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農水商工委員長報告

 

農水商工委員長報平成16年2月定例会

 

 農水商工委員長報告をいたします。

農水商工委員会に付託されました、議案の審査経過並びに結果について、御報告いたします。
今定例会において、農水商工委員会に付託されました議案は、知事提出の予算案十件、条例案三件、一般事件案四件及び議員提出議案一件であります。
これらの議案について、執行部に説明を求め、慎重に審査いたしました結果、平成十六年度当初予算案一件及び一般事件案一件を除いては、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。

全会一致とならなかった議案の一つは、一般事件案第四十五号議案「公の施設の指定管理者の指定について」であります。この議案は、島根県花振興センター花ふれあい公園の管理を知事が指定する指定管理者に行わせるものであります。執行部から、出雲市の「特定非営利活動法人国
際交流フラワー二十一」を指定管理者として選定し、平成十六年度から三年間指定するとの説明がありました。この議案に反対する委員からは、ふれあい公園の管理を外部に委託することにより、個人情報の機密保持に関して不充分であること。
事業計画の概要が示されていないとの意見があったことから採決をした結果、賛成多数により原案のとおり可決すべきとの審査結果でありました。
また、第一号議案「平成十六年度島根県一般会計予算」につきましても、委員から異議が出されましたが、採決の結果、賛成多数により可決すべきものとの審査結果でありました。

次に請願の審査について申し上げます。
まず、新規に付託されました請願第二十七号「じん肺罹患者の救済とトンネルじん肺根絶を求める意見書採択について」であります。

請願の内容は、一は、トンネル建設工事において、粉塵測定を義務付け、じん肺を根絶するよう、法律、規則を整備すること。二は、トンネル工事において、労働者が粉塵にさらされる時間を短縮、制限すること。三は、じん肺に罹患したトンネル労働者に対し、補償する基金制度を設けることを、国に要請するよう求めるものであります。
これに対し委員からは、法整備がなされていればトンネルじん肺は防げたのではないか、じん肺罹患者に報いることは国として当然であるとし採択すべきとの意見もありましたが、一及び二は、トンネル工事の発注・施工にあたって、労働安全衛生法を遵守するとともに、厚生労働省に
おいて「ずい道等建設工事における粉じん対策に関するガイドライン」が定められていること。
三は、基金制度創設にはその財源などに問題があること。また、トンネルじん肺の補償問題については、全国各地で国や建設会社に対して本請願と同様な内容について裁判所に提訴され係争中であることから、採決した結果、賛成多数により継続して審査すべきとの審査結果でありました。
次に、請願第二十八号「緊急地域雇用創出特別交付金の継続・改善を求める請願」についてであります。

請願の内容は、一は、同交付金制度が平成十六年度までの予定で実施されていることから、平成十七年度以降も継続して実施すること。二は、失業者の就労に役立つよう、実施要項や運用方法など、実施主体である地方自治体が運用しやすく改善するよう国に対して意見書の提出を求めるものであります。
同交付金制度は平成十三年度から創設され、これまで一定の成果を上げていること。厳しい雇用情勢を踏まえると制度の存続が望まれること。制度上の制約も多く、その改善が地方自治体にとって必要なことから、採択し意見書を提出することに決定をいたしました。
次に、継続中の請願第十一号の三項の「間伐材の利用拡大の取り組みに対する支援について」であります。
執行部から状況の説明を求め審査を行った結果、新たに策定する「新しまね間伐材推進基本方針」に基づき間伐材の利用拡大を推進することとしていること。搬出量に応じて助成する制度に改め搬出経費を軽減し、間伐材の搬出促進を図ることとしていることから、採択することに決定
いたしました。

その他の継続中の請願第十一号、第十八号及び第二十三号につきましては、新たな判断を行うべき状況に至っていないことから、さらに継続して審査を行うことに決定いたしました。

 

