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細田議員(自民)

 

(問)隠岐島前高校、隠岐水産高校について

1.島根を全国にPRする目玉の一つとして、「高校教育」を大きく取り上げ、全国に向けて積極的に売り込んでいってはと考えるが、所見を伺う。

2.学校の統廃合による適正規模化が不可能な離島という地理的条件がある島前高校に関して、より柔軟な教員配置はできないか伺う。

3.島前高校の魅力アップのために、現在考えている方策を伺う。

4.隠岐水産高校の県外入学者はどのようなきっかけで隠岐水産高校を希望し入学してきたのか、それをどう分析しているのか伺う。

5.隠岐水産高校の魅力・存在感・実績等を今以上に高め、日本における水産教育の拠点高校を目指してほしいと思うが、所見をを伺う。

6.知事のリーダーシップのもと、離島に高校を有する他の都道府県と連携し、教員の加配などについて、国に働きかける必要があると思うが、所見を伺う。

 

(答)教育長

1.隠岐におきます島前高校、水産高校を例にとられまして、島根の教育の中でも離島や中山間地域の高校の魅力を増して、それを全国にPRし、そういうところに全国から生徒が来るようなことを考えてはどうかというご趣旨のご質問でございます。

 私も同感でございます。

 海士町で島前高校の先生とか海士町の方とかIターンでその取り組みに参加している人などと一緒に懇談をしたことがありますが、そういう努力をいろいろしているということを聞きました。

 高校の仕事というのは、国と地方の仕事の切り分けの中で、県の仕事ということになっております。

 義務教育は、国庫負担があって、標準法があって、それがかなり住民が人口が少ないところでも小規模校が維持されるような仕組みになっているわけでございますが、高校の場合はなかなかそれが難しい状況になっているようでございます。

 それは一つは私立学校との関係もあるようでございますが、いずれにしてもそういう問題があるようでございます。

 高校の統廃合等の問題に、私も陳情受けたり、いろんなお話をお伺いしたり、あるいは各地で海士町における努力のようなことを聞きますと、高校というのは単に学問の場ではない、それだけではないもっと広い意味合いを持っているということに段々気づくようになっておるわけでございます。高校の存在が、そこに生徒が集まってくるそのこと自体が、若者が町を歩き、活動するわけですから町に元気与えますし、先生もそこにたくさんおられる。学校では、いろいろな行事が行われます。それから都市からそういう魅力ある高校に来るということになりますと、またそれは大きな意味を持つことでございます。定住としての意味を持つことでございます。したがいまして、単に教育という観点からでなくて、あるいは高校教育という観点からでなくて、地域政策と申しますか、その町作りの一つとして考えなければいけない要素があるということを感じておるわけでございます。そういう意味におきまして、本年2月にも隠岐島前三町村から隠岐島前高校の魅力化の構想のお話を私も直接伺いました。大変いい試みだと思っているところでございまして、私どももそういう試みを支援していかなければならないと考えておるわけでございます。

 それから、議員も触れられましたが、海士町、隠岐の島には都市から子どもを連れたIターンの方がたくさんおられます。そう方々とも話をしたことがあるんですが、なぜ選んだかという理由の一つに高校があるということを言っておられる方がおられました。少なくとも、小学校、中学校は当然義務教育ですからありますが、高校までその地で育てあげられるわけです。非常に子育てしやすいわけでありますし、その地でそこまで暮らせる、そういうところで育てたいという都市の方が多いわけであります。高校というのが離島中山間地域においても特別な意味を持つなという風な感じを私も持っているわけでございます。

 県外からも生徒が入学してくるような学科や部活動を有する特色ある学校づくりを進めてまいりたいと思いますし、県もできる支援をしたいと思うわけでございます。そういうことを県がPRすることは、離島中山間地域対策、いわば過疎法に関連するわけですけれども、そういうものとしても大きな意味合いを持ち得ると考えているわけでございます。

 

2.まず、島前高校の教員配置を弾力的にできないかということであります。

 さきほど、知事の方から申し上げましたが、高校の教員定数は、標準法によって算定されておりまして、基本的にはそれがクラス数がベースになっておりますので、一学級しかないところには一学級分の教員数、二学級になりますと二学級に応じた教員数が確保できるということになっております。こうして算定された教員数に応じた財源が交付税の中で国により措置されるという状況になります。

 プラスの面では、従来から、それに加えまして少人数の指導を行うための、国の制度がありして、それを利用しまして、通常の定数に加えて教員を加配するなど、教育水準の確保に努めてまいりましたけれども、一学年2学級ありましたのが一学級になりました関係で、とたんに、教員の数が減ってゆくというのが現在の状況でございます。

 そういう中にありまして、島前高校についても、通常の定数に加えて、加配を行っておりますが、現状は、充分ではないと認識しております。

 特に少人数ではありましても進路は、進学と就職とある、あるいは進学の中でも理科系と文化系があるというふうに多様な進路に応じなければならないということでありまして、そうした生徒の進路希望に対応した教員の配置ということになっていないというのが現状でありまして、できるだけそうした教員の配置に努力したいと考えております。

