• 背景色 
  • 文字サイズ 

文教厚生委員長報告平成18年2月定例会(3月9日・10日審査分)

 

 文教厚生委員長報告を行います。

文教厚生委員会に付託されました議案の審査経過並びに結果について、御報告いたします。

今定例会において、本委員会に付託されました議案は、「平成18年度島根県一般会計予算」など予算案7件、「知事の権限に属する事務の処理の特例に関する条例の一部を改正する条例」など条例案9件であります。

これら議案について、執行部に説明を求め、慎重に審査いたしました結果、いずれも全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。

次に、請願の審査について申し上げます。

新規に付託された請願3件及び継続審査中の17件について、慎重に審査いたしました。
その結果を申し上げます。

まず、新規の請願第70号は、透析治療を受けておられる方を中心とした腎臓病患者の皆さんが、昨年10月1日の「福祉医療費助成制度」改定に伴い負担が増え、生活不安が広がっているとの理由から、再度の制度見直しと、遠距離通院患者への通院費補助を求めておられるものであります。
本請願については、制度の安定的な維持・継続という観点で行われた本制度改定の趣旨に沿って判断すべきとの意見があり、これに異論を唱える意見もありましたが、最終的には挙手採決により「不採択」とすべきものと決定いたしました。

同じく新規の請願第71号は、今通常国会に提出されている「医療制度改革関連法案」に関するもので、制度改革によって、高齢者をはじめ国民負担が増大し、格差が広がるとの理由から、同法案の廃案を求める意見書を国に提出するよう求めるものであります。
現在、医療制度改革に関する数多くの法案が国会で審議中であります。
その動向は注視をする必要がありますが、国民皆保険制度を将来にわたって堅持するため、現行制度の改革はある程度やむを得ないとの判断から、法案の廃案を求める本請願については「不採択」とすべきものと決定いたしました。

同じく、新規の請願第72号は、医療費等の負担の増加が、高齢者の生活を圧迫している現状や、国民年金保険料未払者が増えている状況等を踏まえ、老後の安心を保障する「最低保障年金制度」の創設を求める意見書を国に提出するよう求めるものであります。
年金制度のあり方については、社会保障制度全体の中で、現在国において検討されており、その動向を見ながら対応すべきとの判断から、「継続審査」とすべきものと決定いたしました。

次に、継続分の請願のうち、一部の項目で結論に至ったものについて申し上げます。

まず、請願第46号の項目4について申し上げます。
本請願は、介護保険制度の見直しにあたり、「要支援」、「介護度1」の方のヘルパー利用に制限を加えないよう求めるものであります。
今回の制度見直しでは、介護予防に重点が置かれることから、軽度の要介護者には一定の利用制限を加え、予防の観点から必要な派遣が行われることになりました。この方向性は理解できることから「不採択」とすべきものと決定いたしました。

同じく継続分の請願第66号の項目1について申し上げます。
本請願は、ゆきとどいた教育をすすめるため、教育予算を増やすよう求めるものであります。
平成18年度当初予算では、学力向上対策や特別な支援が必要な児童に対する「にこにこサポート事業」など、ソフト面の教育予算が拡充される必要性を認め、「趣旨採択」とすべきものと決定しました。

その他の継続審査中の請願については、いずれも結論に至る状況にないことから、引き続き「継続審査」とすべきものと決定いたしました。

続きまして、付託された議案の審査過程における質疑、委員から出された意見・要望等のうち、主なものについて申し上げます。

まず、少子化対策について、委員から、人口が減りつづけている現状の中で、人口増につながる具体的、決定的な施策が見あたらないが、これでよいのかとの質問がありました。

これに対し、執行部からは、この問題は非常に根が深く、結婚しない理由も子供を産まない理由も個人個人で異なる。行政としても数多くの施策を打っているが、まだ十分にニーズとマッチしていないためか、目に見えた成果が上がっていないと感じている。
国全体で取り組むべき課題は国に要望しているし、今回提案した「子育て応援パスポート」事業のように、子どもは社会全体で育てていくべきという考えに立った普及啓発事業の実施などは県の大きな役割と考えている。
今後も県でやるべきことは一生懸命取り組んでいきたいとの回答がありました。

次に、島根県女性相談センターを松江に設置し、現在大田に置かれている同センターを西部分室とする条例改正案に対し、委員から、そもそも東西に細長い県の地理的バランスに配慮し、大田市に女性問題に対応する中心拠点「あすてらす」が設けられ、その重要な機能の一つとして女性相談センターがおかれた経緯がある。「西部分室」という名称については再考すべきではないかとの意見がありました。
これに対し、執行部からは、DV被害を中心とした女性問題の相談が圧倒的に東部に多いという事情から今回の提案をさせていただいたが、分室設置の際には、別の愛称を検討したいとの回答がありました。

次に、来年度実施されようとしている小中学生の学力調査について、学習指導要領の到達度をみるためとの説明があったが、OECDの学力調査結果でも、日本の子どもたちは読解力やコミュニケーション能力、表現力などが弱いと指摘されている。島根の子どもをどういう人材に育てたいかという視点に立つとき、学習指導要領の到達度をみるだけでよいのかとの質問がありました。
これに対し、執行部からは、子どもたちが身につけて欲しい力は「しまね教育ビジョン21」に示したとおりである。調査の実施にあたってはこうした内容を反映したものとなるよう取り組みたい。また、合わせて生活状況調査および子どもたちの意識調査を行い、子どもたちの実態を総合的に把握し、指導に活かしていきたいとの回答がありました。

次に、平成22年の開校をめざしている定時制・通信制課程高校東部独立校について、委員から、来年度、設計に取り組むとされているが、多少財政的に厳しい面があっても、学校の設立理念を大切にし、周辺環境に配慮したものとして欲しいとの要望がありました。

これに対し、執行部からは、新しい学校は単なる既設校の寄せ集めではなく、さまざまなニーズに柔軟に応えられるよう、まったく新しい理念に基づき建設するものである。
予定地では、限られた面積の中で住宅団地の造成も予定されているが、レイアウトに配慮し、自然の豊かさもできるだけ活かす方向で検討したいとの回答がありました。

なお、奇しくも、このたびの委員会では、本委員会が所管する医療と教育という重要分野を担う医師と教師のあるべき姿が大きな議論となったことを申し添えます。

以上、文教厚生委員会における審査等の概要を申し述べ、委員長報告といたします。

 



お問い合わせ先

島根県議会

住所 〒690-8501 島根県松江市殿町1番地
TEL 0852-22-5356
FAX 0852-22-5273
メール  kengikai@pref.shimane.lg.jp