から照会がありこれについて、総合的な立場で意見を言うことになるとのことだが、神戸川の水質が悪いため、いくら返すかが適当かということならば、専門委員会で、その量について科学的に議論をすべきであった。

しかし、神戸川再生推進会議の要望は、水利権を全部返せと言っている。こういう0か100かというものを、政治家が議論の俎上にあげるのはいかがなものかと思う。島根だけの問題ではなく、日本のエネルギー政策を抜本的に左右する問題になると思う。今回の要望を受け入れれば、今後、全ての水力発電で同様なことが起きる可能性がある。全ての水力発電所は、自然の川をせき止めて人間の利益の為に作られた。自然環境を守ることを理由にすれば、何らかのクレームを付けられる。火力発電所においても同様のクレームが付けられる可能性がある。知事自らが政治家としてどう考えるのか、冷静に良識を持って適切な判断をお願いしたい。との意見がありました。

 また、神戸川に水を返す必要性は感じている。ただ、黒白を付けるようなやり方から、住民の対立感情が出ることを心配している。川の上流、下流の対立にもなりかねない。これにより、これまで、積み重ね合意してきた人たちの善意や、我慢して一生懸命見つけた妥協点にそった決定が嘘に聞こえ、懸念や不満が高じつつある。何とかソフトランディングさせないといけない。知事には、一番良い選択を導き出してほしい。

 さらに、運動されている方々は一生懸命であるが、住民に対立が生じており、非常に残念である。後世に禍根を残さないよう冷静に議論をするべき。今後は、再生エネルギーを軸にすべきと思う。再生推進会議の要望のように、水を100%返せでは来島ダムは廃止となり、水力発電ができない。それはどうなのか。清流を戻すことは賛同するが、様々な感情が入れば結果的に住民にとって不幸と思う。知事は、自分の考えを述べイニシアチブを発揮していただきたい。などの意見がありました。

 

 次に、本委員会が、今年度取り組んでまいりました調査テーマ「持続可能な社会に向けた省エネの推進について」に関する調査結果を報告いたします。

 

地球温暖化対策については、地球全体で進めていかなければならない課題であり、すべての人が取り組まなければ解決できません。

本県では、温室効果ガスの9割以上を占める二酸化炭素排出量は、平成21年度において、平成2年度比で10.9%増加しており、なかでも、民生業務部門及び民生家庭部門の増加が著しい状況です。

そこで、本委員会は、環境への負荷の少ない持続可能な社会を構築するためには、エネルギー使用の少ない低炭素社会を実現していくことが必要であり、県民、事業者、行政が一体となって省エネルギーの取組を推進する方策を検討するため、実地調査を行いしました。

 

県外調査は、富山県において、温室効果ガスの大幅な削減など低炭素社会の実現に向け、高い目標を掲げて先駆的に取り組んでいる富山市、鉄道事業者及び黒部市宇奈月温泉において、エネルギーの地産地消による地域の活性化を目指している実行委員会を訪問いたしました。

富山市は、郊外への人口拡散により自動車依存度が著しく高いため、平成26年度末の北陸新幹線開業を見据え、「公共交通の活性化によるコンパクトなまちづくり」を進められており、日本初の本格的な軽量軌道のライトレールやレンタルサイクルシステムなどの導入を進められ、行政・市民・調査した鉄道事業者が一体となって二酸化炭素排出量の削減に取り組み成果を上げていました。

黒部市宇奈月温泉の実行委員会では、宿泊客が減少するなかにあって、電気自動車100%の街として世界的に有名な観光地であるスイスのツェルマットをモデルとして、建設会社の社長さんがリーダーとなって、電気乗合バスの導入など低炭素型観光地を目指したプロジェクトを産学官が連携し実施することにより、二酸化炭素排出量の削減を目指していました。また、このプロジェクトがコンベンションの開催・招致等の経済効果にもつながっていました。

いずれも地域の課題を解決するため、「低炭素型社会の実現」を柱に取り組まれていました。

 

一方、県内調査では、奥出雲町のショッピングセンター、益田市の病院及び浜田市を訪問いたしました。

奥出雲町のショッピングセンターでは、環境問題をビジネスチャンスと捉え、問題解決の取り組みを経営力の向上と位置づけ、「地域のエコの拠点になろう」を合い言葉に、二酸化炭素排出量削減をねらった設備改善等を行い、環境にやさしい顧客に支持される環境配慮型経営を実践していました。

益田市の病院では、大規模設備改修や省エネルギー改修にかかる費用を光熱水費の削減分で賄うESCO(エスコ)事業に取り組まれていました。この取り組みは、大企業が中小企業などの省エネを支援して温室効果ガスの排出を減らせば、それを支援した大企業が減らしたと見なされる「国内クレジット制度」への全国第一弾の参加につながりました。

浜田市では、各実施主体や自治区ごとに、地域の実情に応じた具体的な取り組みの中核的な役割を担う協議会を立ち上げ、温室効果ガス削減目標の達成に向け、チャレンジシート利用の取り組みによりエコライフの普及啓発を図るなど、様々な取り組みが行われていました。また、市内小学校において、ペットボトルのキャップを回収し、その売却益で世界の子どもたちにワクチンを届ける運動に参加し、低炭素型社会、循環型社会といった環境教育だけでなく国際社会貢献に向けた取り組みとして、身近にできる実践活動が行われていました。

 

以上の調査を踏まえ、持続可能な社会に向けた省エネの推進について、本委員会としての意見をとりまとめたので、以下の視点で検討されることを要望するものであります。

まず、本県においては、島根県地球温暖化対策協議会を中心として、市町村でも地域協議会の設立が進められ、地球温暖化対策を全県で展開しています。より一層の取り組みを進めるため、県民、事業者、行政が連携して観光地における先駆的な省エネルギーの取り組みを進めるなど、地域活性化の視点を加味して低炭素型の地域社会づくりを推進していくこと。

次に、子どもたちに対する省エネルギーをはじめとする環境教育に国際社会への貢献活動を組み合わせるなど、子どもたちの実践意欲の向上につながる取り組みを広げていくこと。

 以上が、本委員会の調査テーマに関する調査結果の報告といたします。

 

 以上、建設環境委員会における審査の概要等を申し述べまして、委員長報告といたします。

 

 

 



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