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文教厚生委員長報告

 

文教厚生委員長報平成21年2月定例会(3月12日)

 

 文教厚生委員長報告をいたします。

 今期定例会で文教厚生委員会に付託されました議案の審査結果等について、報告いたします。

 本委員会に付託されました議案は、予算案8件、条例案14件及び議員提出議案1件であります。

 

 予算案及び条例案については、執行部に説明を求め、慎重に審査いたしました結果、いずれの議案も全会一致をもって、原案どおり可決すべきとの審査結果でありました。

 また、議員提出第2号議案「保育制度改革に関する意見書」については、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。

 

 次に、議案の審査過程において委員から出された質疑や意見等のうち、特に平成21年度当初予算に関する主なものについて申し上げます。

 

 まず、子ども読書活動推進の新規事業についてであります。

 執行部から、小中学校の図書館の充実を図るため、市町村に対して学校司書やボランティアの配置を支援するとともに、司書教諭の養成講習を実施する、との説明に対し、委員から、学校司書等の研修実施や司書教諭の資格取得の目標数について質問がありました。

 これに対し、執行部からは、県立図書館が学校司書等の「人材養成研修」を実施する。

 また、司書教諭の全校配置を目指して、平成25年度までに170人の資格取得を計画している。との回答がありました。

 

 次に、隠岐病院の整備についてであります。

 執行部から、老朽化した隠岐病院の新築建て替えは、総事業費約50億円、病床数115床で平成24年度の開院を目途に進められる、との説明に対し、委員から、隠岐圏域に必要な医療がどのように確保されるのか、また、そのことが地元住民に理解されているか、との質問がありました。

 これに対し、執行部からは、隠岐では、本土の病院との連携による遠隔画像診断やヘリコプターで患者を搬送する救急医療システムなど、本土の医療機関との役割分担と連携により医療提供が図られている。

 こうした実情を背景に、住民の間でも、離島の医療を考えようと住民組織が立ち上がり、シンポジウム開催や啓発活動が展開されている。隠岐病院も院長やスタッフが地域を回り、住民説明会で病院の役割について意見交換されるなど、隠岐圏域に必要な医療について住民自らが考える動きが活発化しており、住民参加の議論のもとに新病院の整備が計画されているものと理解している。との回答がありました。

 

 次に、請願の審査について申し上げます。

 継続審査中の請願13件について、執行部から状況説明を受け慎重に審査しました結果を申し上げます。

 請願第29号「周産期医療の充実を求める請願」について、請願項目2の妊婦健診無料化の国への働きかけについては、国において生活対策の一環として健診14回分の公費負担の措置がなされたことから、この項目については「採択」とし、国への意見書等の提出は行わないこととすべきとの審査結果でありました。

 また、同請願の他の項目及びその他継続審査中の12件については、いずれも結論が出せる状況にないことから、引き続き「継続審査」とすべきとの審査結果でありました。

 

 次に、議案の発議について申し上げます。

 委員から、国内に350万人以上の患者・感染者がいると言われるウイルス肝炎について、全国規模で肝炎対策を推進する必要があり、国に対して肝炎対策のための基本法の制定を求めることが提案され、全会一致で意見書の提出が決定されました。「肝炎対策のための基本法の制定を求める意見書」につきまして、後ほど中村副委員長が提案理由を説明いたしますので、ご賛同いただきますよう、よろしくお願いいたします。

 

 次に、報告事項など所管事項調査に関連したものについて申し上げます。

 

 まず、看護学生や医学生等に対する修学資金の貸付事務に係る不適切事案についてであります。

 このたび公表された事案について、その事務処理が極めて不適切であったことは、誠に遺憾であります。

 この原因は、行政組織としてのチェック体制のあり方とともに、組織内での報告、連絡、相談についても大きな問題があったことであります。

 また、状況把握を優先するあまり公表が遅れたことで、隠ぺい体質との疑念をもたれる結果となったことは大いに反省すべきであり、その公表時期を適切に判断することが重要であります。

 この事案を全庁的な課題として3月5日、業務点検委員会ではチェック体制の構築などをはじめとする改善方策が示されました。

 知事をはじめとする執行部は、再発防止はもとより、県民の信頼を取り戻すため、組織の連絡体制の強化など、改善方策を確実に実行するよう求めます。

 

 最後に、本委員会が平成20年度所管事項調査として取り上げた「介護関係職員の処遇改善について」報告し、調査のまとめといたします。

 

県内には、1,300余りの介護関係事業所があり、様々な勤務形態で1万人余りの方が介護業務に従事しておられます。これらの方々の処遇には、介護保険施行後2度にわたる報酬切り下げ等の影響もあり、全産業平均の給与と比べて大きな格差が生じ、全国的に職員の定着率や士気の低下が大変大きな問題となっております。

一年前の委員会のテーマ設定に際しては、国による介護報酬のアップがなされなければ本質的な対策とならず、県議会あるいは県レベルで有効な対策がとれるかという疑問の声もあり、テーマ設定にためらいもありました。しかし、介護職場に質量ともに十分な人材を確保することは喫緊の課題であるとの認識のもと、敢えて、これをテーマとして調査活動を開始しました。

 

 調査活動は、介護労働安定センターによる全国の状況調査のヒアリングや関東地区の事業所訪問、また、県内の事業所訪問や事業所関係者を招請してのヒアリング及び意見交換等を行うとともに、健康福祉部が行った事業者及び従業者に対するアンケート調査結果についても説明を受けました。

 

 幸いにも、調査活動中のこの一年間に介護職員確保の重要性に関する世論の高まりもあり、国は今回の雇用対策の一環として介護報酬のアップなど処遇改善を打ち出して来ました。この機会に、庁内横断的に「福祉・介護人材確保対策プロジェクトチーム」を立ち上げられた県の姿勢を評価するとともに、目的達成への継続的な活動を求め、当委員会としての意見を述べることといたします。

 

 まず、第一は介護報酬のアップを中心とする国への働きかけについてであります。

 平成21年4月から介護報酬単価が3%引き上げられることとなりましたが、一定の条件を満たした場合の加算を主体としたものであるため、給与の改善に結びつくかどうか懐疑的な意見があります。この引き上げによって、どの程度賃金水準の改善が図られるのか、更なる介護報酬アップの必要性は如何かなど、注意深く見守っていくべきであり、必要があれば国に対し改善を要望していかねばなりません。

 また、今回の調査は介護保険事業所を中心に行いましたが、障害者施設においても障害者自立支援法の施行以降、同様な課題があります。障害者自立支援法施行後3年の見直しを目標に、昨年12月に出された社会保障審議会障害者部会報告では、来年度から障害者福祉サービス報酬5.1%増の改定が予定されているところであります。高齢者介護同様、改善努力が必要です。

 

 第二に、県独自に対応できる処遇の改善についてであります。

 ヒアリングやアンケートの結果では、多くの介護従事者は条件さえ許せば仕事を続けたいと高い意欲を持っており、給与以外にも、職場の人間関係、就労環境、スキルアップの機会などが定着率向上の要因としてあげられております。こうした点を改善する取り組みとして、研修や人事交流など、更には先進的な事例として正規職員化の推進、給料表の作成などが実施されております。

 県が来年度から実施する「介護人材確保・定着推進事業」については、こうした課題への主体的取り組みとして評価するものでありますが、以上述べました事柄も踏まえ、また、そのほかの事業者や従業者が抱える様々な課題解決に向けて、県としても今後一層積極的な対策を講じられるよう要望し、委員長報告といたします。

 



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