 また、教員の配置、定数については、通常の定数に加えて教員の数が確保できるようポスト過疎法に盛り込まれることなど国に対して働きかけてまいりたいと考えております。

 

3.次に、島前高校の魅力アップについてであります。

 ご紹介がございましたように島前の三町村、PTA、中学や高校などからなります「魅力化と永久の発展の会」という名称の会より、島内外から生徒が集まる魅力ある高校づくりを目指す魅力化構想の提言を受けました。

 この中には「ふるさと雇用特別交付金」を活用した学習支援コーディネーターの配置でありますとか、高校生が今年から始まります観光甲子園というイベントへの参加を決定するなど、すでに具体的な取り組みが進められたものもあります。

 また、学校、地域、教育委員会が連携して進めるべきその他にも様々な具体案が盛り込まれております。

 私も、先日、海士町で開かれました「シンポジウムin島前」ということで島前高校を考えるシンポジウムに参加いたしまして、提言についてできる限り実現に向けて努力していきたいというふうにお答えをいたしました。その提言の中には、寮の活用でありますとか、インターネットを活用した学習でありますとか、具体的に盛り込まれております。

 こうしたことも検討しながら、来年度の入学から島外からも生徒を呼べるような具体的な方策を考えてまいります。

 

4.隠岐水産高校に関するご質問にお答えします。

 隠岐水産高校への県外入学者の状況については、最近3年間では毎年6名の生徒が入学しています。

 これらの生徒達の出身県については、水産高校がない、あるいは水産高校があっても専攻科がないという状況があります。

 入学動機につきましては、隠岐という土地の持つ魅力が大きいものと思われます。離島の雰囲気や周囲を海に囲まれて豊かな自然があるからだと思います。

 また、専攻科があり海技士の資格取得率が高いこと、寄宿舎の設備が充実していることなどを知り、入学を希望する生徒、保護者が大部分であると理解しています。

 

5.次に、隠岐水産高校が今後、目指すものついてお答えします。

 隠岐水産高校には、三年制の本科と二年制の専攻科があります。本科には海洋システム科と海洋生産科があります。海洋システム科では、捕る漁業や船舶の機関・操船について、海洋生産科では、作り育てる漁業、水産加工についての基礎的な知識・技術の指導を行っております。

 また、担い手育成の観点から地元漁業者の指導による一本釣り漁業実習、種苗センターでのワカメ・カキなどの養殖実習など地域産業と連携した教育を実践しております。

 専攻科では船舶の幹部職員になるために必要な三級海技士の資格取得を目的にしています。多くの生徒が三級海技士の資格を取得し、中には、さらに上級の資格を取得する生徒がいるなど全国に誇れる実績があり、毎年、全国各地に幹部船員を輩出しております。

 こうした中、「水産教育のあり方に関する検討委員会」で、現在三本の柱で検討いただいています。一つ目、水産高校を水産県島根の資源(宝)と位置づける。二つ目、全国から生徒の集まる水産高校に。三つ目、水産高校と水産業・水産行政との連携強化ということを骨子として最終的な提言を検討していただいております。

 今後、これらの提言を得た後には、基本的な提言を基にした水産教育を実践し、全国から生徒が集まる水産高校を目指していきたいと考えております。

 

(答)知事

6.国への働きかけの問題でありますが、離島振興法による離島を有するのは二十五都道県でありまして、高校があるのは島根県を含めまして九都道県であります。そのうち、一学年一学級本校や分校があるのは、七都道県であります。

 こういうところと、強調してやっていく必要がございます。

 先ほど申し上げましたように高校は標準法がありますけれども、財源の手当とか教員の確保とかみんな県の仕事になっております。

 義務教育のように標準法があって、それに対して国庫負担が幾ら、県の裏負担分は交付税でちゃんとみるということになると一定の財源確保ができ、そこで、小規模校の維持とかいろいろ行っていけます。

 高校はそれがないわけですでございます。

 そこで、そのためには標準法を変えるというのも一つの手でありますけれども、これは県の仕事ですから難しいというふうに考えられます。

 したがいまして、各県でそういう財源が確保できるような仕組みを国にお願いをするというのが一つの考えであります。

 そこで、過疎法の改定を春季以降お願いしております。その中でソフト事業として、産業振興でありますとかあるいは交通の確保とかそういった中に高校といったようなものも対象として考えられるのではないかと思うところでございます。

 過疎法の中で基金を創設し、その基金でソフト事業を入れる。そのソフト事業の中で、高校などに、例えば特別に講師を雇うとか、あるいは魅力のあるカリキュラムをするための経費を賄うようなことができればかなり自由度が増えるわけでございます。

 そういう提案を内々は意見交換などしながらやっておるわけでございますが、さらに議会の皆さんとも一緒になりましてそういう問題に取り組んでまいりたいと思っているところでございます。

 


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