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総務委員長報告

 

総務委員長報平成16年2月定例会

 

 総務委員長報告をいたします。

総務委員会に付託されました議案の審査経過並びに結果について、ご報告申し上げます。
今定例会において本委員会に付託されました議案は、予算案八件、条例案十八件、一般事件案三件、議員提出議案三件の計三十二件であります。

まず、知事提出議案二十九件について、審査結果を申し上げます。
それぞれの議案について、執行部に説明を求めるなど、慎重に審査いたしました結果、予算案一件については採決により、他の二十八件の議案については全会一致をもって、いずれも原案のとおり可決すべきものと決定をいたしました。
全会一致とならなかった議案は、第一号議案「平成十六年度島根県一般会計予算」であります。
この予算案の総務費に計上されている一畑電車運行維持事業費、二億百八十九万八千円について、委員の一人から、「この会社の鉄道事業の営業損失は、ここ数年二億一千万円台でほぼ一定であり、営業努力が足りないのではないか。また、会社全体としては、当期未処分利益があり、配当を行っていることなどから、この会社の鉄道事業に対する補助は必要ないのではないか。」との質問がありました。
これに対して、執行部からは「乗客の減少により売り上げが減っている中で、営業損失を一定に保つには、事業者の相当な経営努力によるものであること。また、鉄道を廃止したいとの事業者の意向に対して、沿線をはじめとする地域住民の運行継続の要望などから、沿線自治体と共に今まで鉄道の運行を要請してきた経緯がある。」などの説明がありましたが、質問を行った委員からは、「県の財政を考えるとこの補助金については納得できないところがある。」との意見があったことから、採決を行ったところ、賛成多数により、この予算案についても、原案のとおり可決すべきものとの審査結果でありました。

次に、議員提出議案三件について、審査結果を申し上げます。
第一号議案「議会の議員の報酬の特例に関する条例の一部を改正する条例」については、採決により、第三号議案「竹島の領土権確立に関する意見書」については、全会一致をもって、いずれも原案のとおり可決すべきものと決定をいたしました。
第二号議案「島根県政務調査費の交付に関する条例の一部を改正する条例」については、採決の結果、賛成少数により、否決すべきものと決定いたしました。
なお、先の定例会において継続審査となっておりました、議員提出第十七号議案「イラク特措法に基づくイラクへの自衛隊派遣に反対する意見書」については、採決の結果、賛成少数により、否決すべきものと決定いたしましたので、併せて、ご報告いたします。

次に、請願の審査結果について申し上げます。
まず、新規に付託された請願二件について報告いたします。
請願第二十九号「寒冷地手当の見直しを行わず、改善を求める意見書の採択」を求める請願であります。
寒冷地手当は、現在、人事院においてその見直しが検討されており、その動向を見守る必要があることから、この請願については、「継続して審査」することにいたしました。
請願第三十五号「私立学校助成費削減の中止を求める請願」であります。
私立学校への助成費は、県財政の現状から、当面三年間で生徒一人当たりの補助単価を削減することが決定されていることから、この請願については、「不採択」との結果でありました。
次に、継続審査中の請願一件について報告いたします。
第十九号「自衛隊のイラク派兵に反対する意見書の提出について」の請願は、既に自衛隊はイラク復興支援活動を開始しており、去る二月九日には国会において承認されていることから、この請願については、「不採択」との結果でありました。

次に、議案の審査過程での執行部からの説明、委員からの質疑、意見、要望事項のうち、主なものについて、ご報告いたします。

まず、一点目として、「総合計画の策定」についてであります。
委員から、「総合計画の策定にあたっては、県民の意見を十分に聞き、県民との共通認識に立った計画にすることが重要ではないか。」との質問があり、これに対して執行部からは「これまでも骨子案や計画原案の段階で、パブリックコメントや公聴会などで県民意見を聞いているほか、連合島根や商工会連合会などの各種団体からも意見をいただいている。また、実施計画の作成にあたってもパブリックコメントなど県民の意見を聞きながら進める。」との答弁がありました。
総合計画は、県政運営の基本指針であり、今後の施策展開の中心となることから、県民と行政とが共通認識を持った計画となることを期待するものです。

二点目として、「行政評価と予算編成」についてであります。
委員から、「行政評価の結果は、予算の編成にどのように反映させるのか。」との質問があり、これに対して執行部からは「前年度に実施した事業について速やかに行政評価を行い、その結果は、次年度の予算編成に反映するほか、当該年度の補正予算に反映させる。」との答弁がありました。
また、これに関連して委員から、「公共事業の削減は本県経済に大きな影響を与えるが、予算編成にあたって、経済への影響という視点はどの程度加味されているのか。」との質問がありました。これに対して執行部からは「予算編成に係わる問題であるが、公共事業の削減が本県経済に与える影響という観点は重要であると認識しており、政策企画会議の場で議論していきたい。」との答弁がありました。

 

三点目として、「竹島問題について」であります。
委員から、「県が行う広報事業に、竹島問題も取り上げる予定があるのか。」との質問があり、これに対して執行部からは「新年度の重点広報項目については、現在、各部からの要望を取りまとめているところであるが、竹島の問題についても関係部局と連携しながら、より効果的な広報等について検討したい。」との答弁がありました。
竹島の問題については、国民世論の盛り上がりに期待したいところであります。

