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高速交通網整備促進調査特別委員長報告

 

 (平成19年2月定例会)

高速交通網整備促進調査特別委員会の調査の経過並びに結果について御報告いたします。
本委員会は、平成17年5月臨時会において設置され、「高速交通網の整備促進に関する審査及び調査」を付託されました。
以来、2年間にわたり、本県の高速交通網、とりわけ高速道路の早期整備と空港並びに航空路網の整備充実に向けて、執行部から事業の進捗状況や今後の計画、課題等について説明を受けるとともに、各種の調査・要望活動を実施してまいりました。
この間、小泉政権の下、日本道路公団が民営化され西日本高速道路株式会社が発足するなど道路行政の枠組みも様変わりしたところでございます。高速道路の整備手法も西日本高速道路(株)による整備に加え、国土交通省の行う新直轄方式との2方式となったところです。
本委員会としても、枠組みの変化に併せて高速道路については、国、関係団体等に対する提言・要望活動を行うとともに、国土交通省の担当者との意見交換を行いました。
また、昨年12月「道路特定財源の見直しに関する具体策」が閣議決定され、真に必要な道路整備は計画的に進めるとされましたが、こうした事態も踏まえ、本県の高速道路について整備促進が図られるよう強く求め、1月に要望活動を行うなど精力的に活動を行って来たところです。
それでは、調査の概要について御報告いたします。
まず、「高速道路網の整備について」であります。
高速道路ネットワークは、安全保障、国民生活の向上、活力ある国土形成や災害時の緊急輸送、救急医療の面からも欠くことのできない最も根幹的かつ重要な社会資本であります。
本県においても、山陰自動車道及び中国横断自動車道尾道松江線の整備は、日本海沿岸の諸都市を結び、全国各地との連携・交流を活発にするなど、地域の自立的発展と企業の国際競争力の強化のために必要不可欠な路線であり、本委員会としても最重要課題として取り組んでまいりました。
この2年間の、高速道路の整備に関する動きについてご報告させていただきます。
平成17年10月、日本道路公団が民営化され、これまで日本道路公団により「有料道路」として整備されてきた高速自動車国道は、公団民営化後の新会社による「有料道路方式」となり、国土交通省による「新直轄方式」との2方式により整備されることになりました。
このような中での、本県の整備の状況であります。
山陰自動車道については、平成17年度に出雲市知井宮町から大田市仁摩町までの37キロメートルが都市計画決定され、そのうちの多伎朝山間9キロメートルが、国道9号多伎朝山道路として今年度事業化されたところであります。
また、三隅−益田間約15キロメートルについて、昨年10月、事業化の前提となる都市計画決定の手続きに着手されました。交通の難所である三隅益田間が動き出したことは、山陰道の早期整備に向けた大きな前進です。
また、事業中の区間も着実に進展しており、平成16年度に事業着手された国道9号仁摩温泉津道路、及び浜田三隅道路については、昨年5月に起工式が行われ、工事に着手されました。現在、橋梁の下部工事など目に見える形で工事が進められています。
西日本高速道路株式会社が施工している宍道−出雲間については、昨年11月に、宍道−斐川間4.6キロメートルが開通しました。残る斐川−出雲間についても平成21年度の開通を目指して、鋭意工事が進められています。
一方、中国横断自動車道尾道松江線については、三刀屋木次インターチェンジから尾道まで、全線が新直轄方式として国土交通省において事業が進められています。昨年5月には起工式が行われ、工事にも着手されました。また、用地についても、県内区間は今年度でほぼ取得される状況であり、来年度からは、全面的に工事展開される予定であります。
県内の供用率については、今月後半に国道9号益田道路が一部開通することにより今年度末で50パーセントに到達することとなります。
このように、整備に向けた動きは進んでおりますが、本県の現在の供用率50%は、全国平均70%に対し、依然として低い状況が続いております。
出雲以西の未事業化区間66キロメートルの早期事業着手等、島根県の高速道路の早期整備に向け、今後とも、効果的な取り組みを続けていただきたいと思います。

一方、利用促進についてであります。
高速道路の利用促進の一手法として、ETCの普及促進に向けた施策が展開されています。
一つは、一般有料道路(安来道路、江津道路)のETC割引、もう一つが金城PA(パーキングエリア)のスマートインターチェンジの設置であります。これらの恒久的な設置に向けた利用促進の取り組みは、県内高速道路全体の利用率向上にも貢献し、今後の高速道路の整備促進にも繋がるものと期待するところです。
次に、「空港並びに航空路網の整備について」であります。
隠岐空港については、隠岐島民待望の新空港が昨年7月に開港の運びとなりました。ジェット機の離発着ができる2000m滑走路を備えた空港としてのみならず、施設の整備により就航率の向上が図られるなど、より確実な交通手段となりました。
利用状況についても昨年は、上々の搭乗率を達成し、今夏においてもジェット機の就航が決定するなど、順調な滑り出しをしたところです。
また、出雲空港については、航空機の定時制確保や円滑な空港運営のため、現在エプロンの拡張・取付誘導路の整備が行われています。
次に航空路網の整備についてでありますが、現在の国内各航空会社は、規制緩和による激しい競争の中にあり、燃料の高騰などもあって、航空会社の経営環境は大変厳しい状況となっています。
そのため、幹線航空路重視の傾向は強まり、収益性の低い地方の航空路線の大規模な見直しを行うなど、非常に厳しい状況が続いています。
このような状況の中ではありますが、県内各空港は、路線の確保並びに充実に向けて、地域と一体となって、利用促進に向けた取り組みの強化を行っているところです。
平成21年には、羽田空港4本目の滑走路が完成予定ということですが、発着枠増加に伴う路線再編のこの機会を逃すことのないよう、県内各空港とも、路線の充実に向けた取り組みを続け、よりよい路線の確保に努めていただきたいと思います。
次に、隠岐航路につきましては、隠岐汽船の経営悪化から、残念ながら高速船の減船という状況となりました。
隠岐航路の維持は、島民の民生安定、また、観光振興拡大へ向けての絶対条件であり、県としても隠岐汽船の経営再生に向けた支援を行うこととなったところです。
経営健全化に向けた取り組みが、着実に進んでいくことを望むところです。
最後になりますが、昨年7月には豪雨のため河川が氾濫するなど島根県では、大災害が発生いたしました。国道9号でも崩落の予兆を発見し全面通行止めにして工事に入りました。県の東西部をつなぐ大動脈がわずか3日間ではありましたが閉ざされ、迂回路は大変な距離であったことが思い返されます。
災害に強い県土の形成のため、また、国防上の観点からも、東西を結ぶ高速道の整備があらためて必要だと感じたところです。
したがって、高速道路を始めとする高速交通網の整備は、島根県の発展のため、官民が一体となって、整備促進や利用促進を図り、継続的に取り組んでいく必要があると考えます。
執行部におかれましては、非常に厳しい財政状況ではございますが、整備手法に工夫しながら効果的で着実な整備を進めていかれるようお願いして、委員長報告といたします。

 

 



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