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あなたはなぜ勉強していますか

 

 「何のために勉強せんといかんの?と聞かれたらどう答えますか?」

 教員管理職選考試験でのある人の質問です。

答えは色々様々でした。それぞれの学習についての考えが伺えましたが、心底納得のいく答えは意外と少なく、説得力はいまひとつでした。自分ならばどう答えるか、頭の中に寝かせてきました。皆さんはどう自らのアイデンティティの中に整理しますか?

 自己実現、社会人としての必要な知識、希望する職に就くため...といったところが予想されます。そのどれもが正しいと思うのですが、人生観とでもいうか、生き様とでもいうか、考え方を体系的に整理した哲学的な見地から観ると少し不足な気がします。もっと生き方そのもの全体を表す考えはないものか、私ならばどう答えるか考えてみました。

 ところで、教育の目的、目標を表現して「知育・徳育・体育」といわれます。私はこの三本柱は是としながらも、心=精神の部分が「徳育」ではもの足りないと思っています。そこで知育・徳育・体育の土台=基礎となる部分に心の豊かさをおきたいのです。

 心の豊かさとは美しいものや生命の神秘、芸術やスポーツの妙技に感動する心、弱いものをいたわる心、卑怯を恥じる心などです。こうした心の豊かさがあって初めて知識や体力も生かされる訳で、それが欠けたままの知識や体力は凶器とさえなるものです。

 島根の教育はそうした考えに立って進めることとしております。そのひとつに「ふるさと教育」があります。この「ふるさと教育」は単にふるさとの認識を高め、ふるさとの自然、歴史、文化を愛する心を養うだけでなく、地域の人々とのふれあいを通じた社会的コミュニケーション力や伝統文化を身につけること、ふるさとの素材を通じて感動する心や考える力を養うことを目標にして、全小・中学校で取り組んでいます。人格形成の最も多感な時期においてのこうした教育こそが、毎日報道される事件・事故や自分さえよければといった社会的風潮、金銭至上主義、過度な市場原理主義など我が国が陥ってしまった社会病理から立ち直る「遠くて近い道」だと思うのです。

 こうした県の教育を担当することとなって二年が経ちました。それまでは県の行政マンでしたから、初めて教育を担当しています。

 さて、最初の命題に戻ります。

 何故勉強するかという点と心の豊かさとを接合して考えるとどうなるでしょう?

私の結論は次のとおりです。

 

「感性を磨けば人生が楽しくなる」

「知性を高めれば人生が豊かになる」

 

 

 


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