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総務委員長報告

 

 

総務委員長報平成17年6月定例会

 


総務委員長報告をいたします。


今定例会で総務委員会に付託された議案は、知事提出議案19件及び請願6件であります。これら議案等について、審査結果並びに経過をご報告します。
まず、知事提出の議案19件について、審査結果を申し上げます。
「職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例」など条例案9件、「職員の研修に関する事務の受託」など一般事件案10件について、それぞれ、執行部に説明を求め、慎重に審査いたしました結果、いずれの議案についても全会一致をもって「原案のとおり可決」すべきものと決定いたしました。
次に、審査過程において委員からの質疑、意見、要望のあった主なものについて申し上げます。
まず、知事提出第121号議案「島根県土地開発基金条例の一部を改正する条例」についてであります。
執行部の説明は、「基金に属する土地のうち、利用見込みの無くなったものについて、一般会計での取得のための予算計上という手続きを略し、基金において直接処分することを可能にし、もって、適時かつ迅速な売却処分を進めようとする趣旨であり、議会の決算特別委員会や監査委員からの指摘にも叶う」というもので、利用見込みが無くなったとする土地は、松江市の中島製作所跡地ほか3件、面積合計39,000平方メートル余であります。
これに対し、委員からは、利用見込みの無い土地を適正に処分することは是としても、この条例の改正目的と必要性に関しては、十分納得できない趣旨の質問、意見が多数述べられました。
例えば、基金に属する現在の土地は、条例に規定する一定規模以上の土地に該当しないため、その取得に当たり議会の議決を要しなかったものとはいえ、今回提案された改正案では、基金による土地の処分が、いつ、何の目的で、いくらで処分されるのかなど、議会の関与やチェックの機会を一層低下させる懸念が払拭できないこと。
また、必要があって先行取得した土地が利用目的を失うことは、本来まれであるべきで、一般会計を通さない処分を条例上可能とすることへの疑問。
さらに、今日的社会経済状況にあっては、この基金の設置目的自体が、その妥当性や有効性を失っているのではないか。基金を廃止し、普通財産としたうえで処分を図る方が、説明責任を果たすうえからもより合理性を有するのではないか、等であります。
このような質問、意見に対し、執行部から、利用目的の無くなった当該土地を売り急ぐ意図はなく、処分に当たり土地の需要動向に応じた迅速な処理を可能としたいこと。迅速な処理ができず、結果的に基金が当該土地を持ち続けることが生ずれば、地域にとっても損失と考えられること。また、処分の過程は、適時、総務委員会へ報告を行う等の見解や議会への対応方針が示されました。
このような議論を経て、本議案については、以下申し上げる委員会としての付帯決議を行ったうえ、原案のとおり可決すべきものと決したところであります。
付帯決議の内容は、
1,本条例改正案に基づき、基金に属する土地を処分する場合には、できる限り高い価額で売却できるよう最大限の努力を払うとともに、原取得価額よりも低い価額で売却せざるを得ないときには、執行部において県民に対する説明責任を全うすること。
2,本条例改正案に基づく土地処分の状況については、処分方針の決定、売却の相手方選定手続きの開始、処分の完了、の各時点において、当委員会に速やかに報告すること。
3,土地開発基金制度導入後の経済社会情勢の変化に鑑み、本県における同制度のあり方について、その存廃自体も含め早急に検討し、本年度中にその結論を得ること。
以上の3点であります。執行部におかれては、この付帯決議の意味するところを十分に斟酌されるよう、重ねて要請しておきます。
次に、請願の審査結果について申し上げます。
まず、新規に付託された請願第64号「地方財政の充実強化を求める請願」についてであります。
この請願は、地域公共サービスの低下や地域経済の一層の疲弊を招かないよう、地方分権の趣旨に沿って概ね3兆円の税源移譲及び国庫補助負担金の改革を確実に行うこと。地方交付税制度の財源保障と財源調整機能を堅持し、自治体の安定的財政運営に必要な地方交付税の総額を確保すること。の2点について、国へ意見書を提出するよう求めるもので、これまでの本県としての主張・立場と合致することから、全会一致で「採択」のうえ、国に提出する意見書(案)を取りまとめることといたしました。
継続審査中の請願第24号、第26号、第47号、第48号、第53号の5件につきましては、結論に至るだけの状況変化が認められず、いずれも「継続審査」との結果でありました。
以上が、当委員会が付託を受けた議案等に係る審査の概要であります。
続きまして、執行部から委員会への報告事項のうち、主なもの3項目について申し上げます。
総務部から「島根県国民保護計画の策定」について報告がありました。
