吉田議員
(問)障がい者福祉の推進について
1.県教委でのステップアップ雇用は3年で一般就労につなげようとしているが、年数を限らず継続雇用するなど弾力的な運用を考えるべきと思うが、所見を伺う。
(問)学校・家庭・地域の教育力の向上について
2.全国学力調査の算数の平均点が問題視され、8校をモデル校として取り組んでいるところだが、その状況についての認識を伺う。
3.学問・文化・教養の向上のためにも、読み書きをもっと重要視すべきだと思うが、所見を伺う。
4.複式学級について、本県では、1・2年、3・4年、5・6年という単位で行っているが、どういう考え方に基づいているか伺う。
5.複式学級に知的障がいでなくとも理解度の弱い児童がいた場合、自治体独自の支援策を講じているとも聞くが、所見を伺う。
(答)教育長
1.この事業は、特別支援学校高等部の卒業生等を対象にいたしまして、非常勤嘱託員として雇用し、支援員のサポートを受けながら、一般就労を目指すものであります。平成26年度から特別支援学校において順次開設を始めており、年に3校ずつ拡大をしております。
高等部を卒業した生徒の中には、障がいの特性によりまして、スキルの習得状況に差が生じるため、高等部を卒業した後もさらに、技術を身に付けることが必要な生徒がおります。
そうしたニーズに対応するために、一般就労に向けたステップアップ事業とし、3年間という期間を設けてスタートしたところでございます。
これまでの3年間で一般就労をした者が6名おりますが、このうち5名は2年間で、1名は3年間で一般企業に就職しております。
このような実績から、現時点では3年間という期間設定は実態に合致したものではないかと考えております。
いよいよ来年度、12校全ての特別支援学校でこの事業を展開できることとなります。
今後は、成果を検証しながら適切な運用を図って参ります。
2.全国学力・学習状況調査は、学習指導要領で求められている学力の定着状況や学習習慣などを把握する目的で作られている優れた調査であります。
そして、その調査結果をもとに学校現場でPDCAを回し、授業改善や個別指導に生かすことが、この調査の本来の目的であると認識しております。
昨年度の調査結果で、算数の平均正答率が全国平均を下回るとともに、学習に向かう原動力となります学習意欲や知的好奇心などの面で課題があることが明らかになりました。
そこで、「算数の勉強が好きだ」と感じる児童を増やすことが、学びたいという意欲を育むことにつながるという考え方のもと、授業改善の推進校8校で具体的な取り組みを進めております。
算数での成果を踏まえ、今後、他の教科にも広げていきたいと考えております。
3.読み書きなどの言語活動は、論理的思考力、コミュニケーション力、感性・情緒など、「生きる力」の重要な構成要素を子どもたちに身につけさせることができると考えております。
このような考え方で、現行の学習指導要領では、国語だけでなく、他の教科等においても言語活動の充実を図ることとされております。
また、島根県では学校図書館活用教育を推進し、単に読書活動にとどまらず、調べ学習などを通して、知的好奇心を喚起し、探究力や表現力などを育もうとする取組を進めて来ております。
今後も、読み書きなどの言語活動を重視していきたいと考えております。
4.複式学級についてお答えをいたします。
県内には全小学校の約3割にあたります63校に、合計121の複式学級があり、複式教育の充実は本県教育の重要課題の一つとなっております。
島根県では、1・2年、3・4年、5・6年の2学年の組合せが教育効果を高めるうえで適切であると考えておりまして、例えば2・3年、4・5年のように低学年・中学年・高学年のまとまりにならない、そういうような場合には、教員を加配をして、単式学級を維持する、そのような学級編制を行っております。
このような学級編制を行っている根拠といたしましては、まず、島根大学の教育学部が全国に先駆けて附属小学校に複式学級を設置し、実践的な研究を永らく行ってこられたところであります。その知見を踏まえ、現在の学級編制が妥当であると、このように考えるに至っております。
また、学習指導要領の面でも、子どもにどのような力を付けさせるのかを示す「目標と内容」これがですね、1・2年、3・4年、5・6年の2学年をまとめて示されている、そのような教科が多いわけでありまして、子どもたちの発達段階を考慮いたしますと、これが学習しやすい仕組みであると考えております。
5.複式学級であれ、単式学級であれ、通常学級に在籍します、特別な支援が必要な児童への支援、このあり方につきましては、学校運営上の重要な課題であると位置づけまして対処してきております。具体的に本県では、国が措置いたします通級指導のための教員加配に加えまして、本県独自の教員配置といたしまして「にこにこサポート事業」で100名の非常勤講師を配置をしております。
このような教員の加配によりましても現場の厳しい状況が解消されない場合には、市町村のご判断により、支援員等の配置が行われています。こうした県と市町村による分担・連携の関係につきましては、教員の人件費に対する国庫負担金の予算が厳しい状況のもと、県・市町村ともにギリギリの判断として行ってきたものであります。
今後とも、このような県と市町村の協力関係を維持することができればと考えております。
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