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農水商工委員長報告

 
農水商工委員長報平成16年9月定例会


農水商工委員長報告をいたします。

農水商工委員会に付託されました議案の審査経過並びに結果について、ご報告いたします。
今定例会において農水商工委員会に付託されました議案は、知事提出の予算案3件、条例案4件、一般事件案2件であります。
これらの議案について、執行部に説明を求め、慎重に審査いたしました結果、条例案4件、一般事件案1件を除き、全会一致をもって、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。

全会一致とならなかった議案のうち、条例案第124号、125号、126号、127号は、地方自治法の改正により、公の施設に指定管理者制度が導入されたことに伴い、その管理方法を改めることとし、関係条例の改正を行うものであります。
具体的には、農林水産部所管の「ふるさとの森」については、現行の公共団体等への管理委託から県の直営管理に、また、同じく農林水産部所管の「宍道湖自然館」、商工労働部所管の「産業交流会館」及び「産業高度化支援センター」については、来年4月より指定管理者制度を導入し、民間事業者等知事が指定する者に管理を代行させるものであります。
これに対し、委員からは「指定管理者制度そのものに反対ではないが、コスト削減が優先され、県議会も含めた県民参加の中で各施設の充分な検証が行われてきたとは言えず、進め方が拙速すぎるため、反対である」との意見がありました。
これに対し執行部からは、各施設の利用実態を見て、適切な管理方法を検討したうえで判断したとの回答がありました。
以上の審議経過を経て、最終的には挙手による採決を行ったところ、賛成多数により条例案4件すべてについて、原案どおり可決すべきとの審査結果でありました。

次に、全会一致とならなかった一般事件案第148号は、県の行う建設事業のうち農林水産部所管にかかるものについて市町村の事業費負担を定めるものであり、執行部からは、「負担率は市町村長の意見を聞いて定めることとなっており、市町村は公共性や受益の多寡により判断されるが、従来から定めている負担率を踏襲しており、今回見直すものではない」との説明がありました。
これに対し、委員からは「老朽ため池事業など、農地保全や山地保全など公益性からみて県が責任を負うべきものが含まれているため、反対である」との意見がありました。
以上の審議経過を経て、最終的には挙手による採決を行ったところ、賛成多数により一般事件案第148号については、原案どおり可決すべきとの審査結果でありました。

次に請願の審査について申し上げます。

まず、新規に付託されました、請願第40号についてであります。
請願項目の1つ目は、県産材の「地産地消」を促進するため、公共施設の建築において県産材が積極的に使用されるシステムを構築すること、2つ目は、「新しまね間伐推進方針」に基づき、間伐実施のための総合的施策を推進するとともに、造林公共事業や県単間伐補助事業の予算枠確保を求めるものであります。
この請願の審査経過及び審査結果についてご報告いたします。
執行部から、請願項目の1つ目については、本年度を初年度とする「島根県木質資源維新計画」において「公共事業等での県産木材の積極的な使用」を掲げ、取り組みを進めていること、2つ目については、厳しい財政状況の中、事業の効率化と低コスト化を図り、事業量の確保に努めたいとの説明がありました。
これに対し、委員からは、「県産材の利用促進は永い間のテーマだが、掛け声で終わらないよう、土木部等との部局間調整を充分行って欲しい」、また、「木材輸出に取り組まれているが、一部製品化され逆輸入されている実態もある。もっと市場調査をきちんと行うことが必要」などの意見がありました。
以上の審議経過を経て、請願第40号の請願項目の1つ目については「採択」、2つ目については「趣旨採択」すべきものと決定いたしました。

次に継続中の請願4件について審査いたしましたが、いずれの請願につきましても状況に変化が見られないことから、さらに継続して審査を行うことといたしました。

 

続いて、所管事項の調査に関連したものについて申し上げます。

まず、農林水産部の所管事項についてであります。
はじめに、「新農業・農村活性化プラン」についてであります。
「新農業・農村活性化プラン」については、年度内にプランを見直すこととなっておりますが、当委員会では、閉会中の9月6日に委員会を開催し、プランの位置づけ、基本目標等について執行部案をもとに調査いたしました。
執行部からは、「『消費者に支持され、産業として自立する島根の農業』を基本目標に、施策ごとにプロジェクトを組み、事業展開を図っていきたい」との説明がありました。
これに対し、委員からは「『消費者に支持され』という基本目標は、安全・安心なものづくりという意味で大切だが、中山間地域においては自立する農業の担い手の確保は難しい」、また、「農業を支える柱として大規模農家への支援は必要だが、複合経営、兼業農家、集落組織など、農業を続ける意欲がある人はすべて大切な農業者であると位置づけ、農業の多面的な発展を図ることが必要」といった意見がありました。
これに対し、執行部からは、「産業として自立する農業とは、中山間地域の実態を無視するという意味ではなく、消費者の需要に応じて、きちっとした産地や担い手を育て、農業者の所得を確保していこうという趣旨である。一方で、国全体の食糧自給率をどう高めていくかという問題等もあり、様々な形態で農業に関わる方への施策も国に求めていくとともに、県内で熱心に取り組まれている集落営農なども大切にしていきたい」との回答がありました。

