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農水商工委員長報告

 

農水商工委員長報平成15年11月定例会


農水商工委員長報告をいたします。

農水商工委員会に付託されました、議案の審査経過並びに結果について、御報告いたします。

今定例会において、農水商工委員会に付託されました議案は、予算案1件、条例案2件であります。
これらの議案について、執行部に説明を求め、慎重に審査いたしました結果、条例案1件を除いては、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。

全会一致とならなかった議案、第146号議案「島根県花振興センター条例」の審査経過並びに審査結果について、ご報告いたします。
この条例案は、島根県花振興センターに、花の展示、情報の提供、一般の方々が花きに親しむ機会を提供するための施設として、平成12年度から整備されていた花ふれあい公園が、来年3月に竣工することになり、島根県花振興センター条例の全部を改正するものであります。
条例案の主な概要は、「公の施設の管理に関する地方自治法」の規定が改正されたことにより、花ふれあい公園及び同公園の附帯施設の管理を、法人その他の団体であって知事が指定する者(指定管理者)に行わせること。指定管理者の指定の手続き、管理の基準、業務の範囲を定めるものであります。
執行部から、指定管理者の指定にあたっては公募を行い、公園等の管理を行わせるのに最も適した候補者を選定し、2月定例会の議決を経て指定管理者を指定することなどの説明がありました。
これに対し、委員からは、「県施設の運営を民間に代行させては、県としての責任が果たせないのでは。例えば、指定管理者が不公正な運営をした場合や倒産の事態が起きた場合、秘密保持義務が履行されなかった時の対応はどうするのか」や「指定管理者は具体的にどのような者を想定しているのか」「年間委託経費はどのくらいなのか」といった質問がありました。
これに対し、執行部からは、「条例施行規則及び指定管理者と交わす協定書のなかで細かく規定して対処していきたい。」「指定管理者には、造園業者あるいはNPO法人等が想定できること。」「年間委託経費は、概ね9,000万円までで積算している。」との答弁がありました。
以上の議論を経て、最終的には挙手による採決を行ったところ、賛成多数により、第146号議案については、原案のとおり可決すべきとの審査結果でありました。
 
次に、請願の審査について申し上げます。
新規に付託されました、請願第23号についてであります。請願の内容は、1つ目は「島根県農業試験場で開発中の遺伝子組み換えメロンの野外実験を中止すること」、2つ目は「島根県の遺伝子組み換え作物の開発を中止すること」、3つ目は「遺伝子組み換え作物ではなく、有機栽培をめざす栽培技術を開発すること」を求めるものであります。
この請願の審査経過並びに審査結果についてご報告いたします。
執行部から、農業試験場におけるメロンに関する遺伝子組み換え試験についての野外試験は当面中止し、実施しない方針であること。なお、現在、閉鎖系温室で研究しており、今後、平成16、17年度で、空気対流はあるが水や花粉などが施設の外に出ない非閉鎖系温室段階までの研究を予定していること。
遺伝子組み換え試験の取り扱いについて、現在、島根県農林水産技術会議において検討中であること。
有機栽培技術の開発については今後とも積極的に取り組むこと、などの説明がありました。
これに対し、委員から、「遺伝子組み換え試験の目的はなにか」「在来の品種と受粉すれば、種の保存の問題や自然破壊に繋がることから、遺伝子組み換え技術に手を染めるべきではない」「遺伝子組み換えの技術開発はこれからも進めていくのか」などの意見や質問がありました。
これに対し執行部からは、「現在、県が行っている遺伝子組み換え試験は、メロンとボタンについて行っていること。」
その目的は、「メロンについては壊疽斑点病対策の一環として取り組み、平成
16、17年度で、非閉鎖系温室での種子の段階までの研究を予定していること。ボタンについては、商品価値を高める要素である色や形について、新たな効果を狙って取り組んでいること。」
「今後の遺伝子組み換え試験・研究の取り扱いについては、研究を進めるか否かも含めて島根県農林水産技術会議で検討していきたい。」との答弁がありました。また、委員から「遺伝子組み換え試験・研究を検証する必要があることから、研究を進めるか否かとの意思決定の際は、見えるところで決定される仕組みを作って欲しい」との意見もありました。
これに対し、執行部からは「最終的に県として、遺伝子組み換えの試験・研究を進めるか否かも含め検討し、意思決定の際はこの委員会に報告する。」との答弁がありました。
このように、活発な議論が展開されましたが、最終的には、意見が分かれたため挙手による採決をおこない、1つ目は、全会一致で趣旨採択。2つ目、3つ目は、賛成多数により、いずれも継続して審査を行うことにいたしました。

次に、所管事項の調査の過程での執行部からの説明、委員からの質疑、意見、要望事項のうち主なものについてご報告をいたします。

 

 

