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地方分権・行政改革調査特別委員長報告

 

地方分権・行政改革調査特別委員長報告(中間報告平成15年11月定例会

 

 地方分権・行政改革調査特別委員会の調査について、中間報告を申し上げます。
本委員会は、地方分権及び行政改革の推進に関する調査、市町村合併の支援に関する調査、市町村合併に伴う県議会議員の選挙区及び選挙区定数のあり方に関する調査等を行うこととして、平成15年6月定例会において設置されたところであります。
今日まで、6回にわたり、先に述べた付託案件に関する調査を行ってまいりましが、そのうち、地方分権と行政改革の推進について、委員会としての調査結果をまとめましたので、御報告いたします。

まず、地方分権についてであります。
平成12年4月のいわゆる地方分権一括法の施行により、分権型社会システムの構築、地方自治体の自己決定権の確立といった理念は定着したとはいえ、それを具体的に規定するシステムは未だ確立していない状況にあります。
真の地方分権社会にするためには、まだまだ克服しなければならないハードルがあり、地方分権改革は途半ばであります。
国においては、現在、地方行政への国の関与と国への依存を減らし、地方自治体を自立させるためのいわゆる「三位一体の改革」についてその道筋が示されたところでありますが、県においては、地方の実情に即した真の分権型社会システム実現のための改革がなされるよう、今後とも強く国に求めていくことが必要であります。県議会といたしましても、分権型社会実現のため、必要に応じ積極的に関係諸官庁への働きかけを行っていくことといたします。

続きまして、地方分権に関する2つの項目について、申し述べます。
第一点目は、市町村への権限移譲についてであります。
県においては、住民の利便性向上、市町村における総合的行政の展開などを図るため、去る9月市町村への権限移譲計画を策定し、県の事務のうち4分野62項目の事務を希望する市町村へ移譲することとなったところであります。
基礎自治体として地域の実情を把握しやすい市町村において住民に身近な事務を処理することは、住民の利便性向上に大きく貢献するものであると同時に、土地利用や農地利用等に関する事務の移譲により地域の特色を生かした自主的・主体的なまちづくりの推進が図られるなど、大変意義があると考えます。
権限の移譲と財源の移譲は一体不可分のものであります。本委員会では、平成8年度以降既に移譲された35項目に関して市町村への財源措置状況を調査いたしましたが、それぞれの事務に応じた対応がなされているものと認めました。
市町村においては、合併にかかる調整に多くの時間を要することから、県からの権限移譲を盛り込んだ地域のあるべき姿の検討が十分に行える状況にはないように思われますが、自主的・主体的な地域づくりを進めるためにも、権限受入の検討をできる限り早く行われるよう期待するものであります。
県においては、住民主体の地域づくりと市町村の行政基盤強化のためのさらなる権限移譲について、継続的に検討を行うことを求めます。
第二点目は、第27次地方制度調査会の最終答申についてであります。
去る11月13日、第27次地方制度調査会は「今後の地方自治制度のあり方」についての最終答申をとりまとめられ、内閣総理大臣に提出されたところであります。
この内容について、本委員会としての所見を申し述べます。
この答申では、現行の合併特例法失効後の合併推進手法として、新法を制定して一定期間さらに自主的な合併を促すとされ、人口1万人未満の自治体に対して、県が市町村合併に関する構想を策定する仕組みが提案されております。
また、さらに知事はその構想に基づき、合併協議会の設置や合併に関する勧告、合併に取り組む市町村間のさまざまな合意形成に関するあっせん等により、自主的な合併を進めることとすべきとされております。
ここで問題となるのは、小規模な市町村を人口1万人未満を目安とするという点、さらには、自主的合併を促すといいながら県知事に勧告、あっせんする機能を持たせている点であります。
この人口要件に関して、答申の中では、地理的条件や人口密度、経済事情の他、現行合併特例法下での合併経緯を考慮することが必要としていますが、合併を強制する手法となるおそれがあり、1万人を合併の目標人口的に新法に明示することは回避されなければならないものであります。
また、勧告、あっせんといった制度を取り入れることについては、強制力はないとはいっても、市町村の自主性がどこまで担保されるのかという疑問が残るのでありますし、県知事が合併協議会設置を勧告した場合、一定の場合に市町村長が議会へ付議するかあるいは住民投票制度を設けることについても、自主的合併を推進する上から、慎重な対応が必要と考えます。
県内の市町村でも、合併せずに引き続き行政運営を行おうとする自治体がありますが、その地域の将来について住民を含めた幅広い議論を経ての決定であれば、その判断は尊重されるべきであります。
今後、この答申を受けて国で新法の制定に向けた検討が始まることになりますが、あくまでも市町村の自主的な判断を最優先する仕組みとなることが必要と考えます。
なお、都道府県合併、道州制といった都道府県のあり方論については、本答申では一定の方向を示唆しつつも、今後の検討課題とされているところであります。
現在、県においては、都道府県の役割・機能などを含めた今後の地方自治制度のあり方について検討がなされていますが、市町村合併後において県に求められる広域自治体としての役割及び機能について、県民に明らかにされるように求めます。

