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総務委員長報告

 

総務委員長報平成16年12月定例会

 

 総務委員長報告をいたします。

 

 総務委員会に付託されました議案の審査経過並びに結果について、ご報告いたします。

 今定例会において、本委員会に付託されました議案は、「平成16年度一般会計補正予算(第3号)」の予算案1件、「島根県水と緑の森づくり税条例」など条例案11件、「市町の配置分合に関する議案」など一般事件案6件の合計18議案と新規の請願2件であります。

まず、知事提出の18議案について、審査結果を申し上げます。

 それぞれの議案について執行部に説明を求め、慎重に審査いたしました結果、いずれの議案についても全会一致をもって、原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。

 

次に、議案の審査過程での執行部からの説明、委員からの質疑、意見、要望事項のうち主なものについて、ご報告いたします。

 

 1点目は、「島根県水と緑の森づくり税条例」についてであります。

 この新しい税は、荒廃した森林の再生と保全を目的としたもので、平成17年度から5年間、県民税に上乗せして、個人からは年500円を、また、法人からは資本金に応じて年1,000円から40,000円の負担を求めるものであります。

 税収は、年に約1億9千500万円が見込まれており、「島根県水と緑の森づくり基金」に積み立てることとされております。

 執行部からは、「本年6月にこの条例の骨子案を示して以降、広くこの税に対する県民の意見を聴いた結果、概ね理解が得られた。また、県民参画や税の透明性の確保を図るため、新たに設ける『水と緑の森づくり会議』において、広く県民からのアイディアも取り入れることとしている。」との説明がありました。

これに対して委員からは、「この事業が広く県内に根付くための取り組み」などについて、質問がありました。

 執行部からは「『水と緑の森づくり会議』に県民の参加を求め、計画策定の段階から参画していただくことや、市町村とも連携しながら事業展開を行うことにより、みんなで森を守るという気運の醸成を図りたい。」との説明がありました。

 また、委員からは「現在放置されている森林については、せっかくの取り組みもすぐに元の状態になる恐れがあるが、対策はどうか。」との質問があり、執行部からは「地元市町村の推薦などにより植栽を行う山林を選定し、その所有者との間に10年間の現状維持協定を結ぶこととしている。また、植栽等においても事後の管理が出来るだけ少なくなるよう工夫したい。」との説明がありました。

 さらに委員の中からは、「漁業者による森づくりに取り組まれている事例もあり、みんなで森を守り、水を守る。という気運づくりが大切である。これを機にそうした気運の醸成に繋がることを期待したい。」との意見もありました。

 

2点目に「島根県国民保護対策本部及び緊急対処事態対策本部条例」に関連して委員から「有事に対する国防などは、一義的には国が考えるべきものであるが、有事における県民の避難路確保や自衛隊などの防衛装備の輸送の観点から、有事を想定した道路整備が必要ではないか。」との質問がありました。

 これに対し執行部からは、「道路整備は国、県、市町村がそれぞれ役割を分担しながら出来るだけ効率的に整備を進める必要がある。厳しい財政事情のもとに公共事業費の削減は避けて通れないが、道路に対する県民のニーズは高いものがあることから、質問の点も視野に入れながら効率的な道路整備に向けて関係部局と協議したい。」との答弁がありました。

 

次に、請願の審査経過と結果について申し上げます。

新規の請願第47号「ゆきとどいた教育を進めるための請願」の請願項目9は「私立高校に対し、生徒急減期における教育条件の向上と父母負担の公私間格差是正のための補助の拡充」を求めるものであります。

この請願項目については、県財政の現状から現行補助の増額は困難と認められますが、私立学校に対する助成は引き続きその必要があることから、継続審査との結果となりました。

また、新規の請願第48号「児童の権利条約の趣旨に沿って、父母負担の公私格差是正など私学助成政策の抜本的拡充を求める請願」は、私学助成政策について7項目の実現を求めるものですが、

 請願項目1の「授業料一律助成の新設」については、授業料の減免等は経済的困窮者に対して行われており、一律助成には対応できないことから不採択。

 請願項目2の「私学助成の国庫補助制度を守る決議を上げ政府に要請してください。」については、三位一体の改革を推進するためには国庫補助制度の維持を求めることは適当でないことから不採択。

 請願項目3の「奨学金制度の拡充」、請願項目4の「標準教育費の2分の1補助の早期実現」、請願項目5の「28人以下学級実施のための助成の拡充」及び請願項目6の「教職員確保・増員のための助成」の計四つの項目については、県財政の現状から現行奨学金や補助の増額等は困難と認められますが、私学に対する助成は引き続き必要なことから継続審査。

請願項目7の「私立中学校への授業料助成の新設」については、中学校は義務教育で無償とされていますが、私立中学校への就学は保護者の自由な選択によるものであることから、私立中学校への授業料助成の新設には対応出来ないことであり、不採択。

 以上の審査結果でありました。

 なお、継続審査中の請願第24号及び第26号の2件の請願については、引き続き審査することといたしました。

 

次に、所管事項調査に関連したものについて申し上げます。

 

