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教育長訓辞〜平成22年度新規採用教職員辞令交付式

辞令交付ただいま、辞令を交付した203名の皆さんは、念願がかない、晴れて島根県教職員として教育現場に勤務されることになりました。心からお慶び申し上げます。

 

 皆さんの目標は、教職員として採用されることではなく、実際に教育に携わることであります。それが今日から始まることになります。

 子どもを学校に託す保護者の願いや地域の大きな期待が込められていることを十分に認識し、教職員としての使命を自覚の上、社会全体への広い視野と教育への熱い情熱をもって、教育に当たるとともに、絶えず自己研鑽に努め、より幅の広い、より奥の深い人格をめざし精進していただきたいと思います。

 

 皆さんは、これから早速それぞれの勤務校に赴かれる訳でありますが、校長をはじめ諸先輩との協調・連携を深め、一人ひとりの教師と教育著訓辞してだけでなく、組織として教育に当たることの必要性を認識していただきたいと思います。

 また、皆さんは、教職員である前に自立した社会人であらねばなりません。教職員に対し、県民の方々から時々聞くことに、挨拶ができない、地域にとけ込んでいない、ということがあるようであります。たとえ一部の者の評価であっても全体の評価につながることを自覚し、法令に定められた服務の遵守はもとより、地域社会の一員として、児童生徒や保護者、地域社会の方々から信頼される教職員となられるよう切望しております。

 

 さて、私も本日教育長に就任しました。皆さんと同じ一年生であります。これまでの島根県教育の基本的な理念や精神を引き継ぎつつ、よ教育長訓辞りよい島根の教育をめざし、皆さんとともに考え、行動していきたいと思います。折角の機会でありますので、門出に当って、皆さんにそうした考えや取組みの一端をお話しします。

 

 約60年前、敗戦から再出発した我が国は、ものの豊かさでは世界屈指の大国となった反面、心の豊かさや歴史・文化・匠の技などを尊重する心が薄らいできました。ともすれば効率優先、自分さえよければといった風潮が蔓延し、様々な社会病理現象を抱え込むこととなりました。こうした社会状況は、子どもたちの安全に直接関わるとともに、心身の発達等に重大な影響を与え、いじめや不登校、学力低下など、様々な教育問題にもつながっております。

 

 私達は、こうした今日の複雑で困難な教育問題の解決に向け、総合的な取り組みを迅速に、かつ、強力に推し進めていかなければなりません。

 

 このため、島根県では、これまで、「確かな学力・豊かな心・健やかな体をバランスよく育む」、いわゆる知・徳・体のバランスのとれた人格形成を大きな目標として取り組んできました。そして、その基礎となるのが、ものごとに感動する心や、卑怯を恥じ、弱いものをいたわる心などであり、その涵養を図ることが大変重要であります。

 

 こうした考えのもと、今年からは新たに「ふるまい向上プロジェクト」という取組みを進めています。ここでいう「ふるまい」とは、望ましい生活行動や生活習慣、礼儀、作法、躾、道徳、思いやりの心などを指します。

 小学校の入学時から既に、コミュニケーションがとれない、話が聞けない、すぐにキレる、などの問題行動が増えている、また、テレビやゲーム、携帯電話への過度の依存や誤った使い方が見られるなどの情況があると伺っています。

 これらを是正していくためには、乳幼児期からの養育、教育が大切であると思っています。

 そのため、教育の側からだけではなく、福祉担当の部局や県警本部、さらには市町村や関係団体が連携して息の長い県民運動として強力に取り組むこととしており、皆さんも問題意識を共有しながらいっしょになって取り組んでいただきたいと考えています。

 

 また、豊かな心や確かな学力を育む言語活動を充実するために、読書活動の推進に力を入れています。特に昨年度から実施している「子ども読書活動推進事業」では、全ての小・中学校で学校司書やボランティアが配置され、「人がいる」学校図書館が実現しつつありますし、環境整備も進んでいます。学校図書館の機能が充実し、子どもたちが読書を通して、知性と感性を磨き、思考力や表現力を養うことができるよう、積極的な取り組みを進めていただきたいと願っています。

 

 体験活動の充実としては、島根県では「ふるさと教育」に力を入れております。学校と家庭と地域が一体となり、地域の人々にも積極的に参加していただき、コミュニケーションを図る中でその知恵や技術、自然、歴史、文化などを子どもたちに伝えていきたいと考えています。

 

 理数教育の充実としては「知ること、学ぶことは楽しい」ということを子どもたちに味わわせ、それをさらに意欲につなげるような指導を行うことが大切です。子どもたちが驚いたり、感動したり、考えを深めたり、子どもの興味・関心を高める取り組みを一層進めることを望んでいます。

 

 皆さんには、単なる知識の切り売りではなく、子どもたちの知的好奇心を喚起し、知ることの楽しさを教える教育を行って欲しいと願っております。そのためにも、書物に親しみ、自らの感性を磨き、知性を高め、それをもとに全人格的に子どもたちと向き合っていただきたいと思います。

 

 様々な課題をかかえている子どもがいるのは事実ですが、昨年度は、国体における横田高校のホッケーチームの男女アベック優勝といったスポーツ面、また、文化面では吹奏楽、合唱、読書感想文で全国でも高く評価されたり、将棋の里見香奈さんが高校生でプロとして二冠に輝く活躍をするなど、島根県の子どもたちの活躍がみられました。日常の学習も含めて、様々な場面で頑張っている子どもが多数います。学力低下や問題行動など、いわば陰の部分のみを強調するのではなく、こうした光の部分、大多数の健全で次代を担うにふさわしからんと誠実に学んでいる子どもたちの状況も正当に評価すべきと感じております。私は、そうした一生懸命頑張っている子どもたちやそれを育む現場を全力で応援します。

 

 最後に、はなむけの言葉をお送りします。「初心忘るべからず」です。能役者の世阿弥の言葉だそうです。その意味は「学び始めた当時の未熟さや経験を忘れてはならない。常に志した時の意気込みと謙虚さをもって事に当らねばならない。」というものです。今日のこの日の清新な想いをいつまでも胸に抱いて、何かあればその原点を思い起こし、自身の向上に努めていただきたいと思います。

 

 また、「教育・人づくりは島根百年の大計」であります。皆さんには、困難な課題の解決に向け、日々精一杯の取組みを行う中でも、生涯の勤めとして腰を据えて、島根の未来を担う子どもたちを育てていってほしいと願っています。

 

 どうか健康には十分留意され、地域とのつながりを大切にして御活躍されることを大いに期待しまして、訓示といたします。

 

 

 

 平成22年4月1日

 島根県教育委員会教育今井康雄

 


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