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遠藤議員

(問)手話言語条例の制定について

1.ろう学校での教職員の手話習得の機会や手話力向上の取組み状況を伺う。

2.ろう学校では、児童等が手話を学んだり、手話を使って学習が進められたり、話し合ったりするなどの取組や環境づくりが必要だと思うが、所見を伺う。

3.ろう学校では、手話を学ぶ授業はどのように行われているか伺う。

4.ろう学校において、難聴児の手話の活用状況や手話教育の必要性についての考えを伺う。

5.手話、書記日本語によるバイリンガル教育の取組みについて伺う。

 

(答)教育長

1.まず、若干ご説明させていただきますが、手話には、大別して「日本語対応手話」と「日本手話」の二つがございます。

 「日本語対応手話」は、日本語の文法を用い、日本語の単語を手指動作に置き換えたものでありテレビ放送や教育現場で広く使われています。

 一方、「日本手話」は、日本語とは全く異なる文法で成り立っており、ろう者同士のコミュニケーション手段として、独自に発達してきたものでございます。

 私の答弁におきましては、「手話」という用語を用いる場合には、「日本語対応手話」のことを指している、このようにご理解いただきたいと思います。

 そのような意味で、ろう学校の教員の手話の力量を高めるための取組でございます。

 幼児児童生徒とのコミュニケーションを図る手段として手話の習得に向けて積極的に取り組んでおります。

 手話によるコミュニケーション力には、個人差もございますので、手話の堪能な教員や聴覚障がいのある教員を講師といたしまして、校内研修会等を計画的に実施し、手話によるコミュニケーション力の向上を図ってきております。

 9月の時点でカウントいたしますと、県内2校ございます、ろう学校教員の9割が手話を使って日常会話を行うことができる状態になっております。

 今年度末までには、100%を目指して努力をしております。

 

(再質問)手話習得に向けた教員研修は、年間何時間くらいの取組か伺う。

 

 具体的な時間数としては、お答えしづらいですが、かなり定期的に手話の学習を行っています。

 特に、新たにろう学校に赴任してきた教員の中には、「日本語対応手話」に通じていない者もおりますので、堪能している教員、あるいは聴覚障がいのある教員によって、定期的、計画的に研修を行っております。

 

2.ろう学校には、実態として、聞こえにくさが比較的軽度な状態から、ほとんど聞こえない状態まで、様々な幼児児童生徒が在籍しております。

 その場合の状態に応じまして、実態差がある幼児児童生徒に対し、一律の対応ではなく、手話、五十音に対応した指文字、口話、口で話すと書きますが、これは口をはっきり動かして話すこと、筆談など、教育効果のあがる有効なコミュニケーション手段を選択し、組み合わせながら授業を進めております。

 幼児児童生徒のお互い同士においても、それぞれ相手の状況に応じてコミュニケーション手段を自ずと選択をしておりまして、必ずしも手話だけでコミュニケーションをとっているということではないわけでございます。

 幼児児童生徒が将来、社会の構成員として自立していくためには、本人の障がいの状態に応じて、手話をはじめ、様々なコミュニケーション手段を選択し活用していくことが大切であると、このように考えております。

 

3.障がいによる学習上、生活上の困難を改善・克服していくために行われる「自立活動」という授業がございます。

 ろう学校では、この「自立活動」の授業において、コミュニケーション手段の一つとして手話を学んでおります。

 「自立活動」における手話の学習としては、幼児児童生徒の発達の段階に応じまして、まずは身近な物の名前から始まって、動作や様子を表す言葉へと進み、それらを使って日常の会話等を学んでいくというようになります。

中学部や高等部の段階になりますと、聴覚障がいのある教員などから、より豊かな手話表現について学ぶ機会を設定し、コミュニケーション力を高めております。

 なお、併せて手話の成り立ちや、歴史についても学習をしております。

 

4.障がいの程度が比較的軽い難聴児については、教員との日常会話などでは音声言語のみで行う場合もあります。

 授業においては音声言語に加え、手話や五十音に対応した指文字などを併用することで、より正確に理解が進むよう取り組んでいます。

 日々の学校生活の面で見ますと、手話を必要としている児童生徒との関わりの中で、手話を使ったコミュニケーションを図りながら人間関係を深めているという面がございます。

 したがいまして、難聴児に対しましても手話の学習は必要であると考えています。

 

5.ご指摘のございましたバイリンガル教育法でございますが、これは主として重度聴覚障がい児を対象に、まず日本手話による教育を実施し、日本手話を習得した上で、次に日本語の読み書きの教育を実施するという教育法であります。

 ろう学校においては、これまで述べてまいりましたように、幼児児童生徒の聞こえの状態が様々であることから、必ずしも手話から学びはじめるのではなく、個々の状態に応じて口話等の学習に取り組んでいるところでございます。

 一人一人の幼児児童生徒の実態に応じて教育を保障するという観点から、手話だけでなく、多様なコミュニケーション手段を身につけ、将来の自立に向けた可能性を最大限伸ばすことが大切であると考えています。

 特に、日本語を習得するということは、言語活動を通じて、論理的思考力、情緒、感性などを伸ばしていくという、ある意味で生きる力の重要な構成要素を身につけていくための一つの過程になりますので、聴覚障がいのある幼児児童生徒に対しても、日本語をよく知ってもらい、その上で、日本語を通じた学習を高めてもらう、ということを教育上の重要な柱として進める実態がございます。

 


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