第2回しまね景観受賞作品(平成6年度)
物件一覧
まちなみ部門 事業主体/松江市
公共土木事業部門 事業主体/島根県
事業主体/建設省
公共建築物部門 事業主体/安来市
益田パルカディア・インテリジェンスセンター(益田市立図書館)【益田市】
事業主体/益田市
工作物部門 事業主体/島根県
緑化・修景部門 事業主体/島根医科大学
事業主体/斐川町
※事業主体は受賞時の名称
物件紹介
塩見縄手地区
→地図はこちら(「マップonしまね〜島根県統合型GIS〜」の「しまね景観賞表彰箇所マップ」にリンクしています。)
水面におおいかぶさるようにうっそうと茂る木々や、おだやかな堀を通して見る宇賀橋からの塩見縄手の景色はまた格別だ。その宇賀橋から最近改修された歩道を、西の方へ少しばかり歩いて行くと、約200mにわたってこの伝統的な町並みは続いていく。
塩見縄手は、松平藩の頃、五百石から千石取りの中老格の藩士の屋敷が並んでいた所としてよく知られている。
ここは、昭和48年に松江市の伝統美観地区に指定され、その後修復保存が図られてきたところだ。特に、地区住民の協力を得、建物の屋根、外壁、塀等が修復され、伝統的な町並みに改修復元していくと共に、電柱移設や、信号機、街灯のデザインも歴史的に景観になじむように配慮されている。堀沿いの歩道は、透水性のある真砂土舗装に改修されており、歩行者にとって実に歩き易く、、歩いていても大変気持ちが良く、また景観にもよく溶け込んでいる。
武家屋敷の改修や、小泉八雲記念館の増改築、公園の整備等、観光施設の充実も図られ、今では城下町松江としての代表的な顔としてしっかり定着している。ただこの通りは、道路のスケールの割には大変交通量の多い所であり、それによって歴史的な落ちついたたたずまいがおびやかされているのも事実である。
これからの町並みの更なる充実を図る為、この問題の解決にも努力される事を期待したい。
(小草 伸春)
宍道湖ふれあいパーク
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なだらかな丘陵地に興味をもちつつ階段を昇ると、急に視界が開けた。穏やかな湖面が眼下に広がり、水面には数種類の水鳥たちが所狭しと浮かんでいる。身を乗り出して覗き込むと、波紋を残し、水鳥は沖へ移動し始めた。水墨画的な光景だ。宍道湖にせり出すような岬のここ鳥ケ崎からは180度の視界が広がり、静かに横たわる対岸の北山山地には今にも手が届きそうだ。
この種の公園にありがちな、お節介で出しゃばった遊具や施設が少ないのがよい。芝生の広場には、まさしく地場産の来待石のモニュメントがさり気ない。殺風景のようで、そして、何も考えていないように見せかけて、その実、緻密な計算が隠されていそうだ。春夏秋冬、訪れた人が主役となれる公園だ。緩やかな下りの遊歩道が湖面に続くのだが、残念ながら、今のところ、親水ゾーンとしては整備されていない。さらに、西へと足を運ぶと、林古墳群の文字が目につく。以前は、木々が茂り、西風も眺望も妨げられていたのが、ほどよく間引かれた樹木の隙間から、はるか簸川平野が望めて秋の夕日が楽しめそうだ。若いカップル、家族連れ、高齢者など世代を越えて、動と静それぞれのゾーンで楽しめる。如何にして宍道湖とふれあうかを考えることができるような公園である。
(田中 昌子)
奥出雲おろちループ
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「奥出雲おろちループ」と名付けられたこの道路は、標高差170mに及ぶ坂根と三井野原の間を橋梁とトンネルを主体とした二重ループ構造で結ぶ。建設に当たっては、とぐろを巻いたおろちのイメージコンセプトを基に地域の特性を生かしたストーリー性のある道づくりに取り組み、また、自然環境の保護に効果のある工法を採用し、周辺の緑化および全体的なテーマをもった修景に心がけた結果、雄大な自然にとけ込んだループの線形構造美と橋梁の幾何学的デザインが連続性とランドマーク性およびスケール感を与えている。そして、最高位に位置する三井野大橋の赤いアーチ橋が自然環境のなかに緊張感を漂わせ、地域の景観資源としても活用されている。
(藤居 良夫)
糺市営住宅
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安来市の郊外に位置する「糺市営住宅」は、それぞれのライフスタイルに微妙な違いのある高齢者、障害者、青壮年層などの家族が複合的に生活するように最初から計画された住宅団地である。この団地の都市景観上のシルエットは、これまでの一般的な公共住宅団地のイメージからはかなり異なった独自のものであり、単なる四角い箱を並べて構成した無機的なものではなく、道路側の立面なども、さまざまな場所の曲線や曲面が目に飛び込んでくる、変化に富んだ構成をもち、市民の目を楽しませている。それぞれの住戸へのアプローチはL字形の建物に囲まれた中庭側にあり、高齢者、障害者などが住む一階部分のすべての住戸には専用庭が用意され大地との緊密感を保っている。他方、上階部分の住宅では、各住戸への専用の階段やバルコニーや屋根などに工夫があり、また独特の曲面が使われていて独立性を強調している。小さな団地だが、木造の集会所のデザインもユニークで有機的な形態をもち、中庭の空間をさらに活気づけている。公営の住宅団地の空間も、デザインによっては視覚的変化のある、親しみやすいものにできることを示した功績は大きい。
