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白石議員

(問)スクールセクハラの再発防止対策について

1.2001年度以降、わいせつ・セクハラ行為で何らかの処分を受けた県内教員の、発生状況を伺う。

2.小中学校では年間計画が毎年提出され、研修も実施されていたのか。計画未提出校、研修未実施校はどのくらいあり、未実施校にはどのように対策をしていたのか伺う。併せて、県立学校、私立学校についても伺う。

3.市町村教育委員会や私立学校に対し理解を求め、研修が実施されるよう努めてきたか伺う。

4.研修を実効あるものにするためにどのように研修内容や方法を改善するのか、所見を伺う。

5.県教委として行う「スクールセクハラ」防止研修の対象者と内容を伺う。

6.具体的な防止方法として、個人面接時には2対1でする、ドアを開けるという方法もあるが、実施されているか伺う。

7.「特別権力関係」についても研修するようにお願いしたいが、所見を伺う。

8.生徒対象のセクシャルハラスメントを含む性教育はどのように行われているのか伺う。

9.もっと理解しやすいように工夫をする必要があると思うが、所見を伺う。

10.昨年のわいせつ事件後、相談窓口が機能しなかったことをどう考えるのか伺う。

11.養護教諭に対し、スクールセクハラについての専門的知識を学ぶ研修は行われているのか伺う。

12.今まで機能しなかった相談窓口をしっかり機能させるために今後どのように再構築していくのか伺う。

13.再発防止と有効な相談体制づくり、児童生徒への周知徹底に取り組まなければならないが、改めて教育長の覚悟を伺う。

 

(答)教育長

1.2001年度、平成13年以降の、わいせつ・セクハラ行為による処分事案は、公立学校では、2001年度が3件、2002年度が2件、それ以降の年度は年間1件の年度が12回、年回0件の年度が2回、合計16年間で17件であります。また、私立学校では、16年間で1件と聞いております。

 児童生徒の人権と安全・安心を守るべき立場にある教職員による非違行為があったことは、誠に遺憾であります。

 

2.わいせつ・セクハラ行為を含めまして、平成14年度から平成17年度にかけて、公立学校の教職員による不祥事が多く発生したことから、平成17年8月に全ての公立学校を対象として、服務規律に関する年間研修計画の提出を求めることといたしました。

 公立小中立学校については、平成18年度以降の計画の提出状況について、県教育委員会への報告は求めておりませんが、服務監督者である市町村教育委員会が、その責任と権限において、適切に対応してこられたものと受けとめております。

 なお、県立学校については、研修実施計画及びその報告を毎年度求めており、適切に実施されております。

 

3.これまでも市町村教育委員会に対しましては、毎年開催する市町村教育長会議や、全ての公立小中学校の校長を教育事務所管内ごとに召集する会議の場などにおいて、研修の適切な実施を直接要請してまいりました。

 また、県教育委員会自身が行う初任者研修や、教員6年目・11年目の経験者研修の中で、服務規律に関する内容を必ず取り上げることにしております。

 このほか、人権・同和教育に関する研修などにつきましては、私立学校にも案内を送り、参加を呼びかけてきております。

 

4.近年、小中学校において、重大な服務規律違反が続いたことを極めて重く受け止めております。このため、今年度中に服務規律に関する校内研修の実施状況を調査する予定にいたしました。その調査の結果から、例えば、参加型研修など実効性の高い研修事例を学校現場へフィードバックし、校内研修の改善を具体的に促していきたいと考えております。

 

5.県教育委員会が行います研修としては、初任者研修や、教員6年目・11年目の経験者研修の中で、具体的な処分事案を参照しながら、教員自身に服務規律については自覚を促す研修を行っております。

 また、管理職・人権同和教育主任・養護教諭といった、校内で指導的あるいは児童生徒との接点の役割を担う教員に対する研修の中にも、同様の内容を盛り込んでおります。

 

(再質問)平均して研修時間はどれくらいか伺う。

 

