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第56回中国地区小学校長教育研究大会島根大会あいさつ

 

 「新しい時代を拓き、心豊かにたくましく生きる日本人の育成を目指す小学校教育の推進〜知性と感性を育み、未来に向かって力強く生きる子どもの育成〜」

 非常に長いスローガンの下、中国地区小学校長教育研究大会島根大会が盛大に開催されることに対し、心から賛同申し上げます。

 特に知性と感性を育むことについては、私が最も強調してきた理念です。すなわち「感性を磨けば人生が楽しくなる。知性を高めれば人生が豊かになる。」の対句を提唱しています。

 新しい学習指導要領による教育が今年度からスタートしております。それを進める理念・考え方について島根県教育課程審議会から答申を得ましたが、その考え方の根底にも感性を育むことをおいております。

 その答申の基本的考え方は次の3点としています。

1.子ども一人一人の感性を基盤とした確かな学力(知)・豊かな心(徳)・健やかな体(体)をバランスよく育む。

2.島根の豊かな自然や歴史、文化、教育熱心な人々など恵まれた教育資源を生かす。

3.教育活動の全体計画に沿った多面的・総合的な指導と、教科等の特質に応じた重点的な指導の両面から指導を工夫する。

 この3番目については、現在の教育の中でともすれば失われがちな重要なポイントではないかと思います。

 各教科がそれぞれを自己目的にした指導では受ける側の生徒達にとっては頭の中での整理がつきません。単に記憶力のいい学校優等生の生産に過ぎない教育になってしまうと思います。

 新指導要領で言語力を高めることの理由に「言語は、知的活動(論理や思考)やコミュニケーション、感性・情緒の基盤であり、国語科において、これらの言語の果たす役割に応じた能力、感性・情緒をはぐくむことを重視する。各教科等においては、国語科で培った能力を基本に言語活動を充実することの必要性を十分に理解し、言語活動を各教科等の指導計画に位置付け、授業の構成や進め方を改善する必要がある。」としている由縁です。

 こうした総合的な対応と個々具体の教育課題との関係を道徳教育を例にとりますと、例えば体育は、スポーツ力や体力の向上、生涯スポーツの基礎を養うとともに、厳しい練習や競技を通じて、目標に向かって努力する・持久力・忍耐力・規律やルーツを守る・勝っておごるな・敗者にもいたわりを、などを教える場であります。また人間には個人差があることや、スポーツを通じた友情やコミュニケーションを培うことでもあります。

 音楽では、日本的な情緒や美意識を養うことがあげられましょう。こうした総合と個々の関係は他の教科間や学校行事、ホームルームとの間についてもいえましょう。

 また、この「総合的な取り組みと個々具体の的を射た取り組みの両面からの教育」という考え方は今日的な教育課題に対処する基本に置くべきものでもあります。

 それは、いじめや不登校、発達障害やコミュニケーション能力の低下、体力・学力・道徳力の低下などは個々の原因と結果により生じているものでなく、それぞれが複合的・重層的・多面的な要因によって生じていると把えるべきであり、そうであればこそ、総合的と個々具体的との両面からの取り組みが必要となると考えています。

 そして、子ども社会よりもむしろ我が国社会全体が社会病理といえる深刻な状況に陥ってしまった現状を変えていくためには、相当なスピードとパワーが必要だと思うのです。

今大会がこうした点を含め、大会スローガンに掲げられた教育が更に前進するための格好の機会となることを願っております。

 


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