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文教厚生委員長報告

 

文教厚生委員長報平成十五年六月定例会


文教厚生委員長報告を行います。

文教厚生委員会に付託されました議案の審査経過並びに結果について御報告いたします。

今定例会において本委員会に付託されました議案は、予算案一件、条例案二件、一般事件案一件であります。
これらの議案について、執行部に説明を求め、慎重に審査しました結果、いずれも、原案のとおり可決または承認すべきものと決定いたしました。
なお、第八九号議案「平成一五年度一般会計補正予算」教育委員会所管分については、採決の結果、賛成多数をもって可決したことを申し添えます。

次に、請願の審査について申しあげます。

新規に付託されました請願第一号、第四号、第七号及び第九号の計四件の請願について慎重に審査をいたしました。

審査の結果、請願第一号「医薬品の一般小売店における販売に反対する意見書を国へ提出するよう求める請願」につきましては、「医薬品」としての販売は、国民の健康や安全の確保を第一に考えるべきであるとして採択することといたしました。

請願第四号「教育基本法改定ではなく理念の実現を求める意見書を国へ提出するよう求める請願」、並びに第七号「教育基本法改正に反対する意見書を国へ提出するよう求める請願」につきましては、法改正の動向を見据えた判断が必要であるとの意見から、引き続いて審査することに決定いたしました。

請願第九号「福祉医療費助成制度の拡大並びに高額医療費等支給申請手続き改善を求める請願」につきましては、八つの請願事項が盛り込まれており、このうち、
一の(一)の「制度の趣旨、手続きの周知徹底」
一の(二)の(1)「受診状況申告、領収証添付を不要とすること」

 (2)「代理申請を認めること」

 (3)「対象者が世帯内に複数あっても一枚の申請で済むようにすること」
一の(三)の(2)「高額医療費の指定口座への振り込み支給」
以上五つの項目につきましては、既に県から市町村に対して高齢者の事務的負担の軽減を図るよう要請されていることから採択することと決しました。
一の(三)の(2)「老人保健対象者全員に予め申請書提出を求め、実質的申請を初回のみで足りるようすること」につきましては、実質的申請を初回のみで足りるよう県から市町村に要請されていますが、支給対象でない方も含め、予め全員から申請書提出を求めることまで要請できないことから、趣旨採択と決定しました。
請願項目二の「いわゆる前期高齢者や七十歳未満の被保険者等に係る高額療養費支給申請についても市町村が行う老人医療の高額医療費支給申請手続きと同様にするよう」求めた項目については、高額療養費の支給は、それぞれの保険者が扱うものであるとともに、現在、国において、医療保険制度の改革について検討されていることから、審査を継続することとしたところであります。
また、請願項目三の、呼吸器機能障害者に係る在宅酸素療法に関連した「福祉医療費助成制度の対象者の拡大」という項目については、在宅酸素療法を国の制度である「更生医療」の給付対象となるよう働きかけが行われていることから、継続して審査を行うことに決定いたしました。

次に、付託された議案の審査過程における執行部からの説明、委員からの質疑、意見、要望事項のうち主なものについてご報告いたします。

初めに、第八九号議案、平成十五年度島根県一般会計補正予算についてであります。
まず、教育費に計上されている「歴史民俗博物館整備事業費」についてであります。
執行部からは、歴博は、当初の計画通り平成十八年度の開館を目指すという方針決定に基づき、本年度計画分である建物工事の一部及び展示や情報システムの実施設計などに係る歳出補正、平成十六年〜十七年度の整備に係る債務負担行為補正を計上した旨の説明がありました。
また、当初の事業規模が百五十一億円であったものを、建物や展示スペース全体を相似的に縮小するとともに、展示模型、レプリカ等作製の見直しや一部を後年度に送り、あるいは、植栽や屋外照明、情報システムの見直し等により、全体で約二十五億円の縮減を図ったこと。
開館後の展示は、古代から近現代に至るまでの本県の歴史文化の変遷を概観できる「総合展示」、本県の古代文化の中から出雲大社、出雲国風土記、青銅器など特徴的な三つを選んだ「テーマ別展示」、アミューズメント機能を持たせた「神話展示」などで構成する計画であること、などの説明がありました。