続いて、付託された議案の審査過程における執行部からの説明、委員からの質疑、意見、要望事項についてご報告いたします。

初めに、第一号議案「平成十六年度島根県一般会計予算」のうち商工費に計上されている新産業創出プロジェクト推進事業についてであります。
執行部から、新産業・新事業の創出と経営力・技術力の高度化による産業振興を図り、県内企業の活性化・底上げと競争力のある産業群を創出していくこととし、県が牽引役となり新産業創出に取り組んでいくこと。
平成十五年度から取り組んでいる、新機能材料開発プロジェクト、新エネルギー応用製品開発プロジェクト、健康食品産業創出プロジェクトに加え、プラズマ利用技術開発プロジェクト、バーチャルリアリティ技術開発プロジェクトを、平成十六年度から新産業創出戦略会議のもとで事
業推進するとの説明がありました。
これに対し委員から、ナノテクノロジー技術を駆使できる企業はあるのか。県内産業を取り巻く環境が厳しい中で、地場産業や伝統産業など今後事業の発展が見込まれる産業にも光を当てた予算編成が必要ではないか。また、県民が困っているのは、厳しい雇用情勢にあり、新産業創出
と雇用創出がリンクした展開が必要ではないかといった質問がありました。
これに対し執行部からは、ローテク技術であっても受け皿になるようにしていきたいこと。ナノテクノロジー技術の受け皿企業は何社かあるが、今回の開発プロジェクトは、ナノテクノロジーの技術を取り入れ優れた新素材を創ることであること。
まず、県内企業の底上げのための企業の体質強化、技術力強化が基本であるが、それだけでは限界があることから、国内外に通用する新たな技術を開発して県内企業に付与していかないと、本県産業が衰退することから新産業創出のプロジェクトに取り組んだこと。雇用の場を確保するためにも、このプロジェクトを進めていきたい。との答弁がありました。
また、委員から、健康食品産業創出プロジェクトにより、商工労働部と農林水産部及び民間企業と連携して取り組み早期の商品化と雇用の創出に繋げて欲しいとの要望がありました。
委員から、産官学の連携の効果的な推進を図るため、大学の教官を企業現場へ派遣し、企業経営者の声を汲み取ることにより、まず、大学の教官が現場実態・課題の把握をおこない問題解決することが必要との意見がありました。
次に、第一号議案「平成十六年度島根県一般会計予算」のうち商工費及び農林水産業費に計上されている県産品の販路拡大プロジェクトについてであります。
執行部から、この事業は、産品に対する評価が厳しい東京において支持・評価される「島根のブランド産品」をつくり、島根の認知度の向上と県産品の販路拡大を図ることを目指すこと。その戦略として、一つには、重点産品に対して集中的に支援すること。二つには、東急沿線を軸と
する地域を戦略エリアとし、集中的、重点的なPR活動をすること。三つには、にほんばし島根館を活用した販売促進活動をするとの説明がありました。
これに対し委員から、東急沿線を軸とする地域を戦略エリアとするとあるが、にほんばし島根館を拠点とし集中的に投資すべきであり、拠点が二カ所に分かれて取り組む必要がないとの意見がありました。
これに対し、執行部からは、東急沿線を重点地域としたのは、東急東横店で十二年にわたり物産展を開催していることから、周辺住民の認知度が高いこと。流行性・にぎわいなど宣伝効果が高いことなどから重点地域としたこと。県産品の販売はにほんばし島根館を中心に取り組むが、
重点五品目は、東急沿線エリア内の料理店を中心にPRしていきたいとの答弁がありました。
また、委員から、にほんばし島根館の運営について、島根らしさ、島根のにおいがするような展示をすること。常設展示ではなく、魚・米の日とかのイベントを行うこと。会員募集を積極的にすべきとの意見がありました。
にほんばし島根館が東京の拠点として、首都圏における島根県の情報発信機能の強化が図られることを期待するものであります。

続いて、所管事項の調査における執行部からの説明、委員からの質疑、意見、要望事項のうち主なものについて御報告いたします。
まず、国営中海土地改良事業の計画変更についてであります。
本庄工区の干陸と宍道湖・中海の淡水化をそれぞれ中止したことから、受益面積、主要工事計画及び事業費の変更が必要となり、土地改良法の規定に基づき、計画変更が行われるものであります。
この計画変更について、事業実施主体であります農林水産省の中四国農政局、宮元整備部長を参考人として招きその内容について説明を受けましたので、その概要をご報告いたします。
干拓事業については、既に揖屋・安来工区など四工区で農地が配分され営農が展開されており、一部で効用を発揮していることから、計画変更により干拓地への淡水化に替わる恒久的な農業用水確保のための施設整備と本庄工区に係る干拓施設等の処分を行うとのことであります。附帯農業用用排水事業については、淡水化が中止され、斐伊川左岸地区や八束地区等に農業用水の供給ができなくなったため、事業を廃止し、淡水化施設と附帯農業用用排水施設等の財産処分を行い、代替水源は別途、国営事業や国庫補助事業により確保するとのことでありました。
なおこの計画変更により、淡水化施設に係る費用も含め、今後干拓事業の見直しに要する費用は約百六十八億円、附帯農業用用排水事業の見直しに要する費用は約六十三億円、合計約二百三十一億円になるとのことであります。
次に計画変更に係る土地改良法手続のスケジュールについてでありますが、変更計画の概要及び廃止処理計画書に対する地域住民の方からの意見を聴取するため、農林水産省はその概要を平成十六年二月二十五日に公告し、翌二十六日から三月二十四日まで縦覧が行われております。今
後農林水産省は、四月以降に県知事と協議を行い、県知事は関係市町長との協議を経て国へ回答を行います。その後、附帯農業用用排水事業については、廃止処理計画書を五日間公告し、関係農家から三分の二以上の同意を徴集した後、土地改良法に規定する所定の手続きを経て、江島大橋の供用が開始される本年秋には農業用水確保工事や中浦水門等の撤去工事に着手する予定とのことであります。
これに対し、委員から、中浦水門の管理はいつまで必要か。造成した施設の撤去に要する費用の島根・鳥取両県負担割合はどうなるかといった質問がありました。
これに対し農政局からは、本年四月以降は建中管理として国が管理を行うこと。国と県の負担割合は国が九割、県が一割であるが、両県負担割合については、これから両県で決定してもらうことになるとの答弁がありました。

