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学校・家庭・地域の連携により心豊かな子どもの育成を

 島根県教育委員会教育今井康雄

 未曾有の被害をもたらした東日本大震災により被災された方々に心からお見舞い申し上げる。その中で、人の絆、忍耐力、思いやり等被災地の方々の高い道徳性や気質が世界中から賞賛されたことを日本人として心から誇りに思う。また、避難所で献身的に働く先生方や中高生の姿に教育の大切さや使命感の尊さを改めて学んだ。今後への大いなる希望を見た思いである。一日も早い復興をお祈りする。

 ところで、最近の社会は、他人の欠点や失敗を探し出し弱い者を攻撃する雰囲気や効率優先で自分さえ良ければという風潮が拡大するなど、自己主張の強さが目立つ反面、他人の良さを見つけ温かく包み込む雰囲気が大変薄くなったように感ずる。

 こうした社会環境は若者にも大きな影響を与えており、子どもへの虐待、無差別暴力、ニート、ひきこもり等、生き方や働き方等にも様々な課題が生じている。

 教育長に就任して1年が経過したが、「子どもたちが自ら学び、運動する意欲を身につけることにより、生きる力を自分のものとしてしっかりと蓄えること」、そして「失われつつある美しいものに感動する心や弱い立場の者を優しく思いやる、効率だけではない人間らしさを尊ぶ心を養うこと」を教育の目標としてきた。

 それなりに成果が上がった部分もあれば、まだ解決にはほど遠いもの、あるいはまだ課題が顕在化していないものも考えられる。教育は、幅広く、奥深く、複雑で、また息の長いもの。一朝一夕にすべての結果を求めるわけにはいかないのが実感である。

 そうした中で、特に力を入れてきたのが「子ども読書県しまね」の取組である。小中高すべての学校図書館への司書の配置や図書室の整備、本の充実等を強力に推し進めている。言語活動の充実は、学力の向上はもとより、想像力や感性を磨き、他者を思いやる心を育成する等、心豊かな子どもの成長に大いに役立つ。島根の子どもたちは、知力、感性、人情等に溢れていると言われるようにしたいものである。

 今一つが「ふるまい向上」運動である。礼儀、ルール、規範意識、忍耐力等、今の世の中が失いかけている生き方の基本を改めて子どもたちに身につけさせたい。学校での活動をその視点から見つめ直すとともに、「三つ子の魂百まで」・乳幼児期からの正しい生活習慣づくりに向けた子育て世代の親への支援、公民館による子どもへの伝統文化の継承や宿泊体験活動等、家庭や地域を巻き込んだ幅広い取組を進めている。

 先般、経済界の方から「今の教育は、自戒を込めて言うと、何もかも学校に頼りすぎ。家庭や地域がもっと子どもの生きる力になり、学校はしっかりと知的部分を教える場所にすべき」というご意見をいただいた。教育を預かる当事者として是非そうありたいと願う。学校・家庭・地域が本来の役割を果たしながら、連携・協力により信頼関係を築く中でこそ効果的で実のある人材の育成が実現する。そして冒頭の被災地の誇りある行動が大方の規範となるような社会が築かれることを願っている。

 最後に、来年は「古事記」が編纂されて1300年。そこに記された神話の約3分の1を出雲の神話が占める。神話は教育界で長年タブー視される傾向もあったが、改めて我が国の来し方を確認し、将来に向かい思いを巡らす上で大変貴重な財産だと思う。古代出雲が誇る銅剣・銅鐸等の弥生青銅器文化等と合わせ「神々の国しまね」を県内外で紹介する様々な取組を計画している。これを契機に島根の奥深い歴史や文化が多くの方々を引付け、同時に、島根の将来を担う子どもたちが、グローバル化・情報化の波の中でも郷土に誇りを持ち、地域に貢献する人材に育ってくれることを期待している。

『教育委員会月報7月号掲載文』


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