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決算特別委員長報告

 

       決算特別委員長報告 平成22年11月定例会(12月17日)

 

 決算特別委員長報告をいたします。

 

  本年9月定例会で上程された公営企業会計並びに一般会計及び特別会計に係る平成21年度の決算の認定議案6件につきましては、本年9月、決算特別委員会を設置して以来、決算審査の結果を平成23年度の予算に反映させるべく精力的に審議・調査を行ってきたところであります。

 以下、その経過及び結果について申し上げますが、はじめに、国及び本県の経済、財政等の状況について申し上げます。

 

 一昨年秋の米国の金融危機に端を発する世界的な景気後退は、日本、そして本県の経済・雇用情勢に深刻な影響を及ぼしました。国は累次の経済対策を実施、県では国の対策に呼応し、さらに県独自の対策も加えて、景気・雇用対策を切れ目なく実施してこられました。

 国・県の景気対策等による内需喚起や輸出の増加などにより、日本の景気は持ち直しつつありましたが、このところ「足踏み状態」となってきており、雇用情勢は依然として厳しく、欧米経済の減速や円高の進行など先行きに懸念が生じています。

 本県におきましても、景気の先行きに不安感が広がっており、来春の新規学卒者等の内定状況も厳しい情勢にあります。

 このような中、11月末に国の追加の経済対策を盛り込んだ補正予算が成立すると、県でも迅速にこれに対応されたところであります。

 一方、本県においては、「財政健全化基本方針」に基づき、平成20年度から平成23年度までの4年間を集中改革期間として、抜本的改革に取り組んでいるところでもあり、厳しい財政運営が続いています。 

 

 以下、平成21年度における歳入歳出決算について、申し述べます。

 まず、一般会計と特別会計についてであります。

 一般会計は、歳入総額が5,831億円余、歳出総額が5,757億円余であり、翌年度に繰り越すべき財源を差し引いた実質収支額は32億円余の黒字でありました。

 11の特別会計を合算した歳入総額は1,490億円余、歳出総額は1,436億円余であり、実質収支額は50億円余の黒字でありました。

 また、一般会計と特別会計との会計間の 繰入・繰出 の重複分を控除して合算した純計額である普通会計でみますと、歳入総額は5,865億円余、歳出総額は5,750億円余と、前年度に対しいずれも13%余の増となっており、国の経済対策等により平成13年度以来8年ぶりの増加となりました。

 「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」に基づく平成21年度決算に係る財政健全化判断比率については、4指標とも早期健全化基準を下回っており、数値的に改善の傾向にありますが、実質公債費比率は17.3%であり、全国では40位と依然厳しい状況にあります。

 また、平成21年度末の基金残高は375億円余であり、財政健全化基本方針により目標とされている額を確保していますが、県の財政見通しによると、まだ相当額の収支不足が見込まれております。

 来年度は集中改革期間の最終年度であり、引き続き行政の効率化・スリム化、事務事業の見直し、業務量を考慮した人員削減、財源の確保等、収支改善の努力を続けられるよう求めます。

 一方で、現下の厳しい経済・雇用情勢に鑑み、国等の動向を注視し、必要な対策を適切・迅速に講じられるよう求めるものであります。

 また、経済対策として積み立てた基金を活用した事業については、効果的な事業の執行に努められるよう求めます。

 

 次に、病院事業会計の決算についてであります。

 中央病院については、単年度で純損失を3億円余計上し、累積欠損金は134億円余となっておりますが、減価償却費など現金支出を伴わない費用を除いた償却前損益は16億円余の黒字となっております。

 全国的に地方の医療従事者の確保が厳しい中、病院局では、人事委員会から採用選考の権限を受任、また、院内保育所を開設するなど、医療従事者の人員確保、離職防止に努められたところですが、特定の診療科では医師の確保が十分でない状況となっております。

 今後も勤務医の負担軽減や処遇改善、臨床研修医の確保・定着を図り、職員の健康や医療の安全確保等に留意した働きやすい職場環境づくりに努められ、県の基幹病院として、医療情勢が深刻さを増す中、地域の医療機関との連携を一層推進するとともに、健全経営を維持し、質の高い高度医療、政策医療等を効果的・安定的に提供されるよう求めます。

