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平成20年11月定例県議会知事提案理由説明要旨

平成20年11月定例県議会知事提案理由説明要旨(平成20年11月26日)

 

 定例議会開会にあたり、諸議案の説明に先立ちまして、県行政の最近の動向についてご説明し、併せて、私の所信の一端を申し述べたいと思います。

 

(最近の経済情勢と国の経済対策)

 まずはじめに、今、起こっております内外経済の大きな変動に対処するための対策について申し上げます。

 米国で起こった金融危機が世界経済に深刻な影響をもたらし、それにより日本でも株価の下落、主要産業での減産など、厳しい景気後退が起こり始めております。そして、国民生活や地方経済、県財政などにも大きな影響が及んでくることが心配されております。

 こうした中で、政府は、八月末の経済対策に引き続き、中小企業金融の拡充、国民への定額給付金、地方自治体への臨時交付金の交付などを柱とした、事業規模約二十七兆円の追加経済対策を十月末に発表しました。

 内外経済の先行きに大きな不安がある中で、いわば経済の危機管理のためにとられた対応であります。この中には、地方に配慮した対策も多く含まれており、この対策に係る国の補正予算の早期編成と速やかな成立が期待されております。

 

(県の対応)

 県と致しましても、これまで、中小企業に対する緊急の金融支援策や燃油高騰に対応した農家や漁業者への省エネ対策などの対策を取ってきておりますが、今議会には、これまでの国の経済対策に対応した補正予算案を提出致しました。この中には、県民生活の安心のための社会資本整備や農家の資金繰り支援のための低利融資制度の創設などを盛り込んでおります。

 しかし、国の経済対策につきましては、現段階でまだ、具体的内容が固まっていないものもありますので、今後さらに、その動向をよく確認しながら、県の来年度の予算編成作業の中で必要な対策を切れ目のないよう講じていく考えであります。

 

(企業誘致等)

 こうした厳しい経済状況の中、産業の振興は極めて重要な課題であります。

 企業誘致につきましては、今年度認定した立地計画が、件数で十五件、総投資額は約百四十億円、新規雇用計画数は四百人を超えました。

 十月三十日には、広島市において立地セミナーを開催し、百三十社二百人の企業の皆さんに島根県への立地を働きかけました。

 また、ソフト系IT企業や技術者に向けまして、島根県の立地環境などを「しまねスタイル」として情報発信する専用のホームページを十月から開設致しました。

 県外に進学したり、あるいは就職した県出身者の島根へのUIターンを促進するため、大阪や広島で島根の企業の求人説明会を実施したり、ふるさと島根定住財団等と連携し、こうした人々に対する県内求人情報の提供を積極的に行っております。

 今後とも、企業立地を優遇する制度や県出身者のつながりなどを活用しながら、産業振興に全力で取り組んでまいります。

 

(観光振興)

 次に観光振興について申し上げます。

 県内の観光客入り込み数は、昨年、石見銀山の世界遺産登録を契機として大幅に増加しましたが、今年も、出雲大社の遷宮や松江開府四百年の行事などにより昨年を上回る状況で推移しております。

 今月十三日に、アクアスでは「ペンギン館」が完成・オープンし、十九日には入館者数が、開館から九年目で五百万人を突破しました。新たに加わったペンギンが、シロイルカとともに新しい人気者となり、さらに入館者が増えることを期待しております。

 十月には大阪で、旅行会社など約二百名の方々を対象に「観光情報説明会」を開催し、石見銀山や出雲・隠岐の観光の魅力を映像などにより紹介しました。

 私もその折、JR西日本とNHK大阪放送局を訪問し、関西圏からの観光客誘致や、連続テレビ小説「だんだん」を活用したPRについて意見交換を行いました。先日は、「だんだん」で父親役の吉田栄作さんに「遣島使」になってもらったり、日本橋しまね館の五周年記念では、めぐみさん・のぞみさんに一日館長になってもらったりしました。今後もこうしたPR活動に努めてまいります。

