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文教厚生委員長報告平成18年9月定例会

 

文教厚生委員長報告をいたします。

文教厚生委員会に付託されました議案の審査結果等について、御報告いたします。

今定例会において本委員会に付託されました議案は、「平成18年度島根県一般会計補正予算」など予算案3件、「島根県認定こども園の認定基準に関する条例」など条例案5件、「財産の取得について」など一般事件案2件であります。

これら議案について、執行部に説明を求め、慎重に審査いたしました結果、全会一致をもって、原案どおり可決及び承認すべきとの審査結果でありました。

次に、請願の審査結果について御報告いたします。

このたび新規に提出された請願4件及び継続審査中の請願19件について、慎重に審査いたしました。

その結果を申し上げます。

まず、新規の請願第79号は、公立雲南病院の精神科に常勤の精神保健指定医を配置できるよう、県の支援を求めるものであります。

本請願で求められている事柄は、全県的な問題である特定診療科の医師不足が背景にありますが、今後、県として可能な限り支援をしていく必要があるとの判断から、「趣旨採択」とすべきとの審査結果でありました。

同じく新規の請願第80号は、国の医療制度改革の一環として計画されている療養病床の廃止・削減について、その削減計画の中止を求める意見書の提出と、それに関連し、県の介護保険事業計画の見直しを求めるものであります。

療養病床の廃止・削減の方向については、現に入院されている患者・家族の皆さんの不安な気持はよく理解できるところであります。今後、県として、その不安が払拭されるよう速やかな情報の提供と受け皿の確保に万全を期していただきたいと思いますが、削減計画自体の中止を国に求めることは適当でないとの判断から、「不採択」とすべきとの審査結果でありました。
また、県の介護保険事業計画の見直しについても、現計画の見直しは、保険料に対する影響があることや、介護施設間の転換は現計画の中でも可能であることから適当でなく、また、療養病床の再編に伴ってサービス量の見直しが必要になれば、次期計画に反映させることになることから、「不採択」とすべきとの審査結果でありました。

同じく新規の請願第81号についてでありますが、請願項目の1は、障害者の自立支援という大きな流れにある中で、障害者の養護学校への通学手段を確保するため、養護学校に通学用スクールバスの配置を求めるものであります。

本請願について、教育委員会では、校外学習用のスクールバスを通学用に使用する方向で検討中とのことでありますので、その検討状況を見守ることとし、今回は「継続審査」とすべきとの審査結果でありました。

請願項目の2は、「障害者自立支援法」施行後、障害者の負担が増大していることを理由に、同法施行に伴う応益負担について、県独自の軽減策を講ずることを求めるものであります。

本請願について、「障害者自立支援法」施行に伴う利用者負担は、所得に応じた減免措置など一定の配慮がなされておりますが、障害者の皆さんのおかれている現状を踏まえ、県としても国に対し、さらなる軽減措置を要請されているところであります。
しかしながら、基本的にはこの制度が全国共通の制度であり、まずは国の責任において検討されるべき事柄との判断から、「不採択」とすべきとの審査結果でありました。

同じく新規の請願第82号は、県内児童生徒に対し、ゆきとどいた教育が行われることを求めるもので、本委員会所管にかかる請願は8項目にわたっております

それぞれの項目について慎重に審査いたしましたが、いずれの項目もすぐに結論を出す状況にはなく、今後の研究、検討事項とし、「継続審査」とすべきとの審査結果でありました。

次に、継続審査中の請願の中で、結論をみるに至ったものについて申し上げます。

継続審査中の請願第24号の項目5の(1)、第47号の項目5の(1)及び第66号の項目6は、「特別支援教育」の施策を障害児教育の充実に結びつけ、現行の「障害児学級」等の存続及び充実を求めるもので、同じ内容となっております。

本請願に関しては、本年6月に学校教育法等が一部改正され、来年4月1日から「特殊学級」は「特別支援学級」に名称変更され、学級として存続することが決まっております。また、今後もその充実を図っていく必要があるとの判断から、「趣旨採択」とすべきとの審査結果でありました。

なお、その他継続審査中の請願については、いずれも結論に至る状況にないことから、引き続き「継続審査」とすべきとの審査結果でありました。

 

