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総務委員長報告

 

総務委員長報平成15年11月定例会


総務委員長報告をいたします。

総務委員会に付託されました議案の審査経過並びに結果について、ご報告申し上げます。
今定例会において本委員会に付託されました議案は、条例案4件、一般事件案3件、議員提出議案2件であります。

これらの議案について、執行部に説明を求め、慎重に審査いたしました結果、条例案4件及び一般事件案1件の計5件の議案については、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定をいたしました。また、一般事件案2件、議員提出議案1件の計三件の議案については、採決の結果賛成多数により原案のとおり可決すべきものと決定をいたしました。
残る議員提出議案1件については、継続して審査を行うべきものとの審査結果でありました。

全会一致とならなかった議案3件と継続審査すべきものとの審査結果になりました議員提出議案1件について、それぞれ審査の経過を簡単に申し述べます。

まず、一般事件案の議案第151号議案及び第152号議案の2件の議案についてであります。
この2件の議案は、大社町に建設される「歴史民俗博物館(仮称)」の建築工事及び設備工事の契約締結案件であります。
委員からは「事業費の実施段階での見直し」についての質問があり、執行部からは、「建設工事費については、地盤や内外装の仕上げなどについて見直しを行った結果、現時点で約4億円の工事費削減を図った。」との説明がありました。
また、別の委員から「建設することについて、県民の理解が得られていないのではないか、作ること自体の否定はしないが、県財政が逼迫しているこの時期に作るべきではなく、延期すべきである。」などの意見があったことから、採決を行った結果賛成多数により、「原案の通り可決すべきもの」との審査結果でありました。

次に、議員提出第16号議案についてであります。
この議案は、「JR伯備線へのフリーゲージトレイン早期導入等による高速化に関する意見書案」であります。
委員の一人から「費用対効果の面や経費負担等の見通しもよく分からない段階では、導入を働きかける訳にはいかない。」との反対意見があったことから、採決をした結果、賛成多数により「原案の通り可決すべきもの」との審査結果でありました。

次に、議員提出第17号議案「イラク特措法に基づくイラクへの自衛隊派遣に反対する意見書案」についてであります。
委員から「イラクへの派遣は慎重にという世論の声もあり、気持ちは分かるが、現在、国において検討されている状況を見守るべきではないか。」との意見があり、これに対して、意見書案を提出した委員からは、「特措法は、自衛隊を安全地帯に派遣するのが前提であり、今のイラクには安全地帯はなく派遣する根拠がない。」との意見や「国会において十分議論されるよう意見書を出すべきである。」などの意見がありました。
これに対して、「日本の外交・防衛は我が国の基本であることなどを考えると、現在、国政の場で慎重に議論されていることもあり、国会議員に比べて情報が少ない地方議会において、先んじて意思決定することははいかがなものか。」などの慎重に対応すべきとの意見が大勢を占めたことから、この意見書案については、継続して審査すべきか否かを採決した結果、賛成多数により「継続して審査すべきもの」との審査結果でありました。

次に請願の審査について申し上げます。
まず、新規に付託されました請願第24号「ゆきとどいた教育をすすめるための請願」の中の、請願項目8番目の「私立高校に対し、生徒急減期に教育条件の向上と父母負担の公私格差是正のための補助の拡充」を求める項目については、県の財政が厳しい中で、補助の増額は困難ではありますが、引き続き支援の必要があることから、さらに継続して審査することに決定いたしました。
また、請願第26号「『児童の権利条約』の趣旨にそって、父母負担の公私間格差是正など私学助成政策の抜本的拡充を求める請願」は、請願項目の1点目は「授業料の一律助成の新設」、2点目は「教職員増員のための助成」、3点目は「30人以下学級実施のための助成拡充」、4点目は「標準教育費二分の一補助の早期実現」、5点目は「私立中学校への助成拡充」、6点目は「家計急変生徒への就学保証制度の拡充」であります。
請願項目の1点目ついては、県財政を考えると一律助成の新設は困難であると認められることから、不採択と決定いたしました。他の5項目については、補助の増額や拡充は困難でありますが、引き続き支援の必要があることから、さらに継続して審査することに決定いたしました。
また、継続審査中の請願第19号「自衛隊のイラク派兵に反対する意見書を国に提出する件」については、採決の結果、引き続き継続して審査することに決定いたしました。

 

続いて、所管事項の調査における主な質疑、意見、要望等についてご報告します。
まず、「島根県地域環境税制懇話会の設置」についてであります。
執行部から、「10月に産業廃棄物対策のための法定外目的税導入の必要性、仕組み等について検討するために、懇話会を設置したこと。これまで2回の懇話会が開催され、現地調査などを行ったこと。また、来年3月には知事に対して報告書が提出される。」との報告がありました。
本県における初めての法定外目的税ということから、委員からは「税の目的や使途などについて、事業課との十分な連携のうえに、県民の理解が得られるように推進されたい。」との意見がありました。