 また、島根・鳥取をまたぐ広域観光推進のための「中海・宍道湖・大山観光圏」の整備計画が、十月に全国十五地域とともに国の認定を受けました。今後、圏域内の関係団体と連携し、滞在型の観光地づくりに向けた取り組みを推進してまいります。

 

(道路整備)

 次に、道路整備について申し上げます。

 道路整備はこれまで都市部から順次行われてきておりますが、島根県のように整備が遅れている地方では依然、道路整備が必要であり、国・地方合わせて必要な道路整備が行える財源が確保されることが極めて大事であります。

 特に山陰道などの高速道路ネットワークは、教育や福祉・医療などと同様に全国どこにいても受けられる基礎的サービスとして国により早期に整備されるべきであります。

 また、地方の道路財源としては、地方の裁量性が高く道路整備の遅れた地方に重点配分できる「地方道路整備臨時交付金」の仕組みが継続・拡充されることも必要であります。

 こうした道路整備の必要性は、今月十七日に開催された中国五県の知事会議において共同アピールとして取りまとめられ、同じく十九日には全国知事会議において、政府に対して訴えてまいりました。

 他方、今般の追加経済対策では、道路財源のうち一兆円を地方の実情に応じて配分するとされておりますが、まだその内容が確定されておりません。いずれにしましても島根県のように道路整備が遅れている県としては、道路整備のニーズの高いところへ重点的に配分される仕組みとなるようにすることが必要であります。その方向に沿って国等に強く働きかけてまいります。

 

(大橋川等の治水事業)

次に、斐伊川・神戸川の治水事業について申し上げます。

上流部・中流部の工事につきましては順調に進んでおります。下流部の大橋川の改修につきましては、まちづくりや環境への影響に配慮して進める必要があります。

まちづくりにつきましては、現在、松江市・国・県が一緒になって、計画策定の作業を進めております。

環境につきましては、国が行った環境影響調査に対して、十月末に、県の環境影響評価技術審査会の答申や関係市町の意見を踏まえ、監視すべき適切な項目を設定し、そうした監視の結果を工事に反映すべきなどとした意見を県から国に対して伝えたところであります。今後、国土交通省の「環境調査報告書の最終とりまとめ」の中でこうした県の意見が適切に反映されるよう求めてまいります。

また、鳥取県の合意が必要な中海護岸の整備につきましては、十月に国土交通省から整備方針が示され、現在、島根・鳥取両県や関係自治体との意見調整が図られているところであります。県としましても、出来るだけ早く調整が完了するよう、鳥取県と連携して国に働きかけてまいります。

 

(過疎対策)

次に、次期過疎法について申し上げます。

中国・四国地方九県知事で新たな過疎対策についての共同提案を取りまとめ、この提案を昨日、国などに対して説明し、新過疎法に盛り込むよう要望してまいりました。

同じく昨日は、全国過疎地域自立促進連盟の総決起大会が開催され、全国の関係者と共に、新過疎法成立に向けアピールを行いました。

今後とも、県議会、関係市町村、全国知事会などと連携して、関係方面に積極的に働きかけてまいります。

また、「中山間地域研究センター」は、設立十周年を迎え、先週、松江市と飯南町で記念のシンポジウムを開催致しました。

今後も、中山間地域について調査研究する全国唯一の機関として、中山間地域振興のための具体策づくりに取り組んでまいります。

 

(新型インフルエンザなどへの危機管理体制の整備)

次に、安全で安心な県民生活の確保について申し上げます。

世界的流行が懸念されている新型インフルエンザにつきましては、県民への啓発や、保健所等でのタミフル、防護服、マスクの整備等必要な準備を進めておりますが、今月十八日には県庁と浜田市で実地訓練を実施致しました。

十月には、鳥インフルエンザの実地訓練や原子力防災訓練を実施しております。

今後も、県の危機管理体制の強化に努めてまいります。

 

(地域医療の確保)