次に、報告事項など所管事項調査に関連したものについて申し上げます。

まず、健康福祉部所管事項についてであります。

国への重点要望事項に関連して、国が特に医師不足が深刻な地域として対策を予定している県が10県となっているが、その中に島根県が入らなかったのはなぜかとの質問がありました。

これに対し、国は、人口10万人あたりの医師数200人未満で、かつ100平方キロメートルあたりの医師数60名未満を基準に判断したものである。島根県は医師数全体では全国で44番め、100平方キロメートルあたり医師数も42番めであるが、人口10万人あたりの医師数が253名で全国平均の212名を上回っていることから対象から外されたとの回答でありました。

再度、委員からは、県内の医師数は松江・出雲では満たされているとしても、中山間地域、とりわけ石見部の医師不足は大変深刻である。そういった指標だけで対策がとられるのはいかがなものかとの発言がありました。

執行部からは、そうした単純な、一般的な尺度では測れない部分について、今後、国とは違った切り口をもって、強く訴えていきたいとの回答がありました。

次に、県立病院の運営について、現在は地方公営企業法の一部を適用する形で行われているが、今後は全部適用する方向で、運営体制を見直したいとの説明がありました。

これに対し、委員からは、執行部の考え方は基本的には理解できるし、現場に裁量権を与えることは必要かもしれないが、病院には設置目的と理念がある。病院の現状をみれば、不採算部門も多く、非常に厳しい状況におかれることも考えられる。そうした中、採算性を重視して病院が一人歩きすることがないよう、今後も設立の理念が守られ、政策的な医療にも十分配慮する形で運営されていくことが基本である。全部適用はそのことが担保されることを前提に決められるべきとの意見がありました。

執行部からは、このたびの地方公営企業法全部適用の方向は、病院の設置目的、理念を生かしながら、とりわけ医療現場のいろいろな要請に対し、どうスピード感を持って応えられるかといった観点を重視したものである。その適用にあたっては、高度医療や政策医療といったいわゆる不採算部門に対しては、引き続き県として責任を果たすことが重要であり、一般会計がきちんと負担をするルールづくりが必要と考えている。
なお、適用されれば、健康福祉部と別組織である病院局が設けられることになるため、それまでに諸々のルールを確立しておく必要もある。こうした課題を認識しつつ、指摘された点を十分わきまえて対応していきたいとの回答がありました。

次に、教育委員会所管事項についてであります。
 
執行部から、教師に対する子どもたちの暴力行為が増加傾向にあるとの報告がありました。

これに対し、委員からは、暴力は最初の段階できちんと対応しなければ、その子が将来困ることになる。子どもたちによる教師への暴力行為は、教員が体罰に対する処分を恐れて手を出せないことを見越して行われている面があり、そうした社会病巣ともいえるものを反映している。人間はもともと未熟であり、それを克服する努力をしてこそ成長するということを、教員は愛情と情熱を持って子供に教えていく必要があるといった意見、また、現在暴力行為に対する対応マニュアル等は作られているのかとの質問がありました。

これに対し、執行部からは、暴力行為への具体的な対応マニュアルは作っていないが、そうした行為があった場合は、できるだけ一人ではなく、学校内のチーム、または地域、関係機関を含めたサポートチームで対応するように指導しているとの回答がありました。
また、校長会など学校現場との意見交換を進めているが、いろいろな社会病理がこうした現象の背景にある中で、今ここで我々が立ち上がって何とかしなければという強い危機感があるとの発言がありました。

最後に、本委員会では、全国的な子どもたちの学力低下が言われる中、島根の子どもたちの学力低下の実態と、現行教育が抱える問題点、今後の島根教育のあり方を探るべく、昨年来、県内外において精力的に調査を進めてまいりました。
その結果を、このたび、お手元に配付した「あすの島根教育をめざして」と題する政策提言書にまとめたところであります。

時間が長くなりますので、詳細については述べませんが、今後求められる教育についての基本的な考え方、学力向上に向けた具体的な取り組み、教員の指導力向上策、教育委員会組織のあり方、県民が教育に参加するシステムづくりなど、非常に多岐にわたる提案を行っておりますので、ご覧いただきたいと思います。

執行部におかれては、本提言の趣旨を真摯に受け止められ、速やかに適切な対応がとられることを心から願うものであります。

以上、文教厚生委員会における審査の概要等を申し述べ、委員長報告といたします。
 



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