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文教厚生委員長報告

 

文教厚生委員長報平成15年11月定例会


文教厚生委員長報告を行います。

文教厚生委員会に付託されました議案の審査経過並びに結果について御報告いたします。

今定例会において本委員会に付託されました議案は、「食品衛生法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係条例の整理に関する条例」案1件であります。

この議案について、執行部に説明を求め慎重に審査しました結果、原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。

次に、請願の審査について申しあげます。
新規に付託されました請願第22号、第24号、第25号の計3件について慎重に審査いたしました。

審査の結果を申し上げます。
まず、請願第22号並びに第25号についてですが、いずれも「松江赤十字病院精神神経科病棟の存続」を求めるものであります。
執行部に状況の説明を求め審査を行う中で、多くの委員から、
松江日赤精神科経営上の採算性が良くないことは確かとしても、後々の患者ケアが保障されないまま病棟廃止に至るとすれば、単に日赤だけの問題にとどまらないと危惧されること。
そのことは、充実した医療や福祉を謳う本県において、既に社会的問題になっているといえること。
精神科疾患に対する県民意識が高いとは言えない中で単科の精神科病院に受診することへの抵抗感が現実にあることや、身体合併症のある患者に総合的かつ適切な治療を提供することなど、地域の中核的医療機関に精神科を設置する意義は大きなものがあり、公共性の高い松江日赤においても精神神経科が担う役割などに対する患者や家族の気持ちを重く受けとめるべきであること。
等々の意見表明がなされ、この2つの請願は採択すべきものと異議なく決定いたしたところです。

なお、願意を同じくする陳情4件についても審査を行い、採択すべきものと決したことを申し添えておきます。

請願第24号「ゆきとどいた教育を進めるための請願」につきましては、1706名分の署名を添え提出されたものであります。
9つの請願項目のうち、当委員会所管の8項目につき審査を行いました。
その具体的項目は、
1つ目は、本県教育予算を削減せず拡充すること。
2つ目は、小・中・高全ての学校で30人以下学級を実現するよう国へ働きかけること。
3つ目は、県独自の30人以下学級の施策を中学校まで拡大すること。
4つ目は、公立学校の学級削減や小規模校等の一方的統廃合をやめ地域の実情に応じて県独自に学級定員を縮小すること。
5つ目は、特別支援教育の施策が障害児教育の後退につながらないよう、現行の障害児学級等を存続、充実すること、知的障害養護学校高等部の学級を増設すること、障害児の学童保育を充実すること。
6つ目は、複式学級編制基準の引き下げ。
7つ目は、登校拒否・不登校の子どもたちの学習権保障の具体的施策。
8つ目が、学校建物の点検と補修・改修を進めるため市町村へ財政支援を行うこと。以上であります。

執行部から状況の説明を求め審査を行った結果、五つ目の項目のうち、障害児の学童保育を充実することにつきましては、教育委員会と健康福祉部の連携のもと、養護学校等におけるハッピーアフタースクール事業や、障害児に対する放課後児童クラブの運営に県単独の助成を行うなど既に一定の実績が積まれておりますが、さらなる充実を求める意味から趣旨採択すべきと決定しました。

その他の項目につきまして、例えば予算の拡充に関する事項にあっては、本県財政健全化の中での財源の効果的・効率的観点から判断すべきでありますし、30人以下学級の対象学年拡大につきましては、小学校低学年への導入成果を踏まえた判断が必要であります。また、学級削減、学校統廃合の問題や市町村立学校改修等への財政的支援につきましては、地域の意見を十分踏まえるとともに市町村の独自性にも配慮が必要でありますので、結論を出すに至らず継続して審査を行うことといたしました。

なお、6月定例会並びに9月定例会において付託された請願のうち、継続して審査を行うことといたしておりました第4号、第7号、第9号、第13号から第17号まで計8件につきましては、新たな判断を行うべき状況に至っていないことから、さらに継続して審査を行うことと決しました。

 