 こころの医療センターについては、単年度で純損失が2億円余となり、累積欠損金は24億円余となっておりますが、償却前損益は9千万円余の黒字となりました。

 センターでは、昨年4月から精神科の中では最も高規格な施設基準である「精神科救急入院料」を取得され医業収益は増収となりましたが、依然として経営環境は厳しい状況にあります。

 県の精神医療の基幹病院として、医療の質の向上を図り、引き続き「精神科救急入院料」の施設基準の維持について取り組まれるとともに、PFI事業導入後初めてとなる見直しを適切に行い、効率的な管理運営に努め、安定した経営基盤を確保されるよう求めます。

 現在計画期間中の「島根県病院事業中期計画」の見直しにあたっては、診療報酬の改定状況や医療環境の変化等に的確に対応した計画となるよう、また、新病院開院後10年を経過する中央病院の医療機器や施設・設備の更新・拡充について適切に反映されるよう求めます。 

 

 次に、電気事業会計、工業用水道事業会計、水道事業会計 及び 宅地造成事業会計の決算についてであります。

 各事業会計の営業実績は、電気事業は純利益5千万円余、工業用水道事業は純損失3千万円余、水道事業は純利益1億9千万円余、宅地造成事業は純利益27万円余を計上しております。

 企業局の今後の事業運営においては、当面取り組むべき課題として、風力発電事業における設備利用率の向上や、来年4月から供給開始が予定されている斐伊川水道と飯梨川水道の連携による東部地域の水の安定供給等があり、また、中長期的には、発電設備の計画的な更新や電力自由化による価格競争への対応、安全・安心な水の安定供給に向けた施設・設備の計画的な改良・更新や危機管理対策の充実強化、宅地造成事業においては分譲促進等があります。

 企業局においては、現「経営計画」の計画期間が本年度末となっており、現在、 次期「経営計画」を策定中ですが、今後の事業運営における諸課題や、地方公営企業を取り巻く環境の変化に適切に対応できるよう、実効性のある計画を策定し、経済効率性と公共性を最大限に発揮して事業運営に当たられることを求めます。

 

  本委員会におきましては、全体会及び4つの分科会において、平成21年度に係る予算執行が、議会の議決の趣旨及び関係法令等の規定に従い、適正かつ効率的に行われたか、施策の効果が十分上がったか、また、今後改善を要する点は何か、などの諸点に視点を置いて、出納局及び関係各部局長から各種の資料の提出を求め、詳細な説明を聴取しました。

 さらに、監査委員からは、決算審査の意見について説明を聴取するとともに、監査の途上で気づかれた「組織及び運営の合理化に資するための意見」の説明を受けたところであります。この意見に対する改善措置について、執行部におかれては、内容に応じ、できうる限り速やかに実行に移されるよう求めます。

 以上のような審査の結果、平成21年度決算については、いずれも(賛成多数・全会一致)により認定すべきものと決定いたしました。

  また、今後改善すべきものとして指摘した事項は、お手元に配付しております「平成21年度決算における指摘事項」のとおりであります。この事項に配慮し、本委員会の設置の趣旨を踏まえ、審査の結果等を平成23年度の予算に反映されるよう要請し、決算特別委員長報告といたします。

 

 

  【平成21年度決算における指摘事項】

                              

(一般会計及び特別会計決算)

 

1.土木部公共事業費について

 

 土木部の公共事業費については、財政健全化基本方針を堅持しつつも、国庫補助事業や交付金事業の積極的な導入及び経済対策などにより事業量の確保が図られ、松江第五大橋道路等の大規模プロジェクトや災害復旧を除いた平成21年度の事業費は、平成19年度と比較すると、県内7圏域すべてにおいて増加したところである。

 しかしながら、石見・隠岐地方や中山間地域における社会資本整備は、依然として遅れており、整備を着実に進める必要がある。

 今後、公共事業の見直しなど国の施策が大きく転換される中で、公共事業については、地域経済に及ぼす影響を考慮し、引き続き石見・隠岐地方や中山間地域の実態を勘案した予算配分や県内各地域の特性に配慮した執行に努められたい。

 

 



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