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文教厚生委員長報告


文教厚生委員長報平成16年6月定例会

 

文教厚生委員長報告を行います。
文教厚生委員会に付託されました議案の審査経過並びに結果について御報告いたします。

今定例会において本委員会に付託されました議案は、一般事件案1件、議員提出議案1件であります。
これら議案について、執行部に説明を求め慎重に審査しました結果、一般事件案、平成15年度島根県一般会計補正予算の専決処分に係る承認第1号議案については全会一致をもって、議員提出第12号議案「教育基本法の早期改正を求める意見書」については採決によって、いずれも原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。

付託議案のうち、全会一致をみなかった議員提出第12号議案「教育基本法の早期改正を求める意見書」の審査過程につきまして御報告いたします。
この意見書は、青少年の規範意識や道徳心の低下、家庭・地域の教育力の低下など教育をめぐる様々な問題が生じている中、中央教育審議会の答申を踏まえ、新しい時代にふさわしい教育が実現できるよう、国民的議論を深めることに意を尽くしつつ、教育基本法の早期改正を要望しようとするものであります。
この趣旨に対し、委員の中に、「我が国の教育のあり方は戦後50年に渡り議論の続いてきたところであり、国は、国民的合意を図り、法改正をもって国民共有の価値観を具体的に、かつ早期に示すべき」で、この議案は可決すべしとの意見があった一方、「今日の社会情勢や青少年を巡る諸問題は意見書案に記載のとおりとしても、すべてが教育基本法に帰結するとは言えず、ことさら早期に改正する必要性は乏しい」として、さらに時間をかけ検討すべきとの意見もあり、採決を行ったものであります。

次に、請願の審査について申しあげます。
今定例会で付託されました新規請願は、第36号、第37号、第39号計3件であります。これらと合わせ継続中の請願12件について慎重に審査いたしました。審査の結果を申し上げます。

請願第36号は、「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律ならびに関係法令の遵守と違法者取締りの徹底強化」を求めるものであります。
近年、本県におきましても、「カイロプラクテック」あるいは「エステティック」などのいわゆる民間療法を業として行う事例が増えつつありますが、これらは、現行の法律、略して「あはき法」のもとでは、国の資格制度の適用を受けない医業類似行為とされております。
この請願は、こうした医業類似行為に起因すると思われる事故の発生を未然に防止するための行政指導や取締りの機能が、実体として働いていないとの主張に基づくもので、背景には現行の「あはき法」が規制するあん摩、マッサージ、指圧等の施術行為と民間療法における行為との境界が不明瞭であることや、「あはき法」の規定に違反するとされる「人の健康に害を及ぼす恐れのある行為」が具体的に示されていないことなどがあります。
その一方、「カイロプラクテック」等の医業類似行為も歴史の中では社会的有用性という点で市民権を得ている実態もあることから、行政指導や取締り等のあり方については法整備の必要性も含め、より慎重な審査が必要であることから継続して審査することといたしました。

請願第37号は、「県立三刀屋高校掛合分校の存続」を求めるものであります。
県立学校の再編成につきましては、後ほど詳細に御報告いたしますが、本委員会としては、少子化という厳しい現状を踏まえ後期再編成計画(案)を基本的に了解するものの、いわゆる統廃合基準に到達する前の統廃合を検討する地域に対しては特に慎重を期するよう要望するとの方向で取りまとめたところでありますので、継続して審査を行うことといたしました。

請願第39号は、「義務教育費国庫負担制度の堅持を求める意見書採択」を求めるものであります。
これにつきましては、義務教育に要する経費は国の責務としてその所要額が確保されるべきという点において「趣旨採択」することといたしましたが、意見書の提出につきましては、昨年9月、11月の定例会において、それぞれ同じ趣旨での意見書の提出を行ったところでありますので、今回は見送ることといたしました。

審査を継続しておりました請願12件のうち、第4号「教育基本法の改定ではなく、その理念の実現を求める意見書採択について」及び第7号「教育基本法改正に反対する国への意見書採択について」につきましては、議員提出第12号議案「教育基本法の早期改正を求める意見書」を可決すべきものと決定いたしましたから、「不採択」との結論に至りました。
第31号「基礎年金の国庫負担割合の2分の1への早急引き上げと抜本改革の実現を求める請願」のうち、「抜本改革の実現を求める」部分につきましては、「国民年金法等の一部を改正する法律」が6月5日に、また、第32号「年金課税強化の撤回を求める請願」につきましては、「所得税法等の一部を改正する法律」が3月26日にそれぞれ成立したことから「不採択」との結論に至りました。