まず、「中海に関する協議会」実務グループ検討会の検討状況についてであります。

執行部からの報告では、

1、水質関係について、本県は、堤防開削により本庄工区で変化が見られ、これによる生物・生態系への影響が懸念されると考えているのに対し、鳥取県は、水質改善のプラス効果は長い目で評価すべきとしており、主張が分かれいること。

2、治水関係については、国土交通省、農林水産省、及び本県は、堤防開削を前提とした場合の治水影響はないと考えているのに対し、鳥取県は、僅か数センチでも治水の安全度は高まると主張していることなど、見解が分かれている状況である。

このため、今後、論点を整理した上で、「中海に関する協議会」への報告する旨の説明がありました。

委員からは、「堤防開削による本庄工区の生物・生態系への影響に対する認識の違いや、治水への影響、中浦水門の撤去方法」などについての質問や意見のほか、先に撤去することが決定された西部承水路堤についても、「撤去にあたっては、水質などの環境にも十分配慮した工法などを検討をされたい。」などの要望がありました。

中海に関する様々な問題の解決に向けては、両県知事によるトップ会談も予定されているとのことですが、執行部におかれては、本委員会での意見なども十分に踏まえられ、漁業振興や地域振興の観点も念頭に置いた、十分な取り組みがなされるよう、重ねて要請します。

 

次に委員から、「中山間地域研究センターで開発運用しているGIS(ジオグラフィック・インホメーション・システム)は県の総合計画の策定や政策決定などに利用出来るのではないかと思われる。また、県としてIT部門を統括する部署が必要ではないか。」との意見がありました。

執行部からは、「GISについては、県の様々な施策に利用出来るので、今後も引き続き活用を図っていきたい。また、担当部局の扱いには、多くの課題があり各県でもそれぞれの対応をしている。今後議論を深めたい。」との答弁がありました。

 

次に、警察署の庁舎についてであります。

本委員会では、先般、雲南地域の現地調査を行いました。

調査先の1つとして、木次警察署の現状等について調査しましたが、その状況について委員から、「木次警察署の庁舎は狭隘かつ老朽化が著しい上に、来春からは近隣警察署と統合し、雲南警察署として署員数も増大することとなるが、同様の現状にある大田警察署も含め、厳しい財政事情を考慮しつつも何らかの対応が必要ではないか。」との意見がありました

これに対して、執行部からは、「施設整備の凍結という現状下にはあるが、木次・大田両警察署ともに建て替えが必要であると認識している。警察署再編の措置としては、当面、現有施設の改修等により対応することとしているが、可能な限り速やかに建て替えが実現するよう鋭意努力していきたい。」との説明がありました。

地域住民にとって、警察署は治安の砦・象徴であります。今後、警察本部には、警察署庁舎が治安の拠点たるにふさわしいものとなるよう、必要な対応を望むものです。

 

さて、総務委員会では、昨年から、現地調査を含め、調査活動を行ってまいりましたが、その結果を「ITの利活用促進に向けて」とする提言にまとめましたので、ご報告いたします。

詳細は、お手元にお配りしております提言書をご覧いただきたいと思いますが、その要点を述べさせていただきます。

本県では、民間通信事業者による積極的な設備投資の誘導に徹しながら、情報通信インフラの整備に取り組んだ結果、平成14年6月には「全県IP網」が完成し、平成15年度末には、県内全域での高速インターネット環境が実現しましたが、本県のブロードバンド加入数は、中国地方1の伸び率を示しているものの、まだまだ低い現状であります。

そこで、高齢者の社会参画・自立生活等を支援するため本県で開発された「ITを活用した総合的な生活支援システム」いわゆる「まめなかネット」や、各家庭に光ファイバーを直接引き込む「FTTH」サービスを実現している北海道西興部村の調査などを踏まえ、「今後の取り組み」として、次の2つの項目を、提言することとしました。

1つ目の、「ソフトの活用に向けた取り組みの強化」としては、情報通信インフラの整備が進む中、サービスの活用に向けて、ソフト活用面での取り組みの強化を図るべきであること。ソフトの活用にあたっては、活用する業務に直接携わる各部局の積極的な取り組みにかかっているため、関係部局との十分な連携を図っていくこと、であります。

2つ目の、「情報通信サービス活用のためのパソコン研修機会の充実」としては、身近に活用できる施設や人との連携、活用についても検討し、県民に対するパソコンの利用のための研修機会を多くすること、であります。

県の情報通信インフラ整備では、平成23年頃(2011年頃)を目途に「条件不利地域のFTTH(加入者系光ファイバ網の実現)」を目指すこととされていますが、FTTHは、「動画配信など大容量データを用いた情報発信、リアルタイム映像による双方向コミュニケーション、多地点間を結ぶテレビ会議システム」などを可能にするとともに、「テレビ難視聴対策」としても活用が期待できます。執行部におかれては、ITを活用した安心・便利なIT社会の、県内全域での実現を目指し、条件不利地域でのFTTHの実現に向けて、積極的な取り組みを望むものであります。

 

以上、総務委員会における審査の概要と、調査活動に基づく提言について申し述べまして、委員長報告を終わります。

 



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