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若人に宿る豊かな心(回想・全国高総文祭しまね'07)

 本県はもとより全国から出場や出品した生徒の皆さん、そして大会運営に携わった本県生徒の皆さんの発表、展示、活動は、大成功でした。はつらつとしたスカッとさわやかなものでした。

 また、それを裏から支えた教師をはじめ関係者の皆さんの熱意と努力にも感服しました。今大会を温かく支えていただいた県民の皆様や関係者に心から感謝を申し上げます。

 来県した皆さんからは、天気に恵まれたこともあって、大会そのものや島根の歴史・文化、自然、人情、そしてそれが織りなす情景に絶賛の声をいただきました。

 また、第31回目にして初めて皇室から秋篠宮、同妃殿下、真子内親王をお迎えし、ご視察もいただきました。私は、大会に先立ち諸外国からの参加者をお迎えするところからほぼかかりきりで、この大会の各会場を断片的にではあるものの見ることができました。

素直な感想を申し上げると、「島根の教育、日本の教育は、まだまだ捨てたものではないな。教育が論じられるときには、教育崩壊で荒手術をしないと再生不可能といった論調が主流だけれども、大半の生徒も教師も健全で一生懸命頑張っている」という、確信に近いものであります。

 報じられる問題行動や教育の現状は、事実ではあっても一部の事象を全体のごとくにとらえられがちです。全体を正確に認識するには陰の部分のみを強調するのではなく、「光」の部分も正当に評価をしなければ対策を誤ることになります。

 教育を論じるには、今回のこの大会のような現場での生徒や教師の姿を自分の眼でしっかりと見たうえで光と陰の分析をし、提言をすべきと痛感しました。

 教育は、知育、徳育、体育の三本の柱といわれています。そして私は、その基礎として豊かな心を養うことだと考えています。豊かな心とは、美しいものや芸術、スポーツや他者の崇高な姿に感動する心、自らが知性と感性を高めること、卑怯を恥じ、他を思いやる心などであります。

 今回の高校生のさわやかさ、ひたむきさ、エネルギッシュな発表などは、この豊かな心を持つ人に育っていると感ずるに十分なものでありました。

 また、全国各地で伝統芸能や地域文化の多様な伝承展開が図られていることを新ためて認識し、こうした地域文化こそが「美しい国日本」の保存伝承すべき最も大事なものであると感じました。地域の歴史、文化を守るための、国、地方を通じた社会、行政、文化の体制を維持しなければならないと思うものです。

 この大会の成功を、「終った終った」で済ませることなく、いかに今後の地域文化や教育に活かしていくか、かかわった生徒、教師、関係者、会場に足を運んでくださった県民それぞれが考えていくことだと思います。無論、教育委員会、学校が最もよく考えなければなりません。

 

 最後に今一度、生徒、県民の皆様に感謝を申し上げ、また関係者の多大なご労苦をご慰労申し上げます。

 

(山陰中央新報8月28日「回想・全国高総文祭しまね’07」に寄稿)

 

 


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