 先ほどの初任者研修や、教員6年目・11年目の経験者研修の中では、必ず取り上げることにしておりますが、時間としては個々の研修ごとに長短がございます。

 

(再々質問)短い時間と長い時間を伺う。

 

 不正確になってもいけませんので、後ほど調べた上で、報告をさせていただきます。

 

6.平成27年11月、昨年のことでありますが、市町村教育長及び県立学校長あての文書、「教職員による児童生徒への連絡等に係る適切な対応について」の中におきまして、児童生徒を指導する場合、進路指導や教育相談等の場合を除き、閉鎖的な環境で児童生徒と一対一になる指導は避けるよう、通知をいたしました。

 また、今年度の初任者研修においても、個室での面接は複数の教員によって行うこと。ただし、児童生徒の希望などによってそれが難しい場合は、事前に管理職の許可を得て実施するよう、指導いたしました。

 

(再質問)徹底することが抑止力につながると思うので、実施されているかどうかの調査も含めて、今後も力を入れてほしいと思うが、所見を伺う。

 

 今後もこのような趣旨は、学校現場に対して要請はしてまいります。ただ、県内には公立学校の教員が八千名以上おります。その一人一人の児童生徒に対する指導の在り方を、逐一報告で求めるということをすべきかどうかについては、しばらく時間をいただいて検討したいと思います。

 

7.そもそも教職員は、児童生徒を指導・支援する立場にありますが、その立場を誤れば、子供たちにとって、威圧的、高圧的で何かを強要しているような存在になりかねないことを、しっかり自覚してもらいたいと思います。そのような、自覚を促す研修を、今後行っていきたいと考えます。

 

8.学校における児童生徒を対象とする教育指導としては、性に関連する科学的な事柄のほか、男女間の望ましい人間関係の築き方や、どのような男女関係がセクシャルハラスメントにあたるのかといった内容についても学習をしております。

 例えば、小学校低学年では、道徳や学級活動の中で、「自分や友達の気持ちや体を大切にすること」や、「自分がされて嫌なことは相手にもしないこと」などを、小学校高学年では、保健や学級活動の中で「不快なことをされた時にはいやだと伝え、身近な大人に相談すること」などを、そして中学校・高等学校の学級活動やホームルーム活動では、「思春期や青年期の不安や悩みとその解決」などを学習をしております。

 

9.セクシャルハラスメントの防止のための教育指導の在り方については、子どもたちが被害にあわないよう、また、無自覚にハラスメントを行ってしまうことがないよう、被害・加害の両面から、予防的に理解させていくことが大切であると考えております。

 一方、子どもたちは、怖い思いや不快な思いをした時にはどう対応したらよいのか、頭の中でイメージしにくく、また、自分のこととして起こることとは考えたくない、という気持ちになりがちということも多いと思われます。このため、子どもたちがセクシャルハラスメントの予防や対応についての理解を進めていくうえでは、自分の身に置き換えて考えていくといったような工夫が効果的ではないかと考えております。

 具体的には、学年に応じまして、「嫌なことを強制された時にはどう断るのか」、「嫌な思いをした時には、どこに相談をしたらよいのか」ということなどロールプレイングや生徒同士の話し合いを通してよく考え、理解を深めていく、そのような工夫を行っていく必要があると考えております。

 

10.まず、相談しやすい体制を再構築するとは、次のような趣旨のことであります。

 担任まかせにせず、多くの教職員が相談窓口となり、児童生徒が相談しやすい体制をつくること。

 そして相談窓口について、児童生徒や保護者によく分かるよう周知すること。

 このことを、県立学校及び公立小中学校の校長に直接指導してきたところであります。

 このような対策を行ったにもかかわらず、今回窓口に相談がなかったのは、この事案自体、生徒本人にとっては、周囲に相談しづらい困難な状況があったのではないかと考えられます。事案の内容・状況によっては、相談窓口が必ずしも有効に機能しないケースもあることを認識せざるを得ないと考えております。

