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「優しさ」に溢れる教育を

 島根県教育委員会教育今井康雄

 

 明治維新という時代変革の思想的支柱となった吉田松陰。堅物で厳しい教育者と思われがちであるが、実はけっして人の悪口を言わない、誰にも敬語を使うような人物だったという。牢の中では、仲間の特技を引き出しながら各々を何某かの先生として敬い、また松下村塾の弟子たちに対しては、欠点は言わず、必ず長所を見つけ、それを助長することにより彼らの才能・力を伸ばした。一介の田舎の教育者の下から、高杉晋作をはじめ天下を動かす幾多の人材が輩出された所以である。司馬遼太郎は、こうした松陰を「優しさ」に溢れた人物と評した。

 

 さて、私は、この4月教育長に就任したが、子どもたちの育成において目標とするところは、

1,一人一人に応じて、知る喜び、学習意欲、運動に親しみを感じさせ、子どもたちの持っている力、可能性を最大限に引き出す教育

2,子どもたちに集団の中での決まりを理解させ、役割と責任を自覚し、協調性や思いやりのある行動ができるようにする、言い換えれば、将来、社会人として常識ある生き方のできる人間に育てる教育

3,体験活動等を通して、ふるさと島根の歴史、文化、自然を実感できる教育等である。

 

 翻って、今の時代をみると、他人の欠点・失敗をあげつらい、他人・弱い者を徹底的に攻撃する風潮、無批判に一つの方向に流れやすく移ろいやすい世評、効率優先で自分さえ良ければという人々の増大等々、強い自己主張が目立つ反面、他人の良さを見つけ、温かく包みこむ雰囲気が大変薄くなったように感ずる。目標とする教育を実現するには、なかなか難しい世の中になったものである。

 

 そこで、松陰である。やる気を起こしつつ、その力を引き出し人材の育成を図っていく、そうした人材育成術は、私の教育目標の実現に参考になりそうである。「ほめてやらねば人は動かじ」である。

 もとより、単なる甘やかしとは異なる。目標をしっかりと定めると同時に、その者の人格を認めつつ能力・才能を把握する優れた人物鑑定眼が必要であり、厳しさと共に忍耐力もいる。自らを省みて汗顔の至りであるが、子どもたちの教育にとどまらず、職場の人材育成においても、この「優しさ」に十分留意したいものだ。

 

 学校事務を司る皆さん方には、日々学校現場で様々な課題に取り組む中でご苦労されていることと思う。教育・学校を取り巻く環境は今後ますます厳しくなると思われるが、先生方と共に島根の教育の発展のために更なるご協力をお願いする。皆さん方のますますのご活躍を祈っている。

 

 


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