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財政健全化調査特別委員長報告

 

財政健全化調査特別委員長報告(中間報告平成15年11月定例会


財政健全化調査特別委員会の調査結果について中間報告を申し上げます。

本県財政が危機的状況にある中で、議会に対しては、一層の監視機能強化と民意を反映した政策提言が求められております。
これまでの議会の審査や提言に向けた調査は、執行部を縦割りで所管する各常任委員会を主体として実施してきましたが、財政健全化等の横断的かつ重要な課題を解決していくためには、新たな体制の構築が必要となっております。
本委員会は、このような状況を踏まえ、県財政の健全化を図るため、議長を除く全議員が参加し、財政運営、総合計画等の県政上極めて重要な案件について、横断的かつ中長期的視点に立ち審査及び調査を行うこととし、平成15年6月第395回定例会において設置されたものであります。
委員会では、国が進める三位一体の改革、本県財政の状況と財政健全化に向けた取り組み、平成16年度予算編成方針、平成16年度に策定される総合計画等について6回にわたる審議を行い、また、8月には和歌山県の財政健全化に関する取り組み状況の調査を行ってまいりました。
このたび、財政健全化集中改革期間の取り組み並びに平成16年度予算編成に関する調査結果をとりまとめましたので、次の四点を御報告申し上げます。
なお、総合計画については、現在、調査を進めているところであり、来る2月定例会において報告を、また、財政運営については引き続き調査を行うこととしており、今後、適宜報告を行います。

報告の一点目は、具体的な歳出削減計画による収支均衡に向けた取り組みについてであります。
本県財政は、新たな財政需要を加味せず、また、職員の給料カットや定数削減、公共事業費の削減など財政健全化指針による取り組みを行ってもなお、集中改革期間後において構造的に150億円程度の収支不足が継続し、平成19年度には基金が枯渇するという深刻な状況にあります。
9月25日開催の委員会において、執行部から、この構造的な収支不足を圧縮し、収支均衡を図ることが安定した財政運営のためには必要であるが、まずは、平成18年度までの3年間で収支不足を100億円程度改善するという具体的な計画が示されました。
3年間の削減額は、初年度の平成16年度が50億円、平成17年度は更に30億円、最終年度である平成18年度は更に20億円となっています。
しかし、国庫補助金や地方交付税等の依存財源の減少が見込まれること、基金の取り崩しにより財源不足を補っていることや県税等の自主財源に乏しい本県の状況を踏まえれば、本県の歳出規模を相当程度縮小していくべきであり、初年度から計画を上回る削減が必要であると考えます。
このような取り組みを行うことで、早期に収支均衡を図るよう求めるものであります
歳入の増に多くを期待できない以上、徹底した歳出削減は、財政健全化を推進するためには避けられない措置でありますが、これまで実施してきた事業の見直しを伴うため県民に痛みをもたらすこととなります。
歳出削減に当たっては、福祉、教育等の県民の生活に直結する分野については、一律的な削減ではなく、できる限りの配慮を期待するものであります。
また、遅れている社会資本の整備についても、住民の要望は依然強いものがあり、財政健全化に支障を来さない範囲で相応の整備を進める必要があると考えます。
一方、歳入の確保については、他県の状況も視野に入れた核燃料税の更新や「産業廃棄物に関する税」の導入など課税自主権の活用、未利用財産の売却促進及び社会経済情勢の変化を踏まえた税金や財産貸付の減免見直しなど受益者負担の適正化に取り組む必要があります。
今後、県民の理解を得るためにも積極的に情報提供などを行いながら、推進に努められるよう要望するものです。

二点目は、職員の意識変革についてであります。
県政運営に対する県民の視線は、私どもの認識をはるかに越える厳しいも
のがあります。
財政健全化には、県民の理解と協力が不可欠となりますが、これを得るため、各々の職員がコスト意識を持ちながら、人件費総額、事務的経費や施設の維持管理費など行政サービス提供のための基礎的コストの削減と効率的な
事業の執行に努められるよう求めるものであります。
この達成に向け、各職場で財政状況に関する議論の場を設け、危機意識の共有化を図り、財政健全化に対する認識を深めるよう要望するものです。
また、平成16年度の予算編成から、地方機関の多様な発想により地域課題に取り組む施策を「地域予算枠」とする新たな手法を取り入れたところであり、今後も、職員の現場主義に基づく多様な発想を取り入れた施策の構築、展開を図るよう期待するものです。

三点目は、財政運営に関する情報提供についてであります。
財政運営に関する情報提供については、これまでも、タイムリーな提供、各年度の予算要求概要や財政健全化指針に定められた目標の達成状況の公表などを求めてきたところでありますが、議会、県民に対し、引き続き積極的な提供を行うよう求めるものであります。
併せて、提供に当たっては、より多くの県民に情報が伝わるよう多様な情報媒体を活用するとともに、内容についても県民の理解が一層深まるよう配慮されるよう要望するものです。

四点目は、平成16年度予算編成についてであります。
平成16年度予算編成は、全庁的な視点に立って実施すべき施策の選択と集中、各部局における事業の取捨選択と優先順位付けの徹底を図ることとされ、この考え方に基づき、先般、知事から本県の自立を支える「産業の振興」と社会経済全般に大きな影響を与えかねない「少子化」への対策に効果をもたらす三つの重点化施策が示されたところであります。
いずれも県政の最重要課題であり、知事をはじめ関係職員の創意工夫により事業が効果的に展開されるよう求めるものであります。
なお、委員会の調査に際して、各委員から県事業に関する様々な意見が示
されたところですが、執行部におかれては、今後、これらの意見を考慮しながら予算編成に当たられるよう要望するものです。

財政健全化は、本県が将来にわたり持続的に発展していくための取り組みであり、何としても達成しなければならない課題でありますが、県民が、財政健全化による痛みを乗り越えながら将来の島根を築いていくためにも、知事におかれては、目指すべき島根の将来像を具体的に提示し、その実現に力強いリーダーシップを発揮されるよう期待をするものであります。
また、全ての県職員にあっては、危機的な状況にある財政への理解を高め、それぞれの立場において従来の慣例にとらわれることなく「この危機的状況に自分が何ができるか」を常に考え、職務を改革していくことを強く望むものです。
県民の皆様には、負担をおかけすることとなりますが、議会としても、財政危機に陥ったことの責任を重く受け止め、今後もこの委員会を中心として財政健全化に取り組んでいくこととしており、ご理解とご協力をお願いし、財政健全化集中改革期間の取り組み並びに平成16年度予算編成に関する報告といたします。

 

 



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