四点目として、「情報通信インフラの発展シナリオ」の推進状況についてであります。
執行部から、『「全県IP網」の完成に続き「全県高速インターネット環境」の実現を図るため、高速インターネット環境の空白地域を対象に、市町村IT化総合補助金によるプロバイダの設備投資に対する財政支援を行い、高速インターネット接続サービスを誘致してきた結果、本年三月末には県内全世帯の九十九%で高速インターネットへの接続が可能になる。』との報告がありました。
これに対して委員からは、「実際に高速インターネットを利用している割合はどうか。」との質問があり、これに対して執行部から「高速インターネットの普及率は、全世帯数の約十八%と推定され、今後の課題としては、いかにして地域づくりなどのソフトを充実させるかにある。このため、市町村が実施するソフト施策を総合的に支援するための予算を計上している。」との答弁がありました。
全国に誇れる「情報通信のインフラ整備」も、地域の情報発信等に活用されてこそ意義がありますので、今後の施策展開により、多くの県民の利用を期待するものです。

五点目として、「警察署再編計画」についてであります。
現在、本県には十七の警察署がありますが、このうち八カ所の警察署は、本署で勤務する警察官が二十人未満のいわゆる小規模警察署であります。
警察本部からは、『現在、県警察は、治安情勢の悪化及びそれに伴う警察官の業務負担の問題、犯罪等の都市部集中化への組織的対応、小規模警察署の問題等を抱えており、これらの問題に的確に対処し「良好な治安」を確保するために、警察署の再編計画を策定した。』との説明がありました。

再編計画の具体的内容は、小規模警察署八カ所について、管内人口、面積、行政区域、交通事情等個々の警察署の具体的状況を考慮して統合の是非を検討し、可能な警察署については、隣接警察署と統合すること。
また、統合により廃止となる警察署には、地域安全センターとしての機能をもつ交番を設置し、警察官によるパトロール活動の強化や事件・事故発生時における初動体制の確立。また、地域の安全確保のため、パトカーによる警ら活動の推進や駐在所活動の強化を図ること。
さらに、一部の許認可サービスを継続して行うこと。などであります。
今後、パブリックコメントを行い、平成十七年四月には再編を行いたいとのことであります。
この再編計画について、委員からは、「警察署の再編は全国的なものか」との質問や「統合により廃止となる地域への対策等」について質問がありました。これに対して警察本部からは、「それぞれの県で計画されているが、特に本県においては、昭和二十九年から変更していないこともあり、社会環境や治安情勢の変化に対応した警察署の再編が必要と判断している。この再編により、県警察全体の機能強化が図られ、犯罪多発地域における捜査体制だけでなく、中山間地域の治安維持のためのパトロール体制も確立できる。」などの答弁がありました。
さらに委員からは、「交番という名称は、警察署に比べ、治安機能が低いというイメージがあるので、ネーミングについて、もっと安心を与えるものへの検討や、従来の交番に比べて高度な機能を持つものである点を周知する必要がある。」との意見があり、これに対して、「名称については、いろいろな意見を聞き十分考えたい。また、新しい交番の機能については、パブリックコメントをする中で周知に努めたい。」との答弁がありました。
また、別の委員からは、「警察署の再編は、基本的には現場強化のためと捉えている。そのためには、地域に密着した駐在所について、スタッフの増員や勤務条件の改善と併せ機能強化を図る必要がある。」との意見のほか、「長い海岸線を有する本県の地理的条件も十分に考慮してほしい。」との要望や「中山間地域は高齢化が進んでおり、安全・安心の象徴である警察署が無くなることは、地域にとって重大なことであり、住民の不安を取り除く安全・安心の体制に万全を図ってほしい。」などの要望がありました。
半世紀にわたり、県民に親しまれている警察署の再編は、地域住民にとって市町村合併と同様に大きな問題であります。
社会状況や治安状況の変化に伴い、警察署の再編が必要なことは理解できるところではありますが、地域住民の安全・安心の確保を第一にした「日本一治安の良い島根県」を造るため、地域の期待に沿った検討をお願いするものです。

最後に、平成十四年度末の切手の購入に関連して、執行部から「この切手は、年度をまたいで使用したものであり、不適切な予算執行と判断し、国に対して国庫補助金相当額の二百三万七千円余を返還することにした。」との報告がありました。
予算の執行にあたっては、県民の不信を招くことのないよう、関係法令等に基づき適正に行われるよう、改めて要請するものです。

なお、本委員会の審議を通じて、新規職員の採用凍結について、若者定住や県内の雇用情勢、さらには経済などにも大きく関わる問題であるとの意見がありましたことを申し添えます。
 
平成十六年度の予算は、県民に痛みを強いいるものであります。
執行部におかれては、事業の実施にあたって、より一層、効率的で効果的な予算の執行に心がけていただきたいと思います。
以上、総務委員会における審査の概要等を申し述べ、委員長報告を終わります。

 



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