まず、商工労働部に関する事項であります。
当面の雇用対策及び建設産業対策の方針についてであります。
完全失業率が引き続き高水準で推移するなど厳しい雇用失業情勢が続いております。また、公共事業の大幅縮減は建設業界に及ぼす影響は大きいものがあります。これらに対応するため、執行部から、昨年度策定した「当年の雇用対策及び建設産業対策の方針」に一部必要な改訂を行い、引き続き全庁をあげて取り組む旨、報告がありました。
まず、短期的な雇用創出対策として、公的部門で緊急かつ臨時的な雇用・就業機会の創出を図るため緊急地域雇用創出基金事業を活用し積極的に取り組むこと。職業相談を通じて労働移動を円滑に進めること。あるいは、新規高等学校卒業予定者等への就職相談などを行っていくこと。新たに、若年未就職者のための産業体験事業の実施や若年者就業支援センター(仮称)を設けて、就職相談、情報提供などを総合的に行う場所の設置を検討していること。
また、継続的な雇用の場を確保するため、産業の活性化と新産業の創出といった産業振興に強力に取り組むこと。
公共事業の大幅縮減に伴う建設産業への対策として、経営改善アドバイザー派遣事業の実施、あるいは建設産業の経営相談に対応するための経営支援マニュアルを策定したこと。引き続き経営基盤の強化、経営合理化、新分野への進出を支援していくことなどの説明がありました。
これに対し委員から、「未就職者の要望・ニーズを踏まえた上で対策を講じる必要がある」「高校生の就職内定率が低いなかで3年生から職業訓練を取り入れたカリキュラムが必要である」との意見がありました。
また、委員から「関係部局と連携を図り全庁的に雇用問題に取り組むことが必要ではないか」とか「高等技術校の美容科の応募が多いことなどから定員の見直しも必要ではないか」との質問がありました。
これに対し、執行部からは、「関係部局と日頃から連絡を密に取り組んでいる。厳しい雇用状況が続いているので、今後も、関係部局と充分連携を図り雇用対策に取り組んでいきたい。」「高等技術校の応募者のニーズに沿った定員であることが必要であり柔軟に対応していきたいこと。例えば自動車整備科については定員を増やして対応した。」との答弁がありました。

次に、農林水産部に関する事項のうち、今後の農業改良普及事業のあり方に関する中間報告についてご報告いたします。
執行部から、本年6月、島根県普及事業検討会議を設置して、今後の農業改良普及事業のあり方について検討し、この度中間報告がなされた旨、報告がありました。
農業改良普及事業を巡る情勢について、国においては、行財政改革の流れや、地方分権推進会議において、農業改良普及制度の見直しの提言が行われるなどの中で、「農業改良助長法」の改正が予定されていること。
また、農業改良普及事業の財源は、国からの交付金として県に交付されていますが、普及組織のスリム化に沿って、この交付金を計画的に相当程度縮減する方向が打ち出されていること。
一方、本県においては、新行政システム推進計画のなかで、職員の定員削減や、地域普及部の本所への統合又は縮小が示されていること。
このように組織のスリム化が図られる中、今後の農業改良普及事業については、普及活動対象の重点化を進める必要があり、改良普及員について、高度、先進的な専門化した技術を指導する機能を持った、いわゆるスペシャリストと地域農業のコーデイネート機能を持った、いわゆるアドバイザーを配置すること。
農業者のニーズの多様化及び高度化に対応するため、普及職員の資質の向上などを行う必要があることなどの説明がありました。
また、林業普及指導事業、水産業改良普及事業についても、農業改良普及事業に準じた見直しを行うとのことでありました。
これに対して委員からは、「農業改良普及員はこれから何名削減され、その配置はどうなるのか。普及制度が大きく変化する中で、普及職員の意識改革が必要である」との意見がありました。
これに対して、執行部からは、「今後、本県の実態を踏まえ、改良普及事業がどうあるべきかを肉づけし、17年度からの実施に向けて検討を進めていきたい」との答弁がありました。

次に、しまねブランド推進室に関する事項のうち、東京拠点施設、にほんばし島根館についてであります。
にほんばし島根館が、去る11月21日、日本橋三越前にオープンし、その状況について執行部から報告がありました。
5日間のオープニングの状況については、入館者数1万3千人余り、売り上げは、物販部門については、約596万円で1日平均119万円、飲食部門については、約168万円で1日平均33万5千円であること。
オープニング後6日目以降の12日間の売り上げは、物販部門で1日平均57万円の計画に対して72万円、飲食部門では、1日平均15万円の計画に対して23万円弱であること。
今後とも、専門家を招き職員の接遇研修、個別指導を取り入れ、年末・年始にかけ販売活動の強化を図っていきたいとの説明がありました。
これに対し委員からは、「オープニング直後の売上げは順調であるが、今後の見通しはどうか」とか「地元生産地から出向き、店先での試食販売に取り組んでほしい」との質問がありました。
これに対し執行部からは、「オープニング効果が続いているが、今後は業者による直接販売やマーケットリサーチ、イベント、試食販売など、積極的に集客を高める取り組みを図っていきたい」との答弁がありました。
今後とも、県内の特産品生産者と県物産協会が、よりきめ細かな連携を図り商品開発を行い販売力強化に努めるとともに、首都圏における島根の情報発信の拠点施設となることを期待するものであります。

また、委員から、産業振興における産・学・官の連携について、「しまねブランド推進室の商品開発の取り組みなど工業以外の分野の連携が弱いこと。特に、水産の分野における学との連携の強化を図り、地域産業の創出に努める必要があるのではないか」との質問がありました。
これに対して執行部からは、「産学官連携を一層進めていくこと。水産分野についても、今後、漁業者の方、行政、県外の専門の大学との連携を図り新商品の開発をしていきたい。」との答弁がありました。
また、委員から、学との連携について「島根県立大学も含めて検討してほしい」との意見がありましたことを申し添えておきます。

以上、農水商工委員会における審査の概要を申し述べ、委員長報告といたします。
 



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