 したがいまして、相談しやすい体制を整備する一方、教職員はもちろんのこと、周りの大人が早期にSOSのサインを察知する方法もあわせて考えていく必要があるとこのように考えております。

 

11.養護教諭には、子どものわずかな変化を敏感に察知するというような感覚をもってもらいたいと思っておりますし、体の不調や悩みを聞き取り、素早く判断し、適切に対応するといった専門的な役割が期待されているところでございます。

 養護教諭を対象とした研修会では、「健康観察のポイント」や「健康相談の進め方」「心のケア」について、繰り返し研修を行ってまいりました。

 学校の中で、子どもの様々な悩みの相談窓口となることが多い養護教諭にとって、「セクシャルハラスメントを受けた子どもへの対応」の在り方について、これからの研修でより一層深めていく必要があると考えています。

 具体的には、経験豊富な専門性の高い講師を招き、学校現場での対応の仕方や関係機関へのつなぎ方等について事例の検討を行うなど、研修内容を今後より一層充実させてまいります。

 

12.先ほど答弁いたしましたとおり、相談しやすい体制整備に併せ、あるいはその相談窓口の周知に併せまして、相談がなくとも早期にサインを察知する方法も併せて考えていく必要があると、基本的な認識はその通りでございます。

 このうち相談体制については、学校において、担任だけではなく、誰でもいつでも相談にのることのできる、相談しやすい体制をつくっていく、そしてその相談窓口を、周知を図ることを徹底してまいります。また事案の内容・状況によっては、相談しづらい場合も考えられますので、教職員が児童生徒の微妙な変化に気づき、寄り添っていくことが大切であります。

 一方、児童生徒にとりましては、友人や家族、地域で関わりのある人になら相談しやすい、というような場合もあると思いますので、そういった状況を周りの大人が理解し、相談しやすい環境づくりを全体として進めていくよう、学校・家庭・地域の連携を働きかけていきたいと考えております。

 また、児童生徒には、「困ったり悩んだりしたら身近な大人に相談してみよう」といったわかりやすいメッセージを伝えていきたいと思います。

 

13.教職員による不祥事の再発防止のためには、まず学校の管理職がリーダーシップを発揮し、きちんと機能する相談体制づくりや、校内研修の充実に取り組んでほしいと考えております。校長のリーダーシップを強く求めてまいります。

 県立学校においては、一人一人の教職員が使命感を自覚し、一丸となって明るく風通しのよい学校づくりに取り組むよう、あらためて指導と助言を徹底をいたします。

 また、公立小中学校の服務監督者である市町村教育委員会に対しては、その責任と権限において、実効性のある再発防止策を徹底するよう、より一層強く求めてまいります。

 そして、全ての公立学校の校長に対して、さまざまな機会を捉え、直接要請する考えであります。

 

(5.再々質問への答弁)

 県教育委員会が行う「ハラスメント」研修について、研修時間はどの程度確保されているのかとの趣旨のご質問でございました。

 教員の初任者研修・6年目研修・11年目研修では、「教職員の服務」という50分の講義の中で、15〜20分程度、過去の処分事案を参照しながら、服務規律の自覚を促す指導を行なっております。

 また、新任教頭研修では、「教育法規・服務」という80分の講義の中で20分程度、過去の処分事案を参照にした内容で研修しております。

 人権・同和教育主任等研修においては、40分・60分・80分の三つの講義の中で、子供の人権が守られていない事例を引きながら課題を明らかにし、グループ協議に発展をさせております。

 養護教諭研修においては、「健康問題の現状と対応」をテーマとした60分の講義のうち、約15分を、子供たちが困ったときの相談窓口として、養護教諭が果たすべき役割とその対応のあり方についての研修内容としております。

 これらの研修に加えまして、県立学校における校内研修としては、すべての学校に対し、年間1回以上のハラスメント研修を必須としており、各学校で年間1時間以上の研修が実施されております。

 


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