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文教厚生委員長報告平成20年2月定例会

 

 文教厚生委員長報平成20年2月定例会

 

 文教厚生委員長報告をいたします。

 今定例会で文教厚生委員会に付託された議案の審査結果等について、報告いたします。本委員会に付託された議案は、予算案7件、条例案12件、及び一般事件案4件であります。

 これらの議案について、執行部に説明を求め、慎重に審査いたしました結果、いずれの議案も全会一致をもって、原案どおり可決すべきとの審査結果でありました。

 

 議案の審査過程において委員から出された質疑や意見等のうち、特に、平成20年度当初予算に関する主なものについて申し上げます。

 

 まず、学力向上対策についてであります。

 執行部から、平成18年度から始めた全県学力調査を次年度も継続して実施するとの説明がありました。

 委員から、学力向上対策として具体的な取り組みは何か、2年間の学力調査の成果が表れてきているのか、家庭学習において宿題の量が足りないのではないかとの質問がありました。

 これに対し、執行部からは、2年間の調査結果で特に算数が課題となっており、これまで中学高校の教員を対象としていた研修に、次年度から小学校の算数を加え、全小学校から参加する体制で取り組むこと、学力は1,2年の取り組みで、直ちに成果が出てくることは難しく、引き続き取り組んでいく必要があると考えていること、また、宿題については全般に不足しているとは受け止めていないこと、また、家庭学習の時間は以前と比べて少し改善の傾向が出はじめているとの回答がありました。

 

 次に、学校図書館のボランティア活用についてであります。

 執行部から、新規事業としてボランティアを活用した学校図書館活性化の取り組みの研究を行うとの説明がありました。

 委員から、新聞によると地域ボランティアの学校図書館への運営参画は、小中学校の職員不足をカバーするものと報じられている、ボランティアにどこまで対応させるのか、明確にする必要があるのではないかとの質問がありました。

 これに対し、執行部からは、小中学校の図書館運営については、市町村で取り組むべきことではあるが、学校図書館活性化を促すため今後モデル地域を指定し、人がいる仕組みづくり、子どもが集まる仕組みづくり、学びにつながる仕組みづくり、といった三つのテーマやどのような取り組みが効果をもたらすかという観点からも研究し、活性化につなげていきたいとの回答がありました。

 

 次に、後期高齢者医療制度についてであります。

 執行部から、従来の老人保健制度が4月から変わるもので、県予算は平成19年度の69億円余に対し、平成20年度は82億3千万円余を計上しているとの説明がありました。

 委員から、県として、この制度をどう評価しているのか、また、この制度になると県の財政負担は重くなるか、との質問がありました。

 これに対し、執行部からは、医療制度改革において国民全体の医療費の扱いが大きな課題とされる中で、世代間の負担の公平を図る趣旨から75歳以上の高齢者にも保険料の負担を求めることとなり、制度変更に伴う保険料収入や医療給付費増嵩などのリスクに対応するため、公費で負担する仕組みが設けられること。この制度の課題については、国において改善に向けた検討がなされるものと承知していること。また、次年度は財政安定化基金などの造成のため、医療費の伸びを除き約9億円の負担増となる、との回答がありました。

 

 次に、請願の審査について申し上げます。

 新規に付託されました請願3件及び継続審査中の6件について、執行部から状況説明を受け慎重に審査しました結果を申し上げます。

 

 まず、新規の請願第18号は、消費税によらない最低保障年金制度の早期実施を要望する意見書を国に提出するよう求めるものであります。

 国においては、年金制度改革で基礎年金の国庫負担を段階的に2分の1に引き上げる等の改正が図られつつあり、また、「社会保障国民会議」において社会保障のあるべき姿についての検討が始められたところであり、議論の行方を見守る必要があるとの判断から「継続審査」とすべきとの審査結果でありました。

 

 次に、新規の請願第19号は、平成17年の福祉医療制度の見直し後の地方税法改正に伴う経過措置についてであります。

 平成18年度市町村民税の改正で、65歳以上の高齢者の非課税措置が廃止されたことで、対象者の同一世帯において住民税を課税されることとなった場合には、福祉医療制度の所得区分が「低所得」から「一般」に移り、自己負担額が引き上げられることとなりました。こうした対象者については、平成18年10月から2年間、所得区分を「低所得」に据え置く経過措置が執られてきましたが、この経過措置が本年9月末で終了するため、これを10月以降も継続するよう求めるものであります。

 委員から、福祉医療の対象者は重度の障害者であり、特に低所得者は厳しい経済状況と聞いており、経過措置の継続を強く求めるべきであるとの意見がありました。

 これに対し、執行部からは、この経過措置は、福祉医療制度の見直しから1年後の税制改正に伴い生じる負担増に対し、老人保健制度や住民税の経過措置に準拠した激変緩和措置として2年間実施してきたもので、継続は考えていない。との回答がありました。

 この県単独の制度がベースとして考えている老人保健制度の自己負担との均衡や、本来救うべき対象に含まれない者も救済している実態もあることを考慮すると、公平性等の観点からも問題があるように思われ、今後の制度的な安定を図っていく上で、これ以上の延長は適当でない。との意見を、私から述べました。

 このような議論の後、本請願については、挙手採決により「不採択」とすべきとの決定をいたしました。

 

 次に、新規の請願第20号は、大田市立病院の医師確保についてであります。

 昨年、大田市立病院は看護師不足のため一部の病棟が休止となり、今後、医師の減少から分娩や二次救急の受け入れが困難になることも予測され、医師確保の支援を求められているものであります。

 県内全域で勤務医が不足する中で、県では、医療機関や市町村と連携して、医師確保のために様々な取り組みが進められているところですが、直ちに医師の確保ができる状況にはありません。

 こうした現状を踏まえ、本請願は「継続審査」とすべきとの審査結果でありました。

 

 次に、知事出席の所管事項調査について申し上げます。

 本委員会は、知事に出席を求め、医療の確保対策について所管事項調査を行いました。

 知事からは、地域医療の問題は県政における重要な課題であると認識している。特に医師不足の問題については、県として対応できることと国に要望すべきことを整理して、国に対して県の実情を引き続き訴え、医師確保に必要な施策を要請してまいりたい。また、県は地域医療を支える事業に引き続き取り組んでいく。との考えが示されました。

 知事と委員は、国の施策や診療報酬のあり方、医師不足の原因や医師確保対策、病院・診療所の広域連携、勤務医をつなぎとめるための勤務条件の整備、県外に勤務する本県出身医師への働きかけなど、様々な意見交換を行いました。

 意見交換にあたっては、各委員から、いろいろな視点からの意見・要望が出され、これに対し知事を中心に病院事業管理者、健康福祉部長を含め、互いに率直で忌憚のない意見交換がなされました。私は、大変有意義な機会であったと評価をする次第であります。

 今後とも、地域医療の確保については、国への働きかけを継続するとともに、医療機関と地域、県が連携し課題解決に向けた取り組みを更に進めていく必要があると感じたところであります。

 

 最後に、本委員会では、「地域における医療と福祉」を調査テーマとし、今回知事との意見交換においても、医療をテーマとして行ったところであります。特に、この1年間は医師の確保に関して調査活動を実施してまいりました。その結果を「医師確保のための臨床研修システムの構築に向けて」と題した提言書にまとめ、本日、知事に提出する予定としております。

 執行部におかれては、今後、本提言の趣旨を踏まえ、医師確保に向けて取り組まれるよう望むものであります。

 

 以上、文教厚生委員会における審査及び調査の概要を申し述べ、委員長報告といたします。



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