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庭に棲む友

 

 何匹いるのかはわからない。一匹でないことは確かだ。何を食しているのだろう。草食でないことはわかるが、蚊や小昆虫を食べるのだろうか?調べてみた。

 背面は褐色で、両側面に褐色の縦線がある爬虫類。全長15〜20cm。全身なめらかなうろこでおおわれる。尾は切れやすいが、容易に再生する。日本特産。各地の草むらにすみ、昆虫・クモ・ミミズなどを捕食。卵生。

 広義には爬虫類○○○の総称。世界に約3,000種がある。南極以外に分布し、最大種は全長3.6mのコモドオオトカゲ、最小種は西インド諸島バージンゴルダ等に生息する3.6cmのヤモリ。(出典:新世紀ビジュアル大辞典)

 もったいぶった書き出しをした。この住人はトカゲである。別名ニホントカゲ、日本特産とは知らなかった。いつから棲んでいるのか、冬はどこにいるのか不詳だが、庭作業をするときにかなりよく目にする。その動きの緩慢さと、そのくせあたりを警戒しているのか何か考えながら動く姿はユーモラスだ。

 ところで、このトカゲを一個の生命としてみたときには、神秘性の塊が動いているようなものだ。遺伝子、DNAが正確に伝えられて今日の姿があり、進化の過程ではとてつもない時ニホントカゲ間で、現在の姿、形となり、生化学反応を動力、知覚の源とする。

 "動く"ということの複雑さは未だロボット工学が神の造形の域に達していないわけだ。

 月や火星までロケットを飛ばす技術力は相当高度なものだと考えているが、その科学力をしても、1ミリに満たない虫の動きを再現はおろか、メカニズムの正確な分析もできていないのだ。

 近頃最も神秘的に思っていることは、ミトコンドリアなどの細胞内物質が太古において細胞内にとり込まれた別生命体に由来し、細胞が連綿と生命を引き継ぐ中で正確に伝えられてきたことである。すべての生命の根源ともいえる光合成を司る葉緑体もかくなるものだという。

 今ひとつは、DNAの働き方はある形質、たとえば葉になれ、花になれ、根になれという指令が発動するためには、その指令記号とともにその指令に鍵をかけている記号を解除するという二重関係にあるという。

 こうした記号はすべて酵素の働きによる記号物質の生成により正確になされる訳だ。こうしたことを考え、トカゲを見ると、いとおしさが増して来る。器に落ちたりで、はい上がれない状態を見つけたりすると、助け上げて庭にもどしてやり、発見が早くて良かったなと声をかけてやる。

 


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