続いて所管事項調査に関連したものについてであります。
先ず教育委員会に関する事項であります。執行部からの報告のうち主なものを申し上げます。

初めに、「教職員資質向上検討会議の設置」に関してであります。
この検討会議は、相次いだ教職員の不祥事に鑑み、教職員一人ひとりの資質向上を図るため、教職員の意識調査による現状把握と分析に基づき、採用方法、倫理意識を高める研修、メンタルヘルスのあり方、管理職登用や降格制度、処分基準の見直しなどの方策を検討するため設置されたものであります
委員からは、教職員の不祥事に対して適切なる処分を検討すべきは当然としても、子どもたちを教え育む情熱や愛情までも阻害しないよう資質向上を図り、メンタルヘルスにも十分配慮すべきであるとの意見や、難関といわれる採用試験を経て採用された教員が、単に安定職を求める者で占められる結果とならないよう、採用時の面接に基づく評価をより重視すべきとの意見が述べられたところであります。

次に、「本県教育の在り方に関する島根県総合教育審議会答申」についてであります。
この答申は、本県教育振興ビジョン策定の根幹をなすものであり、公募による委員を含む20名の委員により、パブリックコメントや地域広聴会による県民意見を参考にしつつ、幅広い見地から審議を重ね、取りまとめられたものであります。
教育振興ビジョンにつきましては、各委員の関心も高く、閉会中の10月24日に当委員会を開催し、審議会の正副会長を招き、答申の中間報告に至る審議状況について説明を願ったところでもあります。
この度の最終答申では、今後10年間の社会について、少子高齢化の進行、情報化の進展、国際化の進展と国際的課題の増加、産業構造の変化、家庭環境の多様化と地域の教育力の変化、国の教育改革と地方分権の推進など6つの要因が本県の教育にも影響を及ぼすものとして、これら要因毎に採るべき対策が示されております。
また、本県が目指す教育については、子どもたちに身につけて欲しい力として、「知育・徳育・体育の調和的発達をもとに、社会や人との関わりの中で、自分の生き方を考え決定し、行動していく力や問題解決能力」を掲げ、あるべき本県教育の基本理念、基本目標、それらを実現するための施策の方向性、教育行政における各般の体制づくり、学校・家庭・地域社会の連携のあり方等が掲げられております。
教育委員会においては、この答申を基に、遅くとも今年度内を目途に本県教育振興ビジョンを策定されるのでありますが、その策定状況については、適時に報告を受け、必要に応じ委員会としての意見を申し述べることとしております。

続きまして、健康福祉部に関する事項であります。
執行部報告の1つに、「ハッピーアフタースクール事業の実施状況」がありました。
この事業は、家庭から養護学校等に通学する児童・生徒を放課後や夏休みなどの期間、空き教室などで預かり、その児童・生徒の育成を行うとともに、保護者が社会により関わりが持てるよう支援を行うもので、平成13年度に県単独事業として開始されたものであります。
事業は、各養護学校等の保護者会で実施されており、今年度は7つの養護学校において約240名の自宅通学者中、73名の利用登録があるとのことであり、利用条件等を設けることなく希望があればすべて対応がなされております。
この事業を利用する保護者からは、就労時間の増加や自分の時間が持て生活にゆとりが持てるようになったとの声があり、児童・生徒本人にとっても人間関係の構築や様々な体験ができるようになったなど、事業によるメリットについて説明を受けました。
委員からは、健康福祉部と教育委員会との密接な部局間連携によるこの事業の成果を高く評価するとの意見のあったところであります。

このほか、インフルエンザ対策に関し状況説明を求めたところ、今年度県内には昨年度の1.3倍に相当する16万7千人分のワクチンが入荷されており、需要に対しほぼ対応できる見通しであるとのことでありました。ただ、圏域毎には需要と供給量のバランスがとれていない地域があるとのことでありますので、需給調整を図るなど、インフルエンザ対策について万全の対応を求めたところであります。

以上、文教厚生委員会における審査の概要等を申し述べ、委員長報告を終わります。

 



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