次に、一畑電車及び沿線公共交通確保のあり方に関する検討委員会から、この度、一畑電車沿線地域対策協議会に対して報告された「一畑電車の将来のあり方についての提言」についてであります。
執行部から、「一畑電鉄は企業経営的視点で見た場合には、大変厳しい状況にある。しかしながら、鉄道は事業収支だけでは測ることのできない環境や道路混雑の緩和などの社会的便益をもたらしている。今回、その便益を数値化した結果、その数値が鉄道を存続していくために必要な費用を上回ることから、一畑電車は地域の社会基盤として、存続していくべきである。その方向性として『インフラの所有権を移転しない上下分離方式』が最も実効性が高いと考えられる。ただし、負担と便益の関係を今後も定期的に検証することも必要であるとしている。」とした提言の骨子についての説明がありました。
委員からは、「一畑電車が地域社会にもたらしている社会的便益を数値化して、検討されている点については評価する。」との意見や「社会的便益に対してどこまで税金を投入するかが今後の大きな課題である。」との意見、また、「大社線については更なる検討をお願いしたい。」などの意見が出されました。
一畑電車のあり方については、今回の提言を基に「一畑電車沿線地域対策協議会」において検討されるわけですが、当委員会としてもその議論を注視して行きたいと考えております。

次に、本庄工区の干拓堤防の取り扱いについてであります。
執行部から、11月19日に開催された第5回「中海に関する協議会」の状況について報告がありました。
その内容は、当日の会議では中国四国農政局から、施設を撤去する一環として本庄排水機場の排水樋管の存置と西部承水路堤防の両端を開削する、いわゆる「潮通し」案が初めて示されたこと。そして、この案について、「本県としては、干拓堤防の取り扱いについては国として責任ある対応を強く求めていたことや、開削を求める意見など地元に様々な意見があることなどに対して、農林水産省が十分配慮し、事後処理として実施可能な案として示されたものと受け止めている。」との説明がありました。
また、この案と西部承水路堤防を開削しない場合、「潮通し」案に加え森山、大海崎両堤防を湖底まで200メートル開削する場合、の三つのケースを想定し、それぞれに水質、水位等の変化について詳細な説明があったが、水質シミュレーションの結果を巡って、示された水質変化等の値の解釈や農政局の見解に対する評価などについて、関係者間の評価、解釈の隔たりが大きく、議論は平行線となり、この「潮通し」案をその場で合意することは困難なことから、この問題については、中国地方整備局を交え、関係の四者で小グループを設けて別途検討することになったこと。
そして、「この小グループの議論を通じて、科学的に裏打ちされた共通理解がどこまででき、どの点ができないかを整理し、「中海に関する協議会」の場などにおいて、解決の糸口が求められるよう努力する。」との報告がありました。

委員からは、「中浦水道の地形改変が貧酸素水塊を発生させており、水門を利用した水質改善の方法についての学説もあるが、中浦水門全面撤去の方針は変わらないのか。」との質問があり、これに対して、執行部からは「中浦水門の全面撤去については、島根・鳥取両県と農水省との間で確認された事項であり、水門を利用した水質改善は議論としてはあり得るが、費用の面からして現実性がない。」との回答がありました。
これに対して、委員からは「堤防の開削に関する」質問や「地形改変の問題も小委員会に出すべきであり、中海が今の状態になった真の原因を、地形を元に戻さないまでも、この際明らかにすべきではないか。」などの意見がありました。
こうした意見に対して執行部からは、「開削だけで水質が良くなるとの科学的優位性は見あたらない。科学的裏打ちがないまま多額の費用を使うことはできない。また、地形改変の修復には約800億円かかるとの試算もあり、現実性がない。現実にできることは何であるかを見つけ出すため、努力している。」との答弁がありました。
これらの質疑を踏まえながら、「宍道湖・大橋川・中海地域は水質が回復すれば漁業を中心に、地域振興を図る上で相当ポテンシャルをもった、魅力のある地域である。その視点から、この地域をどうするかの議論や、基本的な考え方を決めることが県に求められているのではないか。」との意見や「なかなか進展しなかったが、農水省から案が出されたことは評価する。開削については、開削によるマイナス面も考えられることから、この点も良く検討すべきである。」との意見、さらに「中海の沿岸住民の意見は「潮通し」案でよいということではなく、開削の必要性について、もっと科学的な議論や地形改変の議論も提起すべきである。」などの様々な意見が出され、活発な議論が展開されました。

干拓堤防の取扱いについては、今後、関係の四者で構成する小グループ等において検討、議論される訳ですが、県におかれては、漁業振興や地域振興の観点も念頭に置いた取り組みをお願いするとともに、当委員会としても引き続き精力的に調査を行ってまいりたいと考えております。

最後に、2日目の委員会が終わった日の午後、委員全員で「島根原子力発電所」の警備体制を調査いたしました。
一昨年、アメリカでの同時多発テロ以降、世界情勢は緊迫し、我が国の重要施設に対する警備体制が強化されたところであります。今回は、その警備体制等を実地に調査いたしました。
当日は、厳重な警戒警備がなされており、また、隊員のきびきびとした行動や、緊張感あふれる姿を拝見し大変頼もしく心強く感じたところであります。
県民の安全を確保するために、昼夜警備を続けておられる関係者の皆様に心から感謝申し上げたいと思います。

以上、総務委員会における審査の概要等を申し述べ、委員長報告を終わります。
 



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