(長谷川 堯)
益田パルカディア・インテリジェンスセンター(益田市立図書館)
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周囲の景観を意識した、しっかりした手堅いデザインだと思う。日本海の波をアレンジしたという屋根に特徴がある。波の表現となる小窓はハイサイド(高窓)で、眼が連なるようで面白い。内部空間にも効果的だと思う。また、自然石を山に、白砂を海岸線に、芝生を日本海に見立て、郷土の景観を写したという庭と閲覧室の構成が巧みである。
ただ、海の色をイメージしたと思われる濃紺の外壁タイルは色調が強すぎるように思えた。特に、エントランス部分の素材(大谷石)との対比がきつい。もう少し、材料の種類を整理し、すっきりさせてもよかったのではないか。主庭の打ち放しコンクリートが実にすっきりしているのをみると、少しちぐはぐなように思う。もう少し、明るい色を部分部分に使うやりかたもあったのではないか。
いずれにせよ、設計者の能力には確かなものがある。地域の建築家として、モデルとなる仕事をさらに期待したい。
(布野 修司)
くにびきメッセ モニュメント
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都市には、本来ある使命を超えてランドマークたちが屹立している。新しいものと伝統あるものが街を飾る。次から次へとニューデザインを生み出す都市のパワーはいつもすごいと思う。
くにびきメッセモニュメント、赤がすごく人の目を惹きつける。赤色にもいろいろあるが、この赤はとてもいい。メッセとのコントラストも明確。
世界に向けての情報の発信、受信、交信、交流、協調を現し、県の発展を表現していると云う。視線方向により色々の形を見せるこの赤いモニュメントは、きっと子供達の目にも楽しく刺激的であろう。実は、私も赤がフェバリットカラーなのである。歴史的、伝統的なまちなみもあり、作為的に都会的なスペースがあってこそ刺激的なのである。
パショネットモニュメントも松江には似合ってきている。
(天津 恵)
島根医科大学築地松
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簸川平野の伝統的な景観のひとつである築地松が、ここ島根医科大学の生垣に新しい都市景観として蘇ったことは大変意義深いことである。
昭和53年に植樹し、平成6年6月に築地松として剪定を行ったそうであるが、まずその息の永い景観づくりを評価したい。
大陸からの強風を防ぐためという機能からつくられた歴史的田園風景である築地松であるが、松くい虫の問題や昨今の職人不足と費用がかかることを含めての手入れの困難さが原因で、その美しさは誰もが認めても、なかなか新しく実現できるものではないだろう。
水田の中の築地松と趣は異なって、ここ島根医科大学の築地松は、まちのなかに、高さ7mで165本の松が道路に面して、総長520mに及ぶ生垣となっている。その姿はきりりとして潔く、道行く人が思わず背筋をしゃんとのばして歩きたくなるような風景で、このまちの新しい魅力となっている。
景観行政に地域性、その地方にしかできない景観づくりが叫ばれて久しい。そのお手本として、県民みんなが利用する病院という都市の中の公共施設の生垣に、伝統的な景観を活かして周辺のまちなみに調和して新しく力強い景観を創りだしたこの事例は、しまね景観賞にふさわしいと確信する。
(田村 美幸)
斐川町築地松
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出雲平野の築地松は全国に誇り得る出雲地方特有の景観資源であり、出雲の心象風景として人々の心に残る「出雲らしさ」の原風景である。
築地松は、斐伊川の氾濫や冬期の季節風から屋敷を守るための防風林として、出雲平野の長い歴史と風土の中から生まれたものであり、何十年、何百年と数世代にわたって年月をかけて手入れがなされ、保全されてきた貴重な歴史的人為景観である。
わたくし達は、この先人から受け継いだ貴重な景観資源を今の時代に生かし、次の世代に残すべく保全につとめなければならない義務がある。幸いにも斐川町では、全町的に築地松の景観整備方策が検討され、保全のための住民意識の高揚につとめられ、その一環としてこの度「しまね景観賞」に応募された。でき得れば、この度の景観賞受賞を機に、斐川町のみならず出雲地方全域において築地松の保全運動が展開されることを願うものである。
(矢田 清治)
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