この計画は、昨年6月成立の国民保護法に基づき、武力攻撃事態等が発生した際の県民の生命と安全を確保することを目的に、来年3月を目途に県民へ公表できるよう策定作業がなされるものでありますが、県民の生命や財産を守るうえで、県民に対する一定の規制や行動を求める等の要素を内在していること。また、本県特有の事項として、隠岐島住民の避難あるいは原発立地に伴う対応など、県民への周知、啓発を含め重大かつ重要な課題であることから、特に時間をかけ質疑を行ったところであります。
委員からは、武力攻撃事態発生時の対応のあり方を総体的にイメージできるよう、広範に渡る質疑や意見が出されました。
例をあげれば、1.有事の際における出雲以外の空港使用に係る国の考えや計画の中での位置づけ、2.団員減少による本県消防組織の弱体傾向への対処、3.県の組織上、危機対応のための専門的職員の配置と位置づけの問題、4.高齢者や障害者の避難方策や食料備蓄のあり方、5.県民の自覚を高める方策、6.国と地方との間での警報伝達の関係、7.住民をいかに効率的に避難させるか、シミュレーションを重ねながら整理をかけていく必要性、等々であります。
これらについて執行部からは、武力攻撃等が、「着上陸侵攻」、「弾道ミサイル攻撃」など4つのパターンに分類されるなか、県が想定し計画の中心に置こうとするのは、「ゲリラや特殊部隊による攻撃」であること。県の計画は、市町村が次年度以降に策定する避難・救援マニュアルとの整合・調整が図られるよう、シミュレーション訓練を重ねノウハウを蓄積していきたいこと。有事の際の情報伝達について多重性を確保できるよう検討したいことなど、武力攻撃等発生時への対処のほか、食料の備蓄については、11万8千人の3食分が確保されていること。災害発生時への備えの一つである消防団組織の強化に関しては、市町村職員や女性の団員化に努めていきたい等の考えや現状が示されたところであります。
次に、地域振興部から報告のあった「島根あさひ社会復帰促進センターの整備」について申し上げます。
執行部から、国が旭町に整備を決定した国内で2例目のPFI方式による矯正施設は、名称が「島根あさひ社会復帰促進センター」と発表されたこと。このセンターにおける社会復帰、就労支援、医療の提供など受刑者の処遇や運営について、法務省は、PFI第1号の美祢にも増して、地域との共生を大きく取り入れる方針を示しており、受刑者の社会貢献作業や矯正教育・職業訓練、その他刑務作業の実施に当たって、地元の人材や資源の有効活用が期待されることなどについて説明がありました。
地元における取り組みや働きかけが、国にこのような判断をもたらしたものと考えますが、10月には入札説明書の公表が予定されるところであり、このセンターを一つの核とした地域振興を図るうえで、地元と県とが一体となった、なお一層の取り組みが求められるところです。
委員からは、受刑者の刑務作業が地域振興に寄与するとのイメージの醸成に取り組む必要性を指摘する意見もありました。
次に、同じく地域振興部から報告のあった「合併新法に基づく構想についての対応」について申し上げます。
いわゆる合併新法に基づき、総務省は都道府県において市町村の合併の推進に関する構想を本年度中に作成するよう求めております。
本県におきましては、合併前59のすべての市町村が合併議論を行い、その結果、合併又は単独を選択したものであり、合併時期も昨年10月以降で合併後間もない状況であります。
こうした状況にあって、本県の当面の判断は、合併間もない市町のスムーズな立ち上がりや新たな歩みへの支援が最優先であり、また、新たな合併へ向けた動きは無いことから、構想を作成するための審議会を早急に立ち上げ議論を開始する状況にはないというものであります。。
この判断に関連して委員からは、合併補助金の見通し、県から市町への人的支援のあり方について質疑がありました。
これらに対し執行部から、合併補助金の見通しは、16年度までに合併した団体に対する総額で約800億円の補助金については、その補助対象期間の3年間では交付できなくなるという情報はないものの、補助要綱の対象ではない経過措置団体に補助するとすれば概算で1200億円にも及び、その額は決して小さい額ではないと受けとめていること。人的支援については、人事課とともに、制度面での課題を含め早めに取り組んでいきたいこと、などの答弁がありました。
最後に、当委員会の調査テーマについて申し上げます。
当委員会は、「地方分権時代にふさわしい特色ある地域の実現」、サブタイトルとして「規制緩和による活力ある島根をめざして」を調査テーマに設定いたしました。
当委員会の所管分野から見た本県の現状を踏まえ、活力ある島根の実現を目指す観点から、地域独自の資源や文化を民間活力によって活かしていく環境整備を探ることが適当と判断し、このように設定したものであります。
任期中、このテーマに沿った所管事項調査を展開し、提言等に結実させたいと考えております。
以上、総務委員会における審査の概要等を申し述べ、委員長報告を終わります。



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