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教育長訓辞

 

 ただいま、市町村立小中学校の校長として、採用、昇任された皆さんに辞令を交付いたしました。昇任を心からお祝い申し上げます。

 早いもので、教育長の職に就いて四回目の春を迎えました。この三年間、様々なフレーズで語ってきました。

○「明るく伸び伸びとした活力ある学校づくり」

○「感性を磨けば人生が楽しくなる。知性を高めれば人生が豊かになる。」

○「心の豊かさを育む教育を知育、徳育、体育の基礎に据えた教育」

○「基礎、基本、原点を今一度見つめ直した教育を」

○「今日的教育課題は複合的、重層的に起きていると捉えるべきで、その視点からは、一つひとつの課題に対する的を射た対策とともに課題が複合的、重層的であるが故に総合的な根底的な対策が必要である。」

○「解決するためには強力な取組が必要、そのためにはスピードとパワーが求められる。」

などなどです。

これらのフレーズは、県教育委員会ホームページの「両鏡相照」に掲載しております。是非一度ご覧いただきたいと思います。

これまで、こうした考え方をもとに、全力を挙げて本県教育の振興にあたってまいりました。本年はいよいよ起承転結の「結」の年となりますので、今まで以上に積極的に取り組んでいこうと思っています

 具体的な取組としては、三年前から実施している県単独での学力調査とそれに基づく学力向上プロジェクトを継続いたします。今年度は、高校教育課に調整監を配置し、小学校、中学校、高校が一層連携して、子ども達の学習意欲、学習習慣を身につけさせる取り組みや、教員の指導力向上に向けた取組を強力に進めます。

 また、今年度から先行実施される新学習指導要領に対応するために、教員を対象とした教育課程説明会を実施するとともに、非常勤講師を小学校に配置します。

 また、豊かな心と言語力、思考力の向上を目的として、読書活動の推進及び学校図書館の効果的な活用・運営を図るため、市町村の学校司書等の配置を支援し、学校図書館機能の充実を目指します。

 根源的・総合的な取り組みとしては、ふるさと教育が挙げられます。ふるさとの自然や歴史、文化、産業などを体感し、子どもたちに学ぶ楽しさを感じさせ、感性豊かな人間性を育み、ふるさとを愛し、地域に貢献する心を養うことを目的としたこの事業は、地域の方々の御協力を得ながら、着実に成果を上げて来ており、今年度は五年目を迎えます。学校地域支援本部事業なども活用し、ふるさと教育に関わる指導者等の養成やふるさとの良さを他地域に向けて発信することなどにも力を入れながら、引き続き実施していただきたいと思います。

 先般、県の教育課程審議会の答申の中でも学校図書館教育の充実やふるさと教育の重要性が述べられており、あらためてこうした取組に力を入れてまいります。

 しかしながら、一方で教育再生会議の議論に見られるとおり、学校教育についての評価が非常に低く、ことさらに地方の教育力への不信を煽る風潮があることは、残念でありますが、私はまず現場を信頼し、現場の声に耳を傾け、現場を励ますことこそが、教育再生に資することだと確信しております。

 そのためには、自ら正すべきは正すことも必要となります。学校が組織として機能的であることが必要であり、校長は組織の責任者、リーダーとして、「プロ」としての教職員の育成と資質の向上に努め、学校評価や教職員評価システムなども活用しながら、学校の組織マネジメントにあたっていただきたいと思います。

 とりわけ、昨年度はPTA会費等の着服をはじめ県費外会計の不適切な処理が相次いで明るみに出るなど、教職員の不祥事により、教職員や学校教育に対する信用がゆらいでいるところであります。今一度、基礎・基本・原点に立ち返り、全ての教員一人一人が、教育者としての自覚を高め、高い志と高潔な行動により児童・生徒、保護者、地域住民の方と全人格的に向き合い、学校教育の信頼回復に全力で努めていただきたいと切に願うものであります。

 今ひとつお願いしたいのは、情報の受信力についてであります。学校経営にあたっては、アンテナを高く張り、校内だけでなく、社会や地域の動向に敏感であってほしいものです。

 こうしたことを申し上げると、堅苦しい管理統制型の学校運営をお願いしているように聞こえるかもしれません。

 要は、アンテナを高く張りつつも流行に過度に動ずることなく、これまで培ってきた教育についての不易の信念に自信を持っていただきたいということであります。そして、四季の移ろいや自然、生命などに感動する感性を磨き、知性を高め、全人格的に子どもと向き合う学校経営を行っていただきたいと願っております。

 終わりに、遠隔の地に赴任される方もおられますが、どうか健康には十分留意され、大いに活躍されるよう祈念いたしまして、訓辞といたします。

 

 平成21年4月1日

 島根県教育委員会教育長

 藤原義光


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