これに対し委員から、本県の財政見通しが厳しい中での整備ということで様々な質疑がありました。
列挙すれば、歴博における展示整備の考え方、政策企画会議の状況、展示品たる出土品の所有と出土した市町村との関係、出土した文化財の地域振興の視点からの位置づけ、さらに古代研については、その整備に係る基本的考え方ないし財源確保上の地域総合整備事業債(地総債)活用の目処、整備可能になるまでの間の現施設への投資のあり方、その他県と松江市との間でのいわゆる「確約」の事実関係等々であります。

 

これら委員の質疑に対し、執行部からは以下申し上げる答弁がございました。
歴博における展示に関しては、財政事情を踏まえ、理念や趣旨を変えない範囲で見直しを行い、必要なものから順次整備していくものであること。政策企画会議においては、明確な反対意見はなく、整備を遅らせたときに生じる影響などの質問があったこと。
出土した文化財の所有権については、遺失物法の適用を受け、国の所有となるが、それ故本県出土の文化財を本県において常時保管展示するためには、防犯、防湿等の基準を満たした施設の整備が必要であり、急がれること。
文化財を活用した地域振興の視点に関しては、歴博を核として、文化財が出土した市町村における取り組みを支援し、連携できる運営をしていく考えであること。
また、古代研整備については、県の財政事情によるけれども、平成十八年度に着工可能となれば、できるだけ地総債を活用する考えであること。
着工に至るまでの現有施設に対しては二重投資とならないよう、必要最小限の整備にとどめる考えであること。
古代研に係る県と松江市とのいわゆる「確約」に関し、古代研着工の時期は、あくまで県財政事情の好転を前提に判断されることになる、との説明でありました。

以上のような説明を受け、本委員会としては、歴博の整備に係る予算の執行部原案を賛成多数で可決したのでありますが、歴博の管理運営に関しては最大限のコスト意識をもって臨むべきであること、あるいは、古代研整備の着手を念頭に置くとすれば、現有の調査研究部門の整備に無駄が生じないようすべきこと等県民が納得できる整備並びに管理運営を求める意見があったことを付言しておきます。
 
次に、民生費に計上されている「第三子以降保育料軽減事業費」についてであります。
執行部より、この事業は、子どもを生みたくない理由に「経済的負担の増加」があり、行政に対して「経済的負担軽減策」を求める意見が多いことから、今回、創設する事業であること。
事業内容としては、県と市町村とで二分の一ずつ負担し、第三子以降の三歳未満児に係る保育料の保護者負担分軽減を図るものであること。この事業は、本年十月より実施することから、本年度予算額八千二百三十万円は、平年ベースの半分に相当すること、等の説明を受けました。
これに対し、委員から、子育てにおける経済的負担感は、教育費にあるのではないか、との質疑がありました。
執行部からは、経済的負担感には教育費の指摘もあるが、県としては、子育ての入り口での負担感の軽減を図るため、この事業を創設するとの答弁がありました。

続いて所管事項調査に関連したものについて申しあげます。

県立こころの医療センター(仮称)の整備推進についてであります。
執行部から、建設・維持管理費等トータルコストの縮減を図るため、設計建設から運営維持管理に至るまで民間資金とノウハウを活用し公共サービスを行う「いわゆるPFI方式」による整備方針について説明がありました。

これに対し、委員から、検討段階から方針決定に至るまでの経過あるいはPFI方式採用のメリット等質疑がありました。
執行部からは、PFI方式と従前の発注方式との比較検証、企業アンケートや個別ヒアリングの実施、また、先進事例の調査などを通じた検討の結果、PFI方式の採用により全体コストの削減が図られるとの結論を得た旨の説明がありました。
なお、建物の整備規模の点でWTO(世界貿易機関)政府特定調達協定に該当することから、事業参入を地元企業に限定する地域要件や最低限度価格の設定などはできないとのことであります。
協定を守るべきは当然でありますが、本委員会としては、「本県地域経済への効果や影響の視点も踏まえ、県内企業の事業参入もできるように十分な配慮が必要」との意見で概ね一致したところです。
執行部におかれては、PFIによる「こころの医療センターの整備」を推進されるにあたり、先ほど申し上げた意見にも十分配慮されるよう、お願いするものであります。

以上、文教厚生委員会における審査の概要等を申し述べ、委員長報告を終わります。
 



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