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文教厚生委員長報告平成18年11月定例会


文教厚生委員長報告をいたします。

文教厚生委員会に付託されました議案の審査結果等について、御報告いたします。

今定例会において本委員会に付託されました議案は、「島根県病院事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例」など条例案4件、予算案1件及び一般事件案1件であります。

これら議案について、執行部に説明を求め、慎重に審査いたしました結果、全会一致をもって、原案どおり可決すべきとの審査結果でありました。

議案の審査過程における質疑応答のうち、第132号議案「島根県病院事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例」に関するものについて御報告いたします。

本議案は、島根県が実施する病院事業について、その提供する医療の質の確保・向上と自立的な経営の両立を目的に、来年4月1日から地方公営企業法を全部適用することとし、関係条例の改正を行おうとするものであります。
 
本議案に関して、委員から「自治体病院は、職員が定期的に異動していく中でいわゆる経営のプロが育ちにくく、それが経営上の一つのネックになっていると聞く。地方公営企業法の全部適用にあたって、何か対策を考えているか」との質問がありました。
これに対し、執行部からは、「3年ごとに職員が異動する現在のシステムについては問題意識を持っている。地方公営企業法を全部適用すると、採用職種、人数、採用形態などを病院局で意志決定できるようになる。民間委託の活用や職員採用のあり方等、今後の検討課題と考えている」との回答がありました。

次に、請願の審査結果について御報告いたします。

このたび新規に提出された請願はなく、継続審査中の21件について、慎重に審査いたしましたが、いずれも結論に至る状況にないことから、引き続き「継続審査」といたしました。

次に、報告事項など所管事項調査に関連したものについて申し上げます。
自殺者が相次ぐなど社会問題化している学校における「いじめ」問題について、委員から「過熱報道が子どもたちの連鎖反応を招いているのではないかといった指摘もあるが、学校側の情報開示のあり方についてどう考えるか」また、「いじめの対応について教育再生会議が行った提言をどのように受け止めているか」との質問がありました。

さらに、「いじめの問題は危機管理の問題であり、その要諦はスピードである。教育委員会内に面倒なことを避け、問題を先送りするような体質があれば、事態をさらに悪化させることになる。組織の危機管理体制を再点検する必要がある」との意見がありました。

これに対し、執行部からは、「情報を開示することと、報道機関がどう報道するかは別の問題である。現在は、プライバシーに触れない限り情報は公開が原則であるし、それが求められている。例えば、公表せず深刻な事態に至った場合は、公表した場合より大きな社会的責任を問われることになると思う。
また、教育再生会議の提言は、もう少し現場の実態を踏まえて欲しかったという気持を持っている。傍観者も共犯であるとか、放置した者を処分するといった厳しい表現になっているが、現場ではいじめの存在に気づきながらもその対応に悩み、精神的に追い詰められたり、疑心暗鬼に陥っている部分もある。このような状況にどう対応していくかについては妙案がないのも現状である。
ただ、ここまで社会的にも大きな課題となっている以上、安閑とした態度では許されない。現場に対してはより緊張感を持って事態にあたるようさまざまな機会を通じ徹底していきたい」との回答がありました。

また、委員から、県立高校の水泳プールについて、「指導者不足等を背景に、一部の高校を除いては現在あまり使用されておらず、補助事業で整備した経緯から処分もままならないといった状況も見られる。県立高校のプールの取り扱いについて、教育委員会として一定の基準なり方針はないのか。また、不要となったプールを処分できるよう国に要請する必要があるのではないか」といった質問がありました。

これに対し、執行部からは、「現在使用されているものは今後も手入れをしていくが、使用されていないものの処分については、撤去費用が相当かかることもあって難しい面がある。補助を受けた施設の処分について国に配慮を求めていくことは、今後研究してみたい。
プールの取り扱いを今後どうするかという問題は、整備の経緯や実情を調査した上で、次回委員会で報告させていただきたい」との回答がありました。

なお、本委員会では、本県を含めて全国的な問題となっている公立高等学校におけるいわゆる未履修問題について、閉会中の11月13日に委員会を開き、その状況を調査したところであります。

当日の委員会では、冒頭、教育長から「善意で行ったこととはいえ、学習指導要領というルールに違反した行為であったことは事実であり、早急に改めるとともに、教育への信頼を回復すべく全力で取り組みたい」との発言がありました。

さらに、執行部から、「大学などへの進学率が高まる中で、本県では高校が受験指導に果たす役割は大きく、学校現場では、生徒の希望や保護者の期待に応えようと教員が一丸となって精力的に取り組んでいる状況であり、この問題は全国の公立高校に共通する課題であると考えている」との説明がありました。

委員からは、「現在の状況を招いた原因はどこにあると考えるか」との質問がありました。

これに対し、執行部からは、「契機となった要因はいくつか考えられる。平成14年からの学校完全週5日制に伴い、高校の授業時間数が減少する一方で、『情報』など必修科目が増加したことがある。また、大学入試センター試験における受験科目の増加も未履修の発生時期と密接に関わっていると考えている」との回答がありました。

また、委員から、「そもそも教育が何のためにあるかが忘れられてしまっているのではないか。人づくりをしっかりと基本に据えた高校教育のあり方を考えず、方法論に走ってしまっているのではないか」との質問がありました。

これに対し、執行部からは、「学校現場ではそうした理想を追求しなければいけない一方で、目の前にある大学受験に立ち向かう子どもたちに力をつけてやることが求められており、ジレンマがある。
小・中・高を通じた教育のあり方について1本の太い柱があり、その上に立って大学受験のあり方が考えられるべきであるが、そうした原則論を機会あるごとに国に対して言っていかなければいけないと思う」との回答がありました。

その他、高校教育のあり方について、さまざまな観点から活発な質疑応答が行われたところであります。

以上、文教厚生委員会における審査及び調査の概要を申し述べ、委員長報告といたします。

 



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