次に地域医療について申し上げます。

地域医療確保のためには、県内医療機関に多くの医師を供給している大学との連携を進めていくことが必要であります。

十月には、島根大学医学部を訪ね、医学部長以下先生がたに、離島・中山間地域の医師確保に対する配慮を要請するとともに、医師の育成と県内定着策などについて意見交換を行いました。

今後もこうした場などを通じまして、地域医療の様々な課題に共同して対応していきたいと考えております。

 

(町村福祉事務所)

次に、町村福祉事務所の設置について申し上げます。

生活保護等の行政サービスは、住民に身近な市町村で一元的に提供されることが望ましいため、町村における福祉事務所の設置を進めております。

平成十八年四月以降順次設置が進んでまいりましたが、来年四月、未設置の川本町及び美郷町においても設置されることとなり、全国で初めて県内全ての町村に福祉事務所が設置されることとなりました。

県としましては、今後とも、町村福祉事務所の円滑な運営を図るため、県職員の派遣など必要な支援を行っていく考えであります。

 

(県民の安全確保)

次に、県民の安全確保について申し上げます。

県内では、高齢者が被害者となる振り込め詐欺が大幅に増加しております。このため「振り込め詐欺被害ゼロ」を目指して、広報・啓発を行うほか、金融機関等とも連携し、ATM周辺における注意喚起や声掛けなどの対策に取り組んでおります。

また、年末にかけて、例年、交通事故が多発する傾向にありますので、関係機関・団体と一体となって、ゆとりある運転の励行や事故に遭いやすい高齢者の保護、飲酒運転根絶などの取り組みを引き続き推進してまいります。

 

(島根原発)

次に、島根原子力発電所におけるプルサーマル計画について申し上げます。

プルサーマル計画につきましては、十月二十八日に国の安全審査が終了し、国から中国電力に対して設置変更の許可が下りましたが、中国電力がこのプルサーマル計画を実行するためには、島根県、松江市及び中国電力の三者による安全協定に基づき、島根県及び松江市の了解を必要とします。

今後、同協定に基づき、中国電力に対して、県としての最終的回答を行うこととなりますが、その際、このプルサーマル計画の国による安全審査を確認することの他、島根原子力発電所の耐震安全性の確保が重要な問題であります。

この耐震安全性につきましては、活断層の状況や主要な原子炉施設の耐震安全性などについて中国電力が行った評価を、現在、国が確認中であります。県と致しましては、プルサーマル計画について最終的回答を行うにあたっては、この国で行われています耐震安全性の確認について、新たに委嘱した耐震関係の専門家三名の方々の意見をお聴きし、そして、松江市ともよく連絡をとりながら、適切に対応していきたいと考えております。

 

(水産練習船海難事故)

次に、水産練習船「わかしまね」の海難事故について申し上げます。

隠岐水産高校の生徒など二十五人が乗船した島根県の水産練習船「わかしまね」が、十月八日に実習を終え境港に入港する際に、漁船と衝突し沈没する事故に遭いました。

双方の人命に影響がなかったのは幸いでありましたが、実習中に生徒の生命が危険にさらされたこと及び県の財産であります練習船が使用不能になったことは誠に遺憾であります。

事故の原因については今後の捜査を待たなければなりませんが、再発防止に努めるとともに、生徒の今後の実習や資格取得に影響が生じないよう万全を期してまいります。

 

(補正予算案など提出議案)

それでは最後に、今回提案致しました一般会計補正予算案等について、ご説明申し上げます。

今回の補正予算案は、国の経済対策に係る第一次補正予算に合わせて、早急に対応を要するものについて措置することとし、総額二十六億千八百万円余を増額しております。

この結果、補正後の一般会計の予算規模は五千八十六億二千万円余となります。

この補正予算案のほか、予算案一件、条例案四件、一般事件案七件の計十三件を提案しております。

これらの詳細につきましては、この後、総務部長から説明させますが、何とぞよろしくご審議のほど、お願い申し上げ、私の説明を終了致します。

 



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