 

次に、行政改革についてであります。
地方分権時代にふさわしい新たな行財政システムの構築を目的とした新行政システム推進計画が策定されて、早1年が経過いたしました。創造と信頼の県政運営を目指して8つの改革・23の推進事項が掲げられ、平成18年度までを重点取組期間として推進されております。
当委員会においては、簡素で効率的な行財政運営の確立を目指すための職員定員の削減について調査いたしました。本年度から10年間で県職員のうち、教育職、公安職及び公営企業部門を除いたいわゆる一般行政職において500人を削減するという計画に対して、初年度で66人の減員を行ったとの報告がありました。
この10年500人削減という計画は、悠々閑々たる計画と言わざるを得ません。組織のスリム化、外部委託の推進などの事務事業の見直しによる早期達成を強く要請するとともに、この目標数値の年次別及び分野別・部局別の具体化を求めます。
この職員定数削減の他、市町村合併の枠組みがほぼ固まってきた中で、地方機関再編及び職員配置見直しの検討を行い、具体化することが必要であります。
土木建築事務所の7事務所化については、今定例会で所要の条例改正案が上程され、これまでの県の取組に一定の評価をするものでありますが、さらに、新行政システム推進計画にも盛り込まれている単独設置の地方機関の内部組織見直し等について、業務体制の見直しにより所要の措置を採られることを求めます。

続きまして、行政改革に関する2つの項目について、申し述べます。
第一点目は、外郭団体の見直しについてであります。
昨年の行財政改革調査特別委員会では、外郭団体のあり方について、また県の人的及び財政的関与のあり方、指導監督・監査体制の強化など県と外郭団体のあり方のほか、団体に対する個別意見が報告されました。これを受けて県では本年度全庁的な見直しがなされており、本委員会としてもその動向を注視しているところであります。
本委員会では、今般の外郭団体見直しの基本的考え方、具体的な見直し内容等について調査するとともに、先般、行財政改革調査特別委員会で個別意見が付された7団体について、個別にその見直しの状況及び考え方を聴取いたしましたが、未だ見直しの方向性が定まっていない団体も見受けられたところであります。
県では、来年2月に各団体の見直し内容を確定させるとともに、予算を伴う事案は来年度予算に反映させるとのことでありますので、本委員会としての意見表明は見直し結果の報告を受けた後に行うことといたしますが、行財政改革調査特別委員会の報告に沿った見直し結果の報告がなされることを期待しております。
第二点目は、職員に対する諸手当の支給についてであります。
まず、特殊勤務手当についてであります。このことについても、行財政改革調査特別委員会の報告で言及されているところですが、県民から見て支給の妥当性が疑問視される手当が少なくありません。
特殊勤務手当は、著しく危険、不快、不健康または困難な勤務その他著しく特殊な勤務で、給与上特別の配慮を必要とし、かつその特殊性を給料で考慮することが適当でないと認められるものに従事する職員に対して支給されるものであります。
現在、見直しがなされていますが、県民の目線に立った見直しを行い、平成16年度当初での所要の措置を講じられるべく、関係条例を初めとする諸規程の改正を求めます。
次に、時間外勤務手当についてであります。
本委員会で調査したところ、平成14年度の時間外勤務手当及び休日勤務手当の支給額は合計で約33億2千9百万円、対前年比10.5%減となっており、縮減の成果は評価するところでありますが、依然として高水準にあるといえます。
長時間の時間外勤務は、職員の健康保持に影響を与えるのみならず、家庭生活の充実や地域社会活動への参画を阻害するものであります。
管理職員は業務執行体制を不断に見直し、職員の勤務状況を常に把握し、適切に時間外勤務命令を発するとともに、組織をあげて縮減に取り組まれることを求めます。


県では財政健全化指針を策定し、本年度から17年度までを集中改革期間として財政健全化に向けた取組を展開されていますが、それは同時に県民に痛みを強いるものとなっております。
県においても、外部委託による組織のスリム化や先に述べた諸手当の縮減など、県民とともにその痛みを分かち合う取組が必要であります。
これまでの価値観や行政手法を改め、地方分権時代にふさわしい行政システムのの構築に向けて、新行政システム推進計画が実施に移されていますが、その進度は全般的にスピード不足の感が否めないところであります。
本計画を推進していく庁内の体制を強化するとともに、知事の強力なリーダーシップの発揮と職員の意識改革の促進により、県自らも改革する姿勢を鮮明にし、かつ成果を速やかに出すことによって、県政運営に対する県民の信頼、理解を得ていくことが急務であるということを申し上げまして、本委員会の中間報告といたします。

 



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