次に、国営中海土地改良事業についてであります。
当委員会では、閉会中の7月23日に委員会を開催し、国営中海土地改良事業の計画変更にかかる知事協議に対する農林水産省への回答について調査いたしました。
執行部からは、事業で造成された施設の取り扱いにかかる島根県の回答案及び関係市町からの回答に対する島根県の対応方針案について説明がありました。
これに対し、委員からは「干拓淡水化事業中止に伴う公共事業の後始末は必要だが、原状回復をいかにするかという、県としての太いスタンスが必要」との意見がありました。
これに対し、執行部からは、「環境回復については、堤防開削問題も含め、現在、島根県、鳥取県、中四国農政局、中国整備局による四者で組織している中海に関する協議会で議論されている最中であり、別途検討している」との回答がありました。

続いて、商工労働部所管事項についてであります。
当委員会では、閉会中の7月23日に開催した委員会において、産業再生機構によるアメックス協販グループ再生支援計画等について調査を行いました。
執行部からは、こうした事態に至ったことは県として大変残念だが、同グループが産業再生機構の支援を受けて事業再生を果たすことは、本県産業、特に石見地域の振興、雇用確保の観点から重要であり、可能な限りの支援をしたいとして、同グループに対する債権放棄を中心とする県の支援策について説明がありました。
これに対し、委員からは「今後、県内瓦産業全体の振興を図るには、建築業界と瓦産業の協調が必要であり、住宅建設関連業界の改革を働きかけるべきである」、また「今回の事態を反省として、同じ業界の他業者に広がっていかないよう、早めの対応や指導が必要」といった意見がありました。
これに対し、執行部からは「工業版の地産地消という観点を大切にしていきたい」、また、「他のグループについても、相談があれば速やかに対応していきたい」との回答がありました。

さて、農水商工委員会では、昨年から、農林水産業と商工業の連携を一層推進することを目的に調査活動を行ってまいりましたが、その結果を「産業政策的視点による県勢振興」とする提言にまとめましたので、ご報告いたします。
詳細は、お手元にお配りしております提言書をご覧いただきたいと思いますが、その要点を述べさせていただきます。

まず、県産品のブランド化の取り組みについて、東京での調査では、県が選定したブランド化重点産品が必ずしも充分認知されていないとの声を聞きました。ブランド化の取り組みはまだ始まったばかりでありますが、今後は県産品のブランド化を通じて島根県そのものを全国に知らしめる活動が大切であります。
東京中央卸売市場の卸売関係者との意見交換を通じて、首都圏においては行政機関、農林水産団体ともに市場を直接訪問するなどの市場調査が不足していることを実感したところであります。今後の県産品の販売促進にあたっては、市場調査を充分行うとともに、観光客を含む消費者ニーズを把握し、その情報を生産者、加工業者、販売業者へ提供するきめ細かな対応が必要と考えます。
なお、県産品には、市場側のニーズに十分応えるだけの生産量を確保できないものがありますが、今後は量だけではなく、県産品の特徴を十分活かせる出荷先の選定や付加価値を高める等の努力、バイヤーを招聘した産地商談会の開催などにより、大消費地の百貨店、高級スーパー等での定番化に一層取り組むなど販売機会の増大等を図る必要があります。
また、にほんばし島根館については、今以上に島根らしさの演出と職員教育の徹底、リピーター確保策が重要と思われます。
さらに、地産地消の推進については、現在の県主導の運動から民間の自主的な活動を醸成する幅広い県民運動に発展させていく必要があります。

最後に、現在、国による三位一体改革が進められておりますが、当委員会では、本県の基幹産業である農林水産業関係施策の実施が困難となる事態が生じないよう、国に対し地方交付税をはじめとする万全の財源措置の確保を求めるため、「農林水産関係の三位一体改革に関する意見書」を提出することを決定いたしました。

以上、農水商工委員会における審査の概要等を申し述べ、委員長報告といたします。
 



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