三島議員
(問)学校建物の耐震化について
学校建物の耐震化について伺う。
1.県内の公立小中学校の耐震診断実施率、耐震化率の状況と今年度の取り組み状況
2.Is値0.3未満の建物について整備完了の見通し
3.H22年度までの時限立法である「地震防災対策特別措置法」の延長に向けての働きかけ
(答)教育長
1.2.まず、県内の公立小中学校の耐震化への取組についてであります。
本年六月十六日に文部科学省が公表した「耐震状況調査」の結果によりますと、非木造建物の耐震診断の実施率は91.1%、耐震化率は60.8%であります。調査対象に追加された木造建物は、現時点では実施率0%、耐震化率は22.4%となっております。
現在、耐震診断の結果、Is値が0.3未満であることが判明しております31棟の耐震化については、その10棟が今年度耐震工事を実施中、10棟は国の平成二十一年度の補正予算によります交付決定を受けまして工事に着手する予定であります。
残り11棟につきましては、今年度に実施設計を行い、平成二十二年度の予算での工事を行う計画となっておりまして、これによりまして、31棟のすべての耐震化が完成する予定であります。
3.次に、「地震防災対策特別措置法」の補助率の引き上げの期間の延長についてであります。
市町村には、まずは現行制度を活用して早期に耐震化を進めていただきたいと考えております。
特別措置の期間後のことにつきましては、今後の耐震化の進捗状況等を踏まえ、必要な場合には、国に対して要望を行うべきと考えます。
(問)小中学校のメディア対策について
1.小学校での映像メディア利用の利用の実情について伺う。
2.映像メディア対応のメッセージを徹底して発すべきと考えるが、思春期までは極力映像メディアの接触は避けるべきとの考え方と合わせ、所見を伺う。
3.小中学校におけるノーテレビ、ノーメディアデーについて鍵を握る親への啓発と取り組みを広げることについて考え方を伺う。
4.メディア教育の取り組みについて伺う。
(答)教育長
1.次に、小学校での映像メディア利用の実情についてお答えいたします。
私は常々、学校教育では、子どもの感性を高める教育活動が大切であると言っております。
野山の木々の移ろいや鳥のさえずり、風のにおいで季節を感じたり、地域の人々との触れあいから学ぶ活動は、極めて意義があり、これらのいわば「原体験」を、人格形成期の子どもたちに多く経験させたいと考えています。
また、科学や歴史の書物を通じて、「なるほど、そうだったのか」と知識欲を満たしたり、物語の世界に浸り、「疑似体験」によって自らが物語のヒーローになることも大切であります。
こうして読書は、テレビやパソコンが弱めると言われる「脳の力(脳力)」を高め、情操力のアップにもつながると考えます。
しかし、学習内容によっては、子どもの興味関心を高めたり、学習内容の理解を深める上で、こうした活動だけでは十分でなかったり、実際に体験することが難しい事柄も考えられます。
例えば、
上空から見るふるさとの風景
外国や他県の風景や人々の暮らし
つぼみが開花したりメダカが孵化する様子
お腹の中の胎児の様子
こうしたことについては、学習の際に映像メディアを活用することも効果的であると考えます。実際に多くの小学校では、そうしたメディアを活用した学習にも取り組んでおります。
大切なことは、教育効果を高めるために、映像メディアを学習の中で上手に使っていくという工夫をすることだと思っております。
2.次に、思春期までの子どもの映像メディア接触についてであります。
思春期までの子どもには、テレビやゲーム、携帯などの映像メディアにできるだけ浸りきりにさせないようにすることは大切ではあります。そのためには、単に取り上げるのではなく、家庭でのふれあいの時間をもつとか、読書、あるいは、様々な体験の機会など、映像メディアに代わるものを与えることが重要であります。
例えば、松江市では、早くからノーテレビ・ノーゲームデーに取り組んでいる教員を推進員として配置しておりまして、家庭学習や家庭読書の時間を確保するなどの取組を強力に推進しております。また、雲南市ではノーメディアに取り組む日曜日に親子で買い物をしまして、親と相談しながら月曜日の弁当を子どもの力だけで作る「子どもが作る弁当の日」の取組を開始しております。