次に、地産・地消の取り組み状況についてであります。
執行部から、地元産品に対する理解と愛着心を育成するため、本年二月二十日学校給食に、しまね和牛を使用したメニューを提供し「おいしい島根の日」を実施したこと。参加した学校は、県内五十市町村の小中学校及び県立学校計三百三十七校で実施。実施率八十五パーセントであっ
たこと。その際学習教材として、しまね和牛に関する資料を配付したこと。
また、「しまね故郷料理店の認証」や地産地消を県民運動として広がりをもたせるため、毎月第三週の金、土、日曜日を「しまね・ふるさと食の日」として設定し、地元産農林水産物とその加工品の積極的な利用をすすめているとの報告がありました。
地産・地消の取り組みに対し、委員から、米について学校給食を中心に取り組んでいるが、米以外の野菜、魚にも更に取り組み、安全・安心な食材を子供達に提供するとともに、子供達の地元産品に対する学習を深かめていく必要があること。学校給食での取り組みを福祉施設や病院に
も広げて行く必要があるとの意見がありました。
また、委員の調査により、平成十四年度、県下四十二市町村、百四十四の保育所の給食で脱脂粉乳が使用され、年間約十五トンの購入量があることが明らかになりました。公立保育所の場合、給食は市町村が実施していることから、脱脂粉乳の使用を決めるのも市町村であります。東京都をはじめほとんどの政令指定都市においては牛乳に切り替わっているとのことであります。地産地消を推進する上で、子供達に安全・安心な食材を提供するためにも島根の牛乳を、保育所の給食に導入するよう市町村にはたらきかけていただくよう要望するものであります。
次に、新農業・農村活性化プランの見直しについてであります。
執行部から、現在のプランは、平成十二年三月に策定され、平成二十二年を目標年とする農業産出額一千億円を目指すものであること。平成十六年度末時点で状況に応じて見直すこととなっていること。農業・農村を取り巻く状況の変化や国政・本県農業、農村の動向等を踏まえて、中
間評価を平成一四年度におこなっているとの報告がありました。
委員からは、農業・農村の現況を踏まえ農業産出額を下方修正すべきとの意見がありました。
次に、農業改良普及組織の再編成についてであります。
執行部から、平成十七年四月から現在の農業改良普及組織を一カ所の「高度技術農業支援センター」と七カ所の「地域農業支援センター」に再編する方向で検討を進めていること。高度技術農業支援センターは出雲市の農業試験場内に置き、スペシャリストを配置すること。農業普及部
を農林振興センター内に置き、アドバイザーを配置すること。現行の安来、大田地域農業普及部については、農業産出額が大きいことや農業者が多いことなどから支所として存続設置すること。
仁多、掛合、津和野地域農業普及部は、農業産出額が少ないこと、農業者が少ないことなどから統合するとの報告がありました。
委員からは、普及員の名称をスペシャリスト、アドバイザーとしているが、農業者にとってわかりやすい名称にすべきとの意見がありました。
次に、高病原性鳥インフルエンザに係る防疫対応の強化についてであります。
執行部から、アジア地域での継続的な発生や、国内では山口県、京都府などにおける発生、金城町での検査対応事例などの状況を踏まえ、採卵鶏・ブロイラー経営体等に対して、今後三ヶ月間、モニタリング調査や立ち入り検査をおこなうなど、今後の防疫対応を一層強化するとの報告
がありました。
なお、当委員会としては、養鶏農家等の経営安定、国民の健康や消費生活への不安を払拭する必要があることから「高病原性鳥インフルエンザ対策を求める意見書」及び国民に対し、食の安全、安心や安定的な食料の確保する必要があることから「牛海綿状脳症(BSE)対策に関する
意見書」を提出することを決定いたしました。

以上、農水商工委員会における審査の概要等を申し述べ、委員長報告といたします。

 

 



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