その他の請願につきましては、さらに継続して審査を行うことといたしました。

 

続きまして、所管事項調査に関連したものについて申し上げます。
先ず、健康福祉部に関する事項であります。
報告事項の一つに、「少子化の状況」があり、平成15年度の合計特殊出生率について説明を受けました。
平成15年度本県の出生数は6092人、合計特殊出生率は1.48で、少子化がますます進行している実態を裏付ける数値が示されております。
また、5年を単位に発表される市町村別の合計特殊出生率を見ると、平成10年から14年までの間の8市単純平均が1.66であるのに対し、町村の単純平均は1.75であり、市部において低い数値を示しておりますが、前回平成5年から9年までの比較で見ると、概して市部よりも山間部での低下が顕著であります。
合計特殊出生率を都道府県別に見れば、本県は国全体での1.29を上回り、順位も上位から8位にありますが、出生数を増加に転じさせる施策に即効性を求めることは極めて難しい面がありますので、地道な努力の積み重ねにより少子化対策の実を挙げていただきたいと願うものであります。
なお、少子化対策に関連して、委員から、不妊治療に係る医療保険適用へ向けた執行部の取り組みについて質問がありました。
県としては、医療保険の適用により負担軽減を図ることが基本との見解のもと、本年度の国への重点要望の1項目にも掲げ、保険適用を求めたとのことですが、厚生労働省は、「不妊は病気ではない」として要望に応じない姿勢を示したとのことであります。
不妊治療を受けている多くの方が、保険適用を望むとのアンケート結果もあるところであり、子どもを産む、産まないについて自己決定の原則を尊重しつつ、今後とも子供を産みやすい環境づくりに県民が一体となって取り組むことの重要性を、あらためて申し上げておきます。

次に、教育委員会に関する事項のうち、「県立高校後期再編成計画(案)」についてであります。
「県立学校後期再編計画(案)」は、2月定例会での本委員会に報告がなされて以降、閉会中を含め数度の委員会を開会し、議論を重ねてまいりました。
議論の過程では、以下申し述べるような様々な意見がありました。
例えば、教育は百年の大計であり、次代を担う若者の育成にあたって、一人ひとりの学習機会を確保する必要がある。あるいは、本県高校教育のあり方は、本県実情を踏まえ、自己決定・自己責任の地方分権の趣旨にも添うよう主体的な判断が望まれるとして、後期計画に示された統廃合について否定的な意見のある一方で、中学校卒業者数は今後も減少が続くという予測にあっては、一定の学校規模を保つことにより教育環境を整えることが望まれるとして、後期計画に肯定的な意見もありました。
このように、望ましい教育を巡り、委員間で意見の分かれはありましたが、中学校卒業者数の大幅な減少という現実を見据えれば、現状のままに県立高校を維持存続することは困難であるとの点において委員の認識は一致、共通するものであり、議論の結果、この後期計画は本委員会として基本的に了承する旨の結論に達したところであります。
しかしながら、統廃合の検討過程及び実施内容や時期など計画の具体化にあたっては、関係する地元へ最大限の配慮がなされるよう求めるものであります。
また、県教育委員会は、本委員会からの要望により、「中山間地域における高校教育のあり方」を項目として後期計画(案)に追加記述し、県と地元とが一体となり新たな地域貢献のあり方を検討し、その実現を図っていく姿勢を示されましたが、後期計画では、いわゆる「統廃合基準」に到達する前であっても統廃合を検討するとした学校もあり、こうした地域については、地域振興の観点や市町村合併・新市町建設計画をも考慮し、特に慎重を期するよう要望いたしておきます。
なお、平成20年度までの後期計画期間以降においても、本県における中学校卒業者数の減少傾向は続くと見込まれ、後期計画期間以降の県立高校のあり方は、後期計画期間内にも検討に着手する必要があると考えられます。
その際、後期計画では方向性を示すにとどめられた定時制、通信制高校や盲学校、ろう学校、養護学校等について、一人ひとりの学習機会を保障する多様で柔軟な教育システムづくりの具体化を図るとともに、濃密な指導が可能な少人数学級の高校設置など、地方分権の視点を踏まえ、学級数による適正規模に偏重することなく、島根らしい教育について、広範な検討がなされることを期待するものであります。

以上、文教厚生委員会における審査等の概要を申し述べ、委員長報告を終わります。

 



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