3.次に、ノーテレビ、ノーメディアデーの取組についてであります。
こうしたノーテレビ・ノーゲームデーなどのメディア対策にも力を入れていく必要があると考えましたので、心身両面にわたる健康増進の視点に立って、子どもの生活習慣改善対策を進めるべく、平成十九年に「健康づくり推進室」を設けたところであります。
県をあげてメディア対策に取り組んでいるのは全国でも稀であると承知しております。
これまで、講演会やフォーラムの開催、実践事例集の発行等の啓発事業によりまして、ほとんどの小・中学校で生活習慣改善に向けた取組を行っておりますが、学校からの呼びかけだけでは十分効果が上がりにくい面もありますので、学校と家庭がお互いに連携しながら、地域を巻き込んだ総ぐるみの取組が必要であると考えております。
そこで、本年、県内二会場で「子どもの生活習慣づくり実践事例発表会」を開催することにしております。発表会では、先程の松江市や雲南市などの実践事例を紹介することにしており、県内各地への波及を図りたいと考えております。
七月四日には、浜田市の県立大学において開催し、私もパネリストとして出席いたします。
4.次に、ケータイにかかる情報モラル教育の取り組みについてであります。
現代社会は、インターネットや携帯電話という便利なものを手にしてしまいました。今さらこれを取り上げるという手段で犯罪から回避ができないとすれば、小学校の早いうちから情報リテラシーを高めるとともに、使用に当たってのモラルを学校教育の中で育んでいくことが肝要だと考えます。
携帯電話については、昨年二月に、県警、健康福祉部との三者の代表者会議を開催いたしまして、保護者や子どもたちに向けた「子どものネット被害を防ごう」というメッセージを発信いたしました。
本年一月末には、携帯電話の学校での取扱いの方針や家庭、学校、行政が取り組むべき情報モラル教育について学校等へ通知をいたしたところです。
また、県独自のケータイトラブルに対します対応マニュアルを作成したり、保護者向けの広報誌での特集やパンフレットを配布するなどの啓発にも取り組んでおります。
ネットいじめなどは、被害が潜り込んだり、あるいは陰湿になったりして、なかなか実態がわかりにくいところもあります。学校の現場がすべてをやるというわけにもいきません。地域や家庭の取組も必要であります。
そういうことから、先ほど申しました教育行政と県警、健康福祉部の三者に加えまして、今年度は、環境生活部にも参加をいただいて、四者で会議をもちまして、それぞれの組織が連携して取り組むこととしております。
地域、保護者とも連携しながら、個々具体的な対策と総合的な対策の両面から、それぞれの課題に対処していきたいと考えております。
(問)学校図書館について
1.県民の智を支える公共図書館が県民のニーズに応える存在になりにくい構造は変えなくてはならないと思うが、所見を伺う。
2.子ども読書活動推進事業について伺う。
(1)県内小中学校への学校司書等の配置状況と学校の取組状況
(2)6月補正予算における「子ども読書活動推進事業」を円滑に進めるための事業の概要
(3)学校司書等や学校に対する今年度の支援体制と、来年度以降の専任指導主事配置に向けての考えがないか伺う。
(答)知事
1.県内の公立図書館は、昭和五十四年、一九七九年に十二館でございましたが、現在二00九年、三十四館となっているわけでございます。四十年間に倍以上、三倍近い数に増えているわけでございます。
やはりそうした公共図書館というものが地域における文字・活字文化を支える拠点となっておりますし、それからそういうことを通じまして子どもの教育でありますとか大きな影響を与える拠点になっているのでございます。
また、そうした中で公共図書館では、正規職員の十分な配置が困難な状況になっていることも議員ご指摘のとおりでございます。私どもは、少なくとも小・中学校の読書活動を進めるとしておりますが、これは義務教育でございますから市町村ごとにあまりにこの差があることは望ましいことではありませんから県としては各市町村に対して一定の支援をするということを組みましたが、公共図書館になりますと、そこはやはり地域地域でご判断をある程度せざるを得ない面があるわけでございまして、勿論できるだけ専門性の高い正規職員の方々が市町村の図書館で職員として活動されることが望ましいわけでございますけども、その処遇等どうするのか、配置をどうするのかは、やはり地域地域の中で決めざるを得ない問題かとは思いますが、私どもにもできるだけ相談などにのって参りたいと考えているところでございます。
(答)教育長
2.次に、子ども読書活動推進事業についてであります。
(1)まず、現時点での司書等の配置状況でありますが、6月1日の時点で調査いたしましたところ、県内の小中学校347校のうちで、337校で取組が始まっております。ボランティアが193校、司書のAが127校、司書のBが17校という状況であります。残りの10校につきましては、現在該当の町で、人材を探しているという状況にあります。
次に学校の取組状況ですが、指導主事による学校訪問や市町村の教育委員会へのアンケート調査で、把握したところによりますと、
まず、
「学校司書と教職員の協力により、図書館の環境整備が進んだ」
「短い休み時間でも図書館に行く子どもが増えた」
「人がいる図書館になることで、図書の貸し出し数が増えた」
「生徒等の会話で図書や図書館が話題になることが増えた」
といった成果が見られており、教職員や児童生徒の読書への意識は、確実に変化してきています。
(2)次に、6月補正における「子ども読書活動推進事業」を円滑に進めるための事業の概要についてであります。
一つめは、「学校図書館パワーアップ事業」と称しておりますが、教員や学校司書等が協力しながら、魅力ある図書館に改善しようとする学校に対しまして、県の方でアドバイザーを紹介するとともに、利用しやすい図書館にするための整備を支援してまいります。本年度は15校の推進校を選定し、その取組を地域の学校に普及していきたいと考えています。
二つめは、子ども読書に関するコンクールを実施いたします。これは、読書活動や図書館を活用した教育において、熱心な取組を行っている学校を表彰し、その具体的な取組を全県的に紹介していこうとするものであります。
三つめは、学校司書等の活動例や、学校司書と教員が協力して行う授業の実践例を研修用のDVDとして作成するものであります。
(3)最後に、学校司書等や学校に対する今年度の支援体制、あるいは来年度以降の考えについてであります。
今年度、学校図書館の担当の指導主事を義務教育課に配置いたしております。この指導主事を中心として、生涯学習課、県立図書館の担当者が週に一回の連絡会を持ちまして、三者が連携を深めながら、事業の推進に努めております。
併せて、県立大学の教授・司書教諭・司書等の専門家の代表の方に参加していただきまして、「学校図書館支援会議」を組織いたしました。学校現場への具体的な支援方法についての協議をしていただいています。
実際の学校への支援としましては、今年度、学校司書を対象にした研修を三回、ボランティアを対象に三回、計六回の研修を予定しております。いずれの研修も、研修内容を段階的に高めていくというふうな方法をとりたいと思っております。
また、小中学校の校長・教頭を対象といたしました年度初めの連絡会で、私の講話の中で、県全体として取り組もうとしているこうした図書館教育の取組について、各学校においても強力に推進するよう強調しました。さらに、教育事務所の指導主事による学校訪問の際に、取組の状況を把握いたしまして、良い事例につきましては他校へ紹介するなどの活動を行いたいと思っております。
さらなる学校図書館の指導を行います専任職員の配置については、まず、こうした学校図書館への支援、あるいは管理職の指導力の強化を進めておりますので、その状況が相当成果が上がる、あるいは意識の高まりが期待できると考えておりますので、まずはその状況を